コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ラックレント城

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラックレント城
初版の表紙
著者マライア・エッジワース
原題Castle Rackrent
アイルランド王国
言語英語
ジャンル歴史小説
出版社J. Johnson
出版日1800年
出版形式ハードバック及びペーパーバック
ページ数90

ラックレント城』(英語: Castle Rackrent)はマライア・エッジワース英語版による1800年の短編小説。 作者のこの他の作品は、その多くが父親のリチャード英語版による大規模な「編集」を出版前に施されているが、『ラックレント城』については作者の本来の意図に近い形で出版されている。 エッジワース家はこの本が1800年の合同法へのイギリス人の熱意を損なうのではないかと危ぶみ、この影響を軽減するためにイギリス人の語り手による前書き・用語集・脚注を出版の直前になって追加している[1]。 『ラックレント城』の主要な材源の一つは『エッジワースタウン黒書』(英語: The Black Book of Edgeworthstown)と呼ばれるエッジワース家の年代記であり、これには『ラックレント城』におけるものと類似した、エッジワース家の裁判闘争が記録されている[2][3]

評価

[編集]

『ラックレント城』は、初の歴史小説、英語で書かれた初の地域小説、初のアングロ・アイリッシュ小説、初のビッグハウス英語版小説、初のサーガ小説と見なされる事がある[4]W・B・イェイツは、『ラックレント城』を「英語で書かれた最も刺激的な年代記のひとつ」と評した[5][6]。 エッジワースと知り合って文通を続けていたウォルター・スコット[7][8]、『ラックレント城』に刺激を受けて書いたのが『ウェイバリー英語版』シリーズであると語っている。

「私の素晴らしい友人の諸作品に通底する豊かなユーモア・哀愁・当意即妙の感覚を厚かましくも模倣しようとしなくても、エッジワース女史がアイルランドのために幸運にも成し遂げたこと――つまりアイルランド生まれの人々をその姉妹王国生まれの人々に、これまでよりも好意的に紹介すること――と同じ種類の何かを、自分も祖国(スコットランド)の為に成し遂げられるのではないかと感じたのです」[9][10]

脚注

[編集]
  1. ^ Twomey, Ryan. (2014). Preface to Castle Rackrent. New York, Norton Critical Edition. ISBN 978-0-393-92241-7 
  2. ^ Maria Edgeworth's 250th anniversary” (英語). Royal Irish Academy (2017年12月19日). 2021年8月13日閲覧。
  3. ^ Kirkpatrick, Kathryn (July 1996). “"Going to Law about That Jointure": Women and Property in "Castle Rackrent"”. The Canadian Journal of Irish Studies 22 No. 1: 21-29. https://www.jstor.org/stable/25513040. 
  4. ^ Kirkpatrick, Kathryn J. (1995) "Introduction to Castle Rackrent", Oxford, Oxford University Press
  5. ^ W. B. Yeats, Representative Irish Tales (1891; Atlantic Highlands, NJ, 1979), 27.
  6. ^ Kirkpatrick, Kathryn J. (1995). Introduction to Castle Rackrent. Oxford University Press. ISBN 978-0-19-953755-6 
  7. ^ Pakenham, Valerie. “Maria Edgeworth's letters: 'Sir Walter Scott punctual to his word arrived on Friday'” (英語). TheJournal.ie. 2021年8月16日閲覧。
  8. ^ Butler, Harriet J.; Butler, Harold Edgeworth (1928). “Sir Walter Scott and Maria Edgeworth. Some Unpublished Letters”. The Modern Language Review 23 No. 3: 273-298. https://www.jstor.org/stable/3714408. 
  9. ^ Kaufman (ed.), Heidi; Fauske (ed.), Christoper J (2004). An Uncomfortable Authority: Maria Edgeworth and Her Contexts. Newark: Newark : University of Delaware Press. pp. 256. ISBN 9780874138788 
  10. ^ Barry, C. M. (2018年1月1日). “"My accomplished friend": the life and philosophy of Maria Edgeworth” (英語). www.irishphilosophy.com. 2021年8月16日閲覧。