コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

オオハタネズミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヨシハタネズミから転送)
オオハタネズミ
Microtus fortis
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 齧歯目 Rodentia
: キヌゲネズミ科 Cricetidae
亜科 : ミズハタネズミ亜科 Arvicolinae
: ヨシハタネズミ属 Alexandromys
: オオハタネズミ A. fortis
学名
Alexandromys fortis
(Büchner, 1889)[2]
和名
オオハタネズミ
英名
Reed vole[3]

オオハタネズミAlexandromys fortis)は、キヌゲネズミ科に属するネズミ。中国に広く生息するネズミである。標準和名ヨシハタネズミ[4]

名称

[編集]

中国では東方田鼠、長江田鼠などともいう。

形態

[編集]

一般のハタネズミより若干大きい。頭は丸く大きい。体長12-15cm。口先は短く、頬袋を持ち、大きく膨らませることができる。耳は毛に隠れるくらい短く丸い。尾の長さは体長の1/3の長さより若干長い。メス乳頭は4対。茶褐色の毛が手や足にも生えている。頭から尻にかけての毛は濃い茶褐色で、側面はやや薄い。腹部の毛は白い。

生態

[編集]

生息地域

[編集]

中央ユーラシア大陸中国朝鮮半島にかけて生息する。 中国では北は黒龍江省から南は広東省まで幅広く生息する(黒龍江、吉林、遼寧、内モンゴル、山東、陝西、寧夏、安徽、江蘇、上海、浙江、江西、湖北、湖南、貴、広西、広東、福建等の省、市、自治区)。

生息環境

[編集]

オオハタネズミは、窪地や水のある場所、草のよく茂った場所、軟らかい土壌を好む。主に稲田、湿原、砂地、林地に生息する。オオハタネズミの巣穴の特徴は一箇所に沢山のトンネル口を持つが浅い。構造は簡単なものである。一本のトンネルの出入り口は地形によって数個から十数個と異なる。洞庭湖に作った巣穴の中には80個以上もの出入り口があったものもある。

習性

[編集]

昼夜とも外で活動するが、夜の活動のほうが多い。水泳が得意で潜水も可能。植物の緑の部分を主食にするが、種子や樹皮、穀物、野菜等の作物を食べる時もある。特に水分の多い瓜類やサツマイモ、クワイの球茎などを好む。昆虫を食べるときもある。

繁殖

[編集]

洞庭湖東のオオハタネズミは冬と春に繁殖する。一匹のメスは一年に2-4回出産し、1回の出産で4-11匹の子を産む。

人への害

[編集]

2007年6月に中国の洞庭湖周辺で約20億匹ものオオハタネズミが大移動。現地の農作物に多大な被害をもたらした。大量発生は三峡ダムの工事が原因と思われる。

参考文献

[編集]
  1. ^ Batsaikhan, N. & Tsytsulina, K. 2016. Microtus fortis (errata version published in 2017). The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T13430A115112605. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T13430A22350311.en. Accessed on 24 November 2024.
  2. ^ Mammal Diversity Database (2024). Mammal Diversity Database (Version 1.13). Zenodo. https://doi.org/10.5281/zenodo.10595931. Accessed on 24 November 2024.
  3. ^ Guy G. Musser & Michael D. Carleton, “Superfamily Muroidea,” In: Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World (3rd ed.), Volume 2, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 894-1537.
  4. ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・鈴木聡・押田龍夫・横畑泰志「世界哺乳類標準和名リスト2021年度版」日本哺乳類学会、2021年12月24日公開、2024年11月24日閲覧。

外部リンク

[編集]

"Microtus fortis" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2007年8月6日閲覧