ヤイトムシ目
ヤイトムシ目 | |||||||||||||||||||||||||||
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Hubbardia pentapeltis
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Schizomida Petrunkevitch, 1945 | |||||||||||||||||||||||||||
科 | |||||||||||||||||||||||||||
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ヤイトムシ目(学名:Schizomida)は、鋏角亜門クモガタ綱に所属する節足動物の分類群。ヤイトムシ(ヤイトムシ類)と総称される小さな土壌生物である。
サソリモドキと似通った外見を持ち、英名も「short-tailed whipscorpion」(尻尾の短いサソリモドキ/ムチサソリ)と呼ばれている。両者は系統的にも類縁であり、かつてヤイトムシ自体がサソリモドキに含まれた[1]。
形態
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Hubbardia pentapeltis とヒトの指先
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ヤイトムシの側面(II:触肢、III:感覚用の第1脚、IV-VI:歩行用の第2-4脚)
大きさは1cmに満たない小動物である。胴体は縦長く、分節のある前体(頭胸部)と楕円形の後体(腹部)からなり、その間はややくびれる。
前体は細長く、背甲は3セットの「peltidium」という外骨格に分かれる[1]。前の1枚(propeltidium)は鋏角から第2脚までを覆う。そこにある眼は往々にして退化的である[1]。残りの2枚(mesopeltidium・metapeltidium)はそれぞれ第3と第4脚に対応しており、いずれも更に中心から左右2枚に分かれる。この特徴は「分かれた中心」を意味する学名「Schizomida」の由来ともなる。前体の腹側は、前後に三角形の腹板をもつ[1]。
鋏角はサソリモドキのように、はさみ型に近い亜鎌状となる。触肢は頑強で垂直に畳んだ鎌状となり、捕獲用の付属肢となる。第1脚は細長く歩行には用いず、前に伸ばして触角のように使う。残りの3対の脚は歩行に用いられる[1]。
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腹面(a-b:腹板、1 opisth:生殖口蓋、pa:尾節
後体は楕円形で12節からなり、前体とつながる第1節はやや狭まる(腹柄)。次の第2節は生殖口蓋と1対の書肺をもつ[1]。サソリモドキとは異なって第3節は書肺を欠如しており、これは二次的退化による結果と考えられる[1]。末端の3節(尾部)は短い環状で細くなり、短い尾節を持つ[1]。
性的二形は尾節から明瞭に見られる[1]。雌の尾節は単純の短い糸状で3-4節に分かれるが、雄の尾節は特殊化して節に分かれていない。一部の種類では、雌に比べて雄の触肢は明らかに長くなる個体をもつ[2]。
習性
[編集]肉食性。湿度が高くて暗い場所を好み、落ち葉や石の下、洞窟内などで生息する[3]。
配偶行動としては、婚姻ダンスを行うものが知られている。雌は雄の尾節に掴まり、前後につながって移動し、雄が地上においた精包を受け取る。産卵時には雌は地中に小さな穴を掘って潜り、卵を腹につけて孵化まで保護する。
分布と分類
[編集]世界の熱帯を中心に広く分布する。日本では琉球列島にヤイトムシ、ウデナガサワダムシ、小笠原諸島にサワダムシなどを産する。
クモガタ類の中で、ヤイトムシとサソリモドキは近縁であり、かつてヤイトムシがサソリモドキに含まれる時期もあった(有鞭類#定義の変遷、およびサソリモドキ#呼称も参照)。この2群は、形態と繁殖行動に少なからぬ共通点をもち[4]、まとめて有鞭類(Uropygi)を構成する[5]。
下位分類
[編集]- ケリヤイトムシ科 Calcitronidae
- サワダムシ科 Hubbardiidae
- ムカシヤイトムシ科 Protoschizomidae
- ヤイトムシ科 Schizomidae
参考画像
[編集]-
Hubbardia briggsi(雌)
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Hubbardia pentapeltis(雄)
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Hubbardia pentapeltis(雄)
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Hubbardia pentapeltis(雌)
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Rowlandius ubajara(雌)
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Rowlandius potiguar(雄)
参考文献
[編集]- 内田亨監修 『動物系統分類学』第7巻(中A)「真正蜘蛛類」、中山書店。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i A., Dunlop, Jason; C., Lamsdell, James. “Segmentation and tagmosis in Chelicerata” (英語). Arthropod Structure & Development 46 (3). ISSN 1467-8039 .
- ^ Santos, Adalberto J.; Ferreira, Rodrigo Lopes; Buzatto, Bruno A. (2013-05-22). “Two New Cave-Dwelling Species of the Short-Tailed Whipscorpion Genus Rowlandius (Arachnida: Schizomida: Hubbardiidae) from Northeastern Brazil, with Comments on Male Dimorphism” (英語). PLoS ONE 8 (5): e63616. doi:10.1371/journal.pone.0063616. ISSN 1932-6203. PMC 3661548. PMID 23723989 .
- ^ 「ヤイトムシ」 。コトバンクより2020年10月17日閲覧。
- ^ Shultz, Jeffrey W. (2007-06-01). “A phylogenetic analysis of the arachnid orders based on morphological characters” (英語). Zoological Journal of the Linnean Society 150 (2): 221–265. doi:10.1111/j.1096-3642.2007.00284.x. ISSN 0024-4082 .
- ^ Garwood, Russell J.; Dunlop, Jason (2014-11-13). “Three-dimensional reconstruction and the phylogeny of extinct chelicerate orders” (英語). PeerJ 2: e641. doi:10.7717/peerj.641. ISSN 2167-8359 .