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ユリシーズとセイレーンたち

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ユリシーズとセイレーンたち』
英語: Ulysses and the Sirens
複数の男性が船を漕いでいる最中に別の男性がマストに縛られ、3人の人魚が船に乗って尾を失う過程にある絵画。
作者ハーバート・ジェームズ・ドレイパー
製作年1909年 (1909)
素材油彩
主題ホメーロスの『オデュッセイア』を由来とする、ユリシーズセイレーンの誘惑に耐える場面。
寸法175.9 cm × 210 cm (69.25 in × 84 in)
所蔵フェレンス美術館英語版キングストン・アポン・ハル

ユリシーズとセイレーンたち』(: Ulysses and the Sirens)は、1909年にハーバート・ジェームズ・ドレイパーによって描かれた油彩画[1]である。69.25 by 84インチ (1,759 mm × 2,134 mm)。イングランドキングストン・アポン・ハルにあるフェレンス美術館英語版が所蔵している[2]。美術館は1910年にドレイパーから600ポンドで絵を購入した。またドレイパーはリーズ美術館英語版に収蔵されている縮小版のレプリカを描いた[3]

作品

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絵の主題は、ホメーロス叙事詩オデュッセイア』の主人公オデュッセウス(ユリシーズ)がセイレーンの声に苛まれるエピソードである。セイレーンは歌声で船乗りたちを誘惑する怪物だが、オデュッセウスはセイレーンの歌声を聴くために部下たちに自らをマストに縛り付けさせた。元のホメーロスの詩ではセイレーンが2人しかおらず、彼女らは岸に留まっている[4]。対してこの作品ではマストに縛られたオデュッセウスがセイレーンたちの誘惑に強制的に直面させられている場面を描写している[5]。セイレーンは古代ギリシア美術では恐ろしく、醜い生き物として描かれていたが、ドレイパーはセイレーンをオデュッセウスの船に侵入した美しい人魚として描いた。セイレーンの魅力を詩に記述されている歌から視覚的な形に転換することで、原典の趣旨には則ったものの、物語の内容には則らなかった[6]。セイレーンたちはヌードであり、船に乗ると彼女らの尾鰭が消失している。ドレイパーがセイレーンと人魚を結びつけ、その身体を性的に表現したことは、ヴィクトリア朝時代とエドワード7世の時代の他の作品と一致している[7]。ノルウェーの社会理論家ヤン・エルスターは、ドレイパーの絵画の名前を、1979年の合理性プレコミットメント英語版に関する著作のタイトルとして使用した[8]

脚注

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  1. ^ Menges 2009, p. 56.
  2. ^ Impelluso & Zuffi 2003, p. 293.
  3. ^ Robertson et al. 2007, p. 20.
  4. ^ Scott 2006, p. 107.
  5. ^ Salcman, Michael (August 2006). “Ulysses and the Sirens by Herbert James Draper (1863–1920)”. Neurosurgery 59 (2): 422. 
  6. ^ Baker & Christensen 2013, p. 210.
  7. ^ Sax 2013, p. 94.
  8. ^ Halvorsen 2014, p. 281.

参考文献

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  • Baker, Elton T.E.; Christensen, Joel (2013). Homer: A Beginner's Guide. Oneworld Publications. ISBN 9781780742298 
  • Halvorsen, Vidar (2014). Scherdin, Lill. ed. “Criminal Justice, Sustainability and the Death Penalty”. Capital Punishment: A Hazard to a Sustainable Criminal Justice System? (Ashgate Publishing): 273-292. ISBN 9781409457190. 
  • Impelluso, Lucia; Zuffi, Stefano (2003). Gods and Heroes in Art. Getty Publications. ISBN 9780892367023 
  • Menges, Jeff A. (2009). 120 Great Victorian Fantasy Paintings. Dover Publications. ISBN 9780486990040 
  • Robertson, Alexander; Miller, Connie; Raikes, Sophie (2007). Leeds Art Gallery. Leeds Museums & Galleries. ISBN 9780901981752 
  • Robinson, Leonard (2007). William Etty: The Life and Art. McFarland & Company. ISBN 9780786425310 
  • Sax, Boria (2013). Imaginary Animals: The Monstrous, the Wondrous and the Human. Reaktion Books. ISBN 9781780232133 
  • Scott, Derek B. (2006). “The Power of Music”. Power (Cambridge University Press): 94-113. ISBN 9781139445597.