ヨゼフ伝説
『ヨゼフ伝説』または『ヨゼフの伝説』(独: Josephslegende)作品63は、フーゴ・フォン・ホーフマンスタールおよびハリー・グラーフ・ケスラーの台本、リヒャルト・シュトラウスの音楽によるバレエ・リュスの一幕物バレエで、内容は旧約聖書のヤコブの子ヨセフの物語に基づいている。1912年から1914年にかけて作曲され、1914年5月14日にパリ・オペラ座で初演された[1]。
構成
[編集]フーゴ・フォン・ホーフマンスタールは、当初『ヨゼフ伝説』を『ナクソス島のアリアドネ』と『影のない女』の合間の仕事として提案した。作曲は1912年6月に始まったが、シュトラウスは同年9月11日付の手紙で「清廉なヨゼフは粗野な私の中におらず、私は倦んでしまって音楽を紡ぐのに難儀している。神を求む者ヨゼフ、私になんたる労苦を求めるのか!」と書き、仕事の進みが思わしくないことを明かしている[2][3]。
シュトラウスは、以前作曲を放棄したバレエ『キュテーラ島』 (Die Insel Kythere) のスケッチを用いて、ハープ4台、大小のシンバル、4組のカスタネット、ヘッケルフォン、コントラバスクラリネットなどのエキゾチックな音色を持つ楽器の色彩を取り入れた特大編成のオーケストラ向けの楽曲を書き上げた[4]。
編成
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上演史
[編集]セルゲイ・ディアギレフがインプレサリオとなり、ヴァーツラフ・ニジンスキーが振付を行った。ニジンスキーはヨゼフ役の初演ダンサーとなるはずだったが、ロモラ・デ・プルスキとの結婚をきっかけにバレエ・リュスを追われたため、ヨゼフ役はミハイル・フォーキンやレオニード・マシーンに引き継がれた。レオン・バクストとアレクサンドル・ベノワによる衣装、ホセ・マリア・セルトによるパオロ・ヴェロネーゼに倣った風光明媚な美術、作曲者であるシュトラウス自身の指揮により初演され、7回の公演が行われた。
続いて6月に7回のロンドン公演が行われ、6月23日の英国初演はシュトラウス、以降はディアギレフに公演資金の貸し付けも行ったトーマス・ビーチャムが指揮した[5][6]。しかし直後の7月に第一次世界大戦が勃発し、シュトラウスは報酬6,000フランを受け取れなかった[7]。
交響的断章
[編集]1947年、シュトラウスはオーケストラの編成を縮小した「交響的断章」を作曲し[8]、1949年3月にフリッツ・ライナーの指揮でシンシナティにて初演された。
録音
[編集]- ジュゼッペ・シノーポリ指揮、シュターツカペレ・ドレスデン(ドイツ・グラモフォン)[9]
- イヴァン・フィッシャー指揮、ブダペスト祝祭管弦楽団[10]
- 初の完全録音は、1987年に若杉弘の指揮で東京都交響楽団により行われた[11]。
参考文献
[編集]- ^ Gilliam, Bryan (2001). Sadie, Stanley. ed. The New Grove Dictionary of Music and Musicians. 24. Oxford University Press. p. 517
- ^ A Working Friendship: The Correspondence between Richard Strauss and Hugo von Hofmannsthal. Trans. Hammelmann, Hanns & Osers, Ewald. Random House. (1961). p. 142
- ^ Heisler, Wayne (2009). The Ballet Collaborations of Richard Strauss. University of Rochester Press. pp. 46, 63f
- ^ Del Mar, Norman (2009) [1969]. Richard Strauss: A Critical Commentary on His Life and Works II. Faber and Faber. pp. 133, 144–5
- ^ Heisler, Wayne (2009). The Ballet Collaborations of Richard Strauss. University of Rochester Press. pp. 240
- ^ Lesnig, Günther (1996). “75 Jahre seit der 'Deutsche Uraufführung' von 'Josephs Legende'”. Richard Strauss-Blätter 36: 3–51. doi:10.2307/j.ctvg8p316.3.
- ^ Kennedy, Michael (2006). Richard Strauss: Man, Musician, Enigma. Cambridge University Press. p. 208
- ^ Del Mar, Norman (2009) [1969]. Richard Strauss: A Critical Commentary on His Life and Works II. Faber and Faber. pp. 148–150
- ^ Greenfield, Edward (14 July 2000). “The man who dared to monkey with Beethoven”. The Guardian 31 January 2012閲覧。
- ^ Ashley, Tim (13 April 2007). “Strauss: Josephslegende; Budapest Festival Orchestra/Fischer”. The Guardian 31 January 2012閲覧。
- ^ Josephs Legende, Op. 63, Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra, conducted by Hiroshi Wakasugi. Nippon Columbia, 1988