モーゼ幻想曲
モーゼ幻想曲は、ニコロ・パガニーニが作曲したヴァイオリンと管弦楽のための作品。正式なタイトルは「(ロッシーニのオペラ)「エジプトのモーゼ」の『汝の星をちりばめた王座に』による序奏、主題と変奏曲」(Introduzione, Tema con Variazioni sulla preghiera “Dal tuo stellato soglo” dal “Mose in Egitto”)である。モレッティとソレントによる作品整理番号はMS.23[1]。
概要
[編集]パガニーニはヴァイオリンと管弦楽のための作品を数多く作曲したが、死後に楽譜が売却・散逸したため、ヴァイオリンのパートが欠落(あるいは紛失)しているものや、管弦楽のパートが欠落しているものもある(「ヴァイオリン協奏曲第6番」など)。このモーゼ幻想曲は、1819年頃に作曲され、前年の1818年に初演されたロッシーニのオペラ「エジプトのモーゼ」に触発されて書かれたといわれているが、詳しい動機は不明である(主題のアリアは1819年の改訂版で挿入された)。パガニーニの死後、1855年に出版されている。
曲はハ短調からハ長調に転じ、ハーモニクスも登場する序奏の後に、ハ長調の主題(Alla marcia、原曲では第3幕で登場する)が提示され、3回変奏された後にコーダで締めくくられる。演奏時間は約6分。ホ長調でも演奏される。
作品は演奏されることが少なく、知名度も低いが、時折ピアノ編曲版により演奏されることもある。
演奏
[編集]本来はヴァイオリンと管弦楽のために作られた作品である。しかしヴァイオリンのパートが一風変わっており、ヴァイオリンの一番低い音域を担当する4番線(G線)のみによって演奏される。そのため以前から、チェロとピアノ(ピエール・フルニエによる編曲では、最高音の弦(A線)1本だけでニ長調により演奏される)、またはコントラバスとピアノのための編曲が行なわれているが、モーリス・ジャンドロンによる版が有名である。
脚注
[編集]- ^ "Catalogo Tematico delle Musiche di Niccolo Paganini"(1982)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- モーゼ幻想曲(ピアノ伴奏版)の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- オリジナル版の演奏 - YouTube - Daniil Bulayev (violin,) National Chamber Orchestra of Armenia, conducted by Harutyun Arzumanyan.
- ポール・トルトゥリエによるチェロ版の演奏 - YouTube