ラニル・ウィクラマシンハ
ラニル・ウィクラマシンハ රනිල් වික්රමසිංහ ரணில் விக்ரமசிங்க Ranil Wickremesinghe | |
任期 | 2022年7月21日 – 2024年9月23日 |
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首相 | ラニル・ウィクラマシンハ(兼務) ディネーシュ・グナワルダナ |
内閣 | ウィクラマシンハ内閣 |
任期 | 1993年5月7日 – 1994年8月18日 2001年12月9日 – 2004年4月6日 2015年1月9日 – 2018年10月26日 2018年12月15日 – 2019年11月21日 2022年5月12日 – 2022年7月22日 |
大統領 | ディンギリ・バンダー・ウィジェートゥンガ チャンドリカ・クマーラトゥンガ マイトリーパーラ・シリセーナ ゴーターバヤ・ラージャパクサ ゴーターバヤ・ラージャパクサ ラニル・ウィクラマシンハ(兼務) |
出生 | 1949年3月24日(75歳) セイロン 西部州コロンボ県コロンボ市 |
政党 | 統一国民党 |
出身校 | コロンボ大学 セイロン大学 ロイヤル・カレッジ・コロンボ |
前職 | 弁護士 |
配偶者 | マイトリー・ウィクラマシンハ(1994年 - ) |
ラニル・ウィクラマシンハ(シンハラ語: රනිල් වික්රමසිංහ, タミル語: ரணில் விக்ரமசிங்க, 英語: Ranil Wickremesinghe, 1949年3月24日 - )は、スリランカの政治家。同国大統領を1期、首相を4期(在任: 1993年 - 1994年、2001年 - 2004年、2015年 - 2019年(復職も含む)、2022年)務めた。同国の二大政党の一つ統一国民党 (UNP) の党首(在任: 1994年11月 - )である。
生い立ち
[編集]1949年3月24日、弁護士の父エスモンドと母ナリニの次男としてコロンボに生まれる[1]。
ロイヤル・カレッジ・コロンボ出身で、クラスメイトには後に政治家となるアヌラ・バンダラナイケやディネーシュ・グナワルダナがいた。その後セイロン大学コロンボ・キャンパス(現コロンボ大学)に進学し、法学を学んだ。大学卒業後は司法試験を通過して弁護士となる[2]。
経歴
[編集]1977年の議会総選挙で初当選。1993年5月のラナシンハ・プレマダーサ大統領の暗殺に伴う、首相ディンギリ・バンダー・ウィジェートゥンガの大統領昇格により、初めて首相就任を果たす。2001年の総選挙では、自身の率いるUNPの勝利により、チャンドリカ・クマーラトゥンガ大統領の下で2期目となる首相に就任する。2005年には大統領選挙に出馬、48.43%の得票率を集めるも、同じく元首相のマヒンダ・ラージャパクサに僅差で敗北した。
3期目の首相
[編集]2015年の大統領選挙においては、与党スリランカ自由党 (SLFP) を離脱したマイトリーパーラ・シリセーナを野党統一候補として支持、シリセーナの当選により3期目となる首相就任を果たした。
しかし、UNP/SLFPの大連立政権となったシリセーナ政権においては、大統領と首相ならびに政党間の対立が続き[3]、2018年4月には不信任決議案を出されている(賛成76、反対122で否決)[4]。さらに10月には大統領により突如首相を解任され、後任に前大統領マヒンダ・ラージャパクサが任命される政治危機が発生した。ウィクラマシンハはこの解任を違憲として認めず法廷で争い、12月には首相再任を果たした[5]。
翌2019年11月の大統領選挙においては、シリセーナが出馬を見送ったためUNP副党首のサジット・プレマダーサを擁立するもマヒンダの弟のゴーターバヤ・ラージャパクサに敗北。11月21日に首相を退任した。
4期目の首相からの大統領就任
[編集]後継の首相にはマヒンダ・ラージャパクサが就任したが、アジア最速でインフレが進むなどの経済失政を批判する声が高まり2022年5月9日に首相を辞任すると表明[6]。後継に指名され、5月12日に4度目の首相就任となった[7]。5月25日には財務大臣を兼任し、国際通貨基金 (IMF) と救済措置をめぐる協議を主導することとなった[8]。
しかし経済状況の好転は見通せず、6月22日に議会でスリランカ経済が完全に崩壊したと発言したほか[9]、7月5日には議会でスリランカを破産した国であると発言[10]。7月9日にゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領の退陣を求めるデモ隊が大統領公邸の敷地内に侵入して占拠し、またウィクラマシンハ自身も自宅に火を放たれた。こうした事態を受け、ウィクラマシンハは挙国一致内閣樹立を理由に首相辞任を表明[11]、ラージャパクサも13日付で大統領を辞任することとなった[12]。7月13日未明にラージャパクサは空軍機でモルディブへ脱出し[13]、ウィクラマシンハが大統領代行に指名[14]。その後14日にラージャパクサが辞任を表明したため[15]、15日に正式に大統領代行に就任した[16]。20日に国会で行われた大統領選挙では134票を獲得し、82票のダラス・アラハペルママスメディア相、3票にとどまった左派で人民解放戦線党首のアヌラ・クマラ・ディサナヤカを下して当選した[17]。21日に国会で宣誓を行い正式就任[18]。22日にディネーシュ・グナワルダナを首相に任命した[19]。
大統領
[編集]就任2カ月後の2022年9月27日には故安倍晋三国葬儀にスリランカ代表として参列した[20][21]。
大統領在任中は財政赤字から脱却するため緊縮財政や増税を行い、また国際通貨基金(IMF)からは30億ドル(約4270億円)の支援を取り付けた。しかし緊縮財政や増税は国民に負担を強いたため国民の間には不満が広がった[22]。
2024年9月21日の大統領選挙に再選をかけて立候補したが、人民解放戦線党首のアヌラ・クマラ・ディサナヤカが得票率42.3%、統一人民戦線党首のサジット・プレマダーサが32.8%となり、ウィクラマシンハは17.3%の3位にとどまった[23]。このため上位2人による再集計ステージにも残れず敗退した[24]。9月23日にディサナヤカが宣誓して大統領に就任し、ウィクラマシンハの任期は終わった[25]。
脚注
[編集]- ^ “Regi Siriwardena dies at 82”. ancestry.com. 24 September 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。21 August 2015閲覧。
- ^ “Lankalovers”. lankalovers.com. 18 February 2005時点のオリジナルよりアーカイブ。21 August 2015閲覧。
- ^ 荒井悦代「2017年のスリランカ 政治的空転に忍びよる危機」『アジア動向年報』第2018巻、日本貿易振興機構 アジア経済研究所、2018年、539-562頁、2019年11月20日閲覧。
- ^ “Sri Lanka PM Ranil Wickremesinghe survives no-confidence motion”. Al Jazeera English. アルジャジーラ. (2018年4月5日) 2018年4月5日閲覧。
- ^ 荒井悦代「2018年のスリランカ 大統領による前代未聞の政変」『アジア動向年報』第2019巻、日本貿易振興機構 アジア経済研究所、2019年、541-564頁、doi:10.24765/asiadoukou.2019.0_541、2019年11月18日閲覧。
- ^ “スリランカ首相が辞任、大統領の実兄-危機エスカレートの中”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. (2022年5月9日) 2022年5月13日閲覧。
- ^ “新首相にウィクラマシンハ氏”. 時事ドットコム. 時事通信社. (2022年5月13日) 2022年5月13日閲覧。
- ^ “スリランカ首相が財務相兼任、IMFとの協議主導”. ロイター. (2022年5月26日) 2022年5月26日閲覧。
- ^ “スリランカ経済は「完全に崩壊」 首相が議会で発言”. CNN.co.jp. CNN. (2022年6月24日) 2022年7月10日閲覧。
- ^ “スリランカは「破産」と首相が発言、大統領はロシアに支援要請”. CNN.co.jp. CNN. (2022年7月7日) 2022年7月10日閲覧。
- ^ “スリランカ首相が辞任表明 デモ隊、大統領公邸占拠―ラジャパクサ氏は避難”. 時事ドットコム. 時事通信社. (2022年7月9日) 2022年7月10日閲覧。
- ^ “Sri Lanka: President Rajapaksa to resign after palace stormed”. BBC News. BBC. (2022年7月10日) 2022年7月10日閲覧。
- ^ “国外脱出のスリランカ大統領、モルディブ入り きょう正式辞任か”. AFPBB News. フランス通信社. (2022年7月13日) 2022年7月13日閲覧。
- ^ “スリランカのデモ隊、今度は首相府に突入”. AFPBB News. フランス通信社. (2022年7月13日) 2022年7月13日閲覧。
- ^ “スリランカ大統領、辞表を電子メールで送付 シンガポール到着直後”. ロイター. (2022年7月15日) 2022年7月21日閲覧。
- ^ “Sri Lanka swears in interim president after Gotabaya Rajapaksa resigns”. The Guardian. ガーディアン. (2022年7月15日) 2022年7月21日閲覧。
- ^ “スリランカ新大統領にウィクラマシンハ首相 「分断は今終わる」”. AFPBB News. フランス通信社. (2022年7月20日) 2022年7月21日閲覧。
- ^ “新大統領が正式就任 経済危機脱却へ挙国一致模索―スリランカ”. 時事ドットコム. 時事通信. (2022年7月22日) 2022年7月22日閲覧。
- ^ “新首相にグナワルダナ氏 財政政策、引き続き大統領主導か―スリランカ”. 時事ドットコム. (2022年7月23日) 2022年7月24日閲覧。
- ^ “故安倍晋三国葬儀への各国・地域・国際機関等からの参列”. 日本国外務省 (2022年9月22日). 2022年12月26日閲覧。
- ^ “「故安倍晋三国葬儀への参列:各国・地域・国際機関等の名称及び代表者名」” (PDF). 日本国外務省. 2022年12月26日閲覧。
- ^ “スリランカ、21日に大統領選 三つどもえ、経済再建策の変更も”. 47NEWS. 共同通信社. (2024年9月20日) 2024年9月23日閲覧。
- ^ “Sri Lanka’s Marxist leader secures 42.3% of votes at presidency; tipped to win after second count”. EconomyNext Sri Lanka. (2024年9月22日) 2024年9月23日閲覧。
- ^ “Anura Kumara Dissanayake elected as the 9th Executive President of Sri Lanka”. Daily News. (2024年9月22日) 2024年9月23日閲覧。
- ^ “スリランカ大統領が就任、ディサナヤカ氏 経済再生、総選挙実施も”. 産経新聞. (2024年9月23日) 2024年9月24日閲覧。
注記
[編集]
外部リンク
[編集]- スリランカ国会 - 歴代首相
- スリランカ国会 - RANIL WICKREMASINGHE, M.P.,
- BBC - Profile: Ranil Wickramasinghe
- 外務省 - ラニル・ウィクラマシンハ大統領略歴
公職 | ||
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先代 ゴーターバヤ・ラージャパクサ |
スリランカ大統領 第9代:2022年 - 2024年 |
次代 アヌラ・クマラ・ディサナヤカ |
先代 ディンギリ・バンダー・ウィジェートゥンガ ラトナシリ・ウィクラマナカ D. M. ジャヤラトナ マヒンダ・ラージャパクサ マヒンダ・ラージャパクサ |
スリランカ首相 第13代:1993年 - 1994年 第17代:2001年 - 2004年 第21代:2015年 - 2018年 第23代:2018年 - 2019年 第25代:2022年 |
次代 チャンドリカ・クマーラトゥンガ マヒンダ・ラージャパクサ マヒンダ・ラージャパクサ マヒンダ・ラージャパクサ ディネーシュ・グナワルダナ |
党職 | ||
先代 ディンギリ・バンダー・ウィジェートゥンガ |
統一国民党総裁 第8代:1994年 - |
次代 (現職) |