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ジュグロン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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ユグロン
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識別情報
CAS登録番号 481-39-0
日化辞番号 J5.777K
RTECS番号 QJ5775000
特性
化学式 C10H6O3
モル質量 174.15 g/mol
外観 黄色の固体
への溶解度 難溶
危険性
Rフレーズ R25
Sフレーズ S28 S45
関連する物質
関連物質 キノン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ユグロン(juglone、ジュグロン)または5-ヒドロキシ-1,4-ナフタレンジオン(5-hydroxy-1,4-naphthalenedione)、5-ヒドロキシナフトキノン(5-hydroxynaphthoquinone)は、化学式がC10H6O3有機化合物の1つである。食品産業では、C.I. Natural Brown 7C.I. 75500とも呼ばれる。この他にもヌシン(nucin)、レジアニン(regianin)、NCI 2323Oil Red BSという呼称が有る。

ユグロンは、クルミ科植物、特にクロクルミ (Juglans nigra) の葉、根、殻および樹皮で生成し、多くの植物に対して、毒性または成長阻害作用を及ぼす。ユグロンは、除草剤染料インク食品および化粧品のカラーリング剤として使われる場合がある。

性質と合成

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ユグロンは芳香族化合物の1つで、構造中の水素の1つがヒドロキシ基に置換した1,4-ナフトキノン誘導体である。異性体ローソンがある。ユグロンはベンゼンには溶けないが、ジオキサンには溶ける。常温常圧においては黄色の針状結晶として存在し、融点は162–163 °Cである[1]

ユグロンは、酸化銀(I)または二酸化マンガン2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)によって、5,8-ジヒドロキシ-1-テトラロン酸化すれば得られる[1]

他の生物への影響

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ユグロンはアレロパシーを示す化合物の1つである。アレロパシーとは、ある植物が生合成した物質が、周囲の他の植物に影響を及ぼす現象を指す[注釈 1]。造園家は、クロクルミの木の下でのガーデニングが難しい事を、昔から知っていた。これはクロクルミのユグロンが、他の植物の代謝に必要な酵素に対して、阻害作用を有するためである。しかし、全ての植物に対してユグロンが有効ではない。ユグロンに耐性を持つ植物としては、カエデ (Acer)、カバノキ (Betula)、ブナ (Fagus)などが知られる。

また、ユグロンは多くの植食昆虫に対しても有毒である。しかし、ユグロンを1,4,5-トリヒドロキシナフタレンに代謝して、無毒化する生物もいる。

脚注

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注釈

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  1. ^ アレロパシーを示す物質を生合成している植物はクルミに限らない。例えば、セイタカアワダチソウもその根から、他の植物の成長を阻害する物質を放出する事によって、他の植物が自分の近くに来ないようにしている。

出典

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  1. ^ a b J. Khalafy and J. M. Bruce (2002). “Oxidative dehydrogenation of 1-tetralones: Synthesis of juglone, naphthazarin, and α-hydroxyanthraquinones”. J. Sci., Islam. Repub. Iran 13 (2): 131-139. 

参考文献

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外部リンク

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