ライオンとユニコーン
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ウォルター・クレイン画『ライオンとユニコーン』/ 1915年より前の作。
ライオンとユニコーン(原題: "The Lion and the Unicorn")は、イギリスを中心とした英語圏の童謡であるマザー・グースの1編、およびルイス・キャロル著『鏡の国のアリス』(1871年)に登場するキャラクターである。
唄の起源
[編集]ライオンはイングランド王家の紋章を、ユニコーンはスコットランド王家の紋章をそれぞれ表し、1603年、エリザベス1世の死後、スコットランド王ジェームズ6世がイングランド王位を継承したことによる両国の統合に至るまでの対立を歌ったものと言われている[1][注 1]。ただし、「ライオンがユニコーンをやっつけて街のあちこち追いかけ回す」という歌詞からは、むしろ統合後のイングランドによるスコットランドの征服や、スコットランドの反乱とその制圧を表しているとも読み取れる。
歌詞
[編集]The Lion and the Unicorn |
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—英語原詞 | —[注 2] |
『鏡の国のアリス』のライオンとユニコーン
[編集]- 『鏡の国のアリス』では、この童謡の歌詞からとられたキャラクターであるライオンとユニコーンが唄のとおりに戦い、2人はその休憩時間中にプラムケーキを切り分けようとしていたアリスのことを化け物と言ったり、ケーキの切り方に文句を言ったりした挙句、時間切れのためケーキをもらいそこねてしまう。
- 『鏡の国のアリス』では、唄の最終節「どちらも街から追い出した」 (And sent them out of town) の歌詞が、「太鼓たたいて街から追い出した (And drummed them out of town) に変えられている。
- マーティン・ガードナーによる『鏡の国のアリス』の注釈によると、ライオンはグラッドストンを、ユニコーンはディズレーリを戯画化したものと考えられていた。このライオンとユニコーンは、それぞれジョン・テニエルが『パンチ』誌上に掲載したグラッドストンとディズレーリの漫画にそっくりである[2]。
引用作品
[編集]- カーター・ディクスン著『一角獣の殺人』(1935年)では、『鏡の国のアリス』に登場する唄の歌詞が合い言葉としてそのまま引用されている[注 3]。
- 萩尾望都著『ポーの一族』(1972年 - 1976年)中の1篇「ペニー・レイン」(1975年)では、登場人物の1人が夢うつつの状態のため「戦ったのは一角獣(ユニコーン)とライオン」と、唄の歌詞を逆に引用している。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 宮崎照代著『マザーグース英国飛行』(白泉社、1995年)、鷲津名都江著『英国への招待 マザー・グースをたずねて』(筑摩書房、1996年)、およびカーター・ディクスン著『一角獣の殺人』(創元推理文庫、2009年)の巻末解説(山口雅也「カーが書いた混沌のマザーグース・ミステリ」)、参照。
- ^ ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』マーチン・ガードナー 注、高山宏 訳、東京図書、1980年10月3日、140-141頁。ISBN 4-489-01085-0。
参考文献
[編集]- Carroll, Lewis (Writer); Tenniel, John (Illustrator); Gardner, Martin (Annotated) (1960) (English). The Annotated Alice. New York City: Bramhall House. pp. 352. ISBN 0-517-02962-6, ISBN 978-0-517029626, OCLC 715088130.
- 『鏡の国のアリス』の部分の和訳書:ルイス・キャロル、マーティン・ガードナー(注釈)、高山宏(訳著)『鏡の国のアリス』東京図書、1980年10月3日(原著1960年)、201頁。
- カーター・ディクスン 著、田中潤司 訳『一角獣の殺人』東京創元社〈創元推理文庫 M-カ-1-34 ヘンリー・メリヴェール卿シリーズ〉、2009年12月25日 。ISBN 4-488-11829-1、ISBN 978-4-488-11829-7、NCID BB04194045、OCLC 676166629、国立国会図書館書誌ID:000010649139。
- 巻末解説:山口雅也「カーが書いた混沌のマザーグース・ミステリ」
- 藤野紀男『図説 マザーグース』河出書房新社〈ふくろうの本〉、2007年3月20日 。
- 宮崎照代(絵、文)『マザーグース英国飛行』白泉社〈Moe books〉、1995年10月。
- 鷲津名都江『マザー・グースをたずねて―英国への招待』筑摩書房〈英国への招待〉、1996年6月10日 。