ヨードシルベンゼン
表示
(ヨードソベンゼンから転送)
ヨードシルベンゼン | |
---|---|
iodosylbenzene | |
別称 ヨードソベンゼン | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 536-80-1 |
PubChem | 92125 |
ChemSpider | 83171 |
| |
| |
特性 | |
化学式 | C6H5IO |
モル質量 | 220.01 g mol-1 |
外観 | 無色固体 |
密度 | 1.229 g cm-3 |
融点 |
210 °C |
水への溶解度 | 微容 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ヨードシルベンゼン (英: iodosylbenzene) またはヨードソベンゼン (英: iodosobenzene) は、化学式が C6H5IO と表される超原子価ヨウ素化合物である。無色の固体で、有機化学や配位化学の研究所においてオキソ転移試薬として使用される。これはポピュラーな試薬ペルヨージナンと関連している。
性質と構造
[編集]ヨードシルベンゼンは初め、コンラッド・ウィルゲロットによってヨードベンゼンから合成され、記述された[1]。まずヨードベンゼンを酸化してジアセタートとし、次に加水分解することによって得られる[2]。
ヨードシルベンゼンの構造はX線結晶構造解析により証明されている[3]。ほとんどの溶剤に対する低い溶解度と振動分光法の結果は、これが分子ではないが I-O-I-O 鎖からなるポリマーであることを示している[4]。関連したジアセタート C6H5I(O2CCH3)2 は、多重結合なしでT字形構造をとるヨウ素(III)の特性を示す。
応用
[編集]ヨードシルベンゼンに商業的用途はないが、実験室において「オキソ転移試薬」として用いられる。これはある種のアルケンをエポキシドにし、いくつかの金属錯体を対応するオキソ誘導体に変換する。このようなオキソ転位反応における活性体は単量体の PhI=O であると考えられているが、これは証明されていない。
安全性
[編集]この化合物は爆発性で、真空下で加熱してはならない。
出典
[編集]- ^ C. Willgerodt (1892). “Zur Kenntniss aromatischer Jodidchloride, des Jodoso- und Jodobenzols”. Ber. 25 (2): 3494–3502. doi:10.1002/cber.189202502221.
- ^ H. Saltzman and J. G. Sharefkin (1973). "Iodosylbenzene". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 5, p. 658
- ^ Wegeberg, Christina; Frankær, Christian Grundahl; McKenzie, Christine J. (2016). “Reduction of hypervalent iodine by coordination to iron(III) and the crystal structures of PhIO and PhIO2”. Dalton Transactions 45 (44): 17714–17722. doi:10.1039/C6DT02937J. PMID 27761533.
- ^ Hans Siebert, Monika Handrich (1976). “Schwingungsspektren und Struktur von Jodosyl- und Jodyl-Verbindungen”. Z. anorg. allg. Chem. 426 (2): 173–183. doi:10.1002/zaac.19764260206.
関連文献
[編集]- 落合正仁、長尾善光「ヨードシルベンゼン (ヨードソベンゼン)」『有機合成化学協会誌』第48巻第11号、有機合成化学協会、1990年、1008-1009頁、doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.48.1008。