ライスパワーエキス
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ライスパワーエキス とは、勇心酒造が開発した米発酵エキスの総称。
このうちアトピー性皮膚炎への有用性が報告されている「ライスパワーNo.11」[1]は、2001年に「皮膚水分保持能の改善」の新規効能の表示が認可された日本初の医薬部外品の有効成分[2]で、化粧品などに使用されている。
概要
[編集]ライスパワーエキスは、香川県の老舗酒造メーカー「勇心酒造」5代目当主の徳山孝が開発[3]。醸造発酵技術に現代の科学技術を組み合わせて独自開発した「日本型バイオ」技術により、米を原料に麹菌、酵母、乳酸菌などの微生物を用いて発酵、熟成、抽出することで作られる[2]。単一成分ではなく、アミノ酸や糖など様々な成分が組み合わさった天然の複合成分である[2]。
現在開発されたライスパワーエキスは36種類[4]。このうち13種類のエキスが実用化され[4]、主にスキンケア商品に配合されるほか、食品にも配合されている。
すべてのライスパワーエキスに共通する特徴は、「生体機能健全化」と「高い安全性」である[5]。
種類と作用
[編集]医薬部外品の有効成分として承認されているライスパワーエキス
[編集]1987年「ライスパワーNo.1-D」の温浴効果が認められ、米由来の入浴剤有効成分では初の医薬部外品の認可を取得[2]。2001年には、「ライスパワーNo.11」が新規効能「皮膚水分保持能の改善」効果を持つ新規有効成分に。2015年には、「ライスパワーNo.6」が新規効能「皮脂分泌の抑制」効果をもつ新規有効成分の認可を取得している[2][6]。
No.1-A | 表皮を健全化し、肌の保水力を高める。 |
No.1-D | 温浴効果、リラクゼーション、スキンケア効果。アトピー性皮膚炎や乾皮症にも有用。 |
No.1-E | 髪と地肌を健全化する。キューティクルに改善効果が見られる。 |
No.2 | 肌の保護効果。 |
No.3 | 洗うことで肌を健全化し、洗浄後の即時水分保持能を増大させる。 |
No.6 | 皮脂分泌を抑制し、顔のテカリ、化粧崩れ、ニキビなどの皮脂に関連したトラブルを緩和する。 |
No.7 | 皮脂分泌の促進効果、カサカサ肌の健全化、かゆみの改善。 |
No.10 | 皮脂分泌系の健全化、ニキビの予防。 |
No.11 | 皮膚水分保持能の改善効果。セラミドを増大させる。アトピー性皮膚炎の発症を予防し、かゆみを改善する。皮膚バリア機能障害を改善する。 |
No.23 | 皮膚のくすみ・透明感を改善。 |
No.101 | 粘膜保護改善作用。ストレス・アルコール・胃酸過多による胃潰瘍を予防・改善。胃ガンの予防。ピロリ菌による胃炎・胃ガンの発生抑制。ストレス緩和作用。 |
No.103 | 飲むことにより表皮・真皮を健全化し、抗シワなどのアンチエイジング効果をもたらし、皮膚水分保持能を高めてバリア機能を改善する。 |
脚注
[編集]- ^ 第51回日本皮膚科学会西部支部学術大会
- ^ a b c d e 「各種機能性を有する米発酵エキスの研究開発 : ライスパワーⓇエキス~日本酒から化粧品まで」『化学と生物』第57巻第2号、日本農芸化学会、2019年1月、129-133頁、doi:10.1271/kagakutoseibutsu.57.129、ISSN 0453-073X。
- ^ “勇心酒造ものがたり | 特集 | 勇心酒造株式会社”. www.yushin-brewer.com. 2021年10月25日閲覧。
- ^ a b “企業の命運握る「承継者の洞察力」”. PROJECT DESIGN - 月刊「事業構想」オンライン (2014年6月26日). 2021年10月25日閲覧。
- ^ “ライスパワーエキスの特徴 | 研究活動の成果 | 天然物薬用研究会 Rice Power Project”. www.tennen-ken.org. 2021年10月25日閲覧。
- ^ 智玄, 三井; ほか (2019-01-01). “新規医薬部外品の塗布による皮脂抑制効果および肌状態の体感に関する評価” (英語). 薬理と治療 47 (2): 315?321. ISSN 0386-3603 .
- ^ “ライスパワーエキスとは | 天然物薬用研究会 Rice Power Project”. www.tennen-ken.org. 2021年10月25日閲覧。
参考文献
[編集]- 入野和生『アトピーに朗報』小学館 2014年 ISBN 9784098252183
- 野村進『千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン』角川グループパブリッシング 2006年 ISBN 9784101215167
- 大平浩二『生かされている哲学』PHP研究所 2017年 ISBN 9784569838762