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ラームナーミー・サマージ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラームナーミー・サマージの長老(elder)のひとり。2024年撮影。

ラームナーミー・サマージヒンディー語: रामनामी समाज、Rāmnāmī Samāj)は、ヒンドゥー教の一分派である。1890年代にパラスラーム(Parasurām)により創設された宗派である。信徒はもっぱら不可触民であり、主にチャッティースガル州で盛んである。ラーマ神を崇拝するために「राम」と書かれたショールを羽織り、全身に入れ墨を刻む。

歴史

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ラームナーミー・サマージは、チャンバル英語版(皮革を扱う不可触民カースト)であるパラスラームによって創設された[1][2][3]。1870年代に生まれた彼は[4]、自らのカーストを理由に寺院への参詣を拒否されたことに抵抗すべく、入れ墨を刻んだ[5]。彼はおもえらくは自らの額に「राम」の文字を刻んだはじめての人物と信じられており[4]、1890年代にこの宗派を創設したと考えられている[5]。ラムダス・ラム(Ramdas Lamb)によれば、この宗派は15世紀のバクティ運動英語版(神への絶対的帰依を重視するヒンドゥー教の宗教運動)の延長線上にある[4]

1910年、ラームナーミーの信徒は「ラーマ」の名称の使用権を巡る、上位カーストを相手どった訴訟に勝訴した[6]。遅くとも1980年代後半には、入れ墨を刻んだ信徒は「カーストが明らかである」ために寺院への参詣を拒否されるようになっていた[5]

実践

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ラームナーミーの信徒は禁酒・禁煙を守り、毎日「ラーマ」の名前を唱える[7]。また、身体に「राम」の文字を入れ墨として刻み、「राम」と記されたショールを羽織るほか、孔雀の羽根でつくられた被り物をつける。全身に入れ墨を刻んだ信徒は purnanakshik と呼ばれ、高齢者に多い。若い信徒は差別や就労の制限を恐れ、入れ墨を刻まない[4]。信徒は12月から1月、収穫期の終わりに、チャッティースガル州ライプール県英語版の Sarsiwa村で開かれる、3日間の祭りである Bhajan Mela に参加する。ここで信徒は jayostambh とよばれる、ラーマの名前を刻んだ白い柱を立て、『ラームチャリトマーナス英語版』の詩句を唱える[4]

規模

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ラームナーミーの信徒は統計上はヒンドゥー教に含まれるため、信徒の規模に関する正確な情報はないものの、2017年の記事によれば、サマージの長老は Bhajan Mela への参列者から、その規模は20,000人程度であろうと推計している[4]。また、100,000人程度であろうと推計する者もいる[7]。信徒はチャッティースガル州のマハナディ川英語版沿いの村落に多く、一部はマハーラーシュトラ州オリッサ州の州境の村落にも居住する[4]

出典

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  1. ^ Bauman, Chad M. (2008-10-07) (英語). Christian Identity and Dalit Religion in Hindu India, 1868-1947. Wm. B. Eerdmans Publishing. ISBN 978-0-8028-6276-1. https://books.google.com/books?id=Hn7GT3uxmekC&dq=ramnami+samaj+is+chamar&pg=PA58 
  2. ^ Lamb, Ramdas (2012-02-01) (英語). Rapt in the Name: The Ramnamis, Ramnam, and Untouchable Religion in Central India. State University of New York Press. ISBN 978-0-7914-8856-0. https://books.google.com/books?id=R51OEErb9g8C&dq=ramnami+samaj+is+chamar&pg=PA60 
  3. ^ Lorenzen, David N. (英語). Bhakti Religion in North India: Community Identity and Political Action. State University of New York Press. ISBN 978-1-4384-1126-2. https://books.google.com/books?id=L7nYvxCiAQcC&dq=ramnami+samaj+is+chamar&pg=PA271 
  4. ^ a b c d e f g Mitra 2017.
  5. ^ a b c Shafi 2017.
  6. ^ Dam 2019.
  7. ^ a b Abidi 2016.

参考文献

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外部リンク

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