モッジ型フリゲート
モッジ型フリゲート | |
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基本情報 | |
艦種 | 駆逐艦 / フリゲート |
建造期間 | 2006年 - |
就役期間 | 2010年 - |
前級 | アルヴァンド級 |
次級 | (最新) |
要目 (Saunders 2015, p. 385) | |
満載排水量 | 1,372トン |
全長 | 94.5 m |
最大幅 | 11.1 m |
吃水 | 4.3 m |
主機 | ディーゼルエンジン×2基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 20,000 hp(14.9 MW) |
速力 | 28ノット[注 1] |
航続距離 | 3,650海里 (18kt巡航時) |
乗員 | 125名+便乗者21名 |
兵装 |
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搭載機 | ベル 214ヘリコプター×1機 |
モッジ型フリゲート(ペルシア語: ناوچه کلاس موج、英: Mowj-class frigate)は、イラン海軍のフリゲートの艦級[2]。なお公式の艦種は駆逐艦である[1]。
設計
[編集]基本的には、イスラム革命以前からイラン海軍が運用していたアルヴァンド級(ヴォスパーMk.5フリゲート)を発展させた設計となっている[1]。ただし同級はCODOG方式の機関を搭載していたのに対し、本級ではガスタービンエンジンを省いて、ディーゼルエンジンのみとなっており、その分だけ速力も低下している[2]。また電源としては、出力550キロワットのディーゼル発電機4基を搭載している[3]。
アルヴァンド級と異なり、艦尾甲板にはヘリコプター甲板が設けられた。格納庫は持たないが[2]、艦載ヘリコプター1機の搭載に対応している[1]。機種としてはベル 214の名前が挙がっており[3]、また武装した無人航空機(UAV)の運用試験を行ったとも発表されている[4]。なおヘリコプター甲板直前には搭載艇2隻が配置されている[1]。
装備
[編集]レーダーとしては、「ジャマラン」はアルヴァンド級と同じAWS-1を搭載して竣工したが[1]、「ダーマヴァント」では国産の3次元レーダーであるアスルを搭載しており、「ジャマラン」も後にこちらに換装した[2]。また「ダーマヴァント」では火器管制レーダーとしてWM-28も搭載した[2]。
兵装は大きく変更された。例えば艦砲は、アルヴァンド級ではイギリス製の55口径114 mm単装砲を搭載していたのに対し、本型では、イタリア製の62口径76mm単装速射砲、あるいはそのリバースエンジニアリング版であるFajr-27を搭載した[3]。また機関砲としてボフォース 70口径40mm機関砲(Fath-40)と90口径20mm機関砲(エリコンGAM-B01)を備えるほか[1]、前者を30mm口径のカマンドCIWS(AK-630の国産化版)に換装した艦もある[3]。
艦対艦ミサイルとしてはヌール(C-802の国産化版)を備える[1]。また艦対空ミサイルとして、メラブ(サッヤード-2の艦載化版)を搭載する[3][注 2]。また対潜兵器として3連装短魚雷発射管を備えている[1][2]。
同型艦
[編集]一覧表
[編集]艦番号 | 艦名 | 起工 | 進水 | 就役 | 退役 | 母港 |
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76 | ジャマラン IRIS Jamaran جماران |
2006年 | 2007年2月 | 2010年2月19日 | 就役中 | バンダレ・アッバース |
77 | ダーマヴァント IRIS Damavand ناوچه دماوند |
2007年 | 2013年 5月17日 | 2015年 | 2018年 1月10日[7] | バンダレ・アンザリー |
74 | サハンド IRIS Sahand ناوچه سهند |
不明 | 2012年 | 2018年12月1日 | 就役中 | バンダレ・アッバース |
75[3] | デーナ IRIS Dena |
不明 | 2021年6月14日[3] | 就役中 | バンダレ・アッバース |
運用史
[編集]2018年1月、カスピ海を担当する北部艦隊に所属していた2番艦「ダマーヴァンド」が、嵐のため防波堤に衝突し、浸水・沈没した[8][9]。
「サハンド」は2021年、133日間、4万5000キロメートルの長距離航海を実施し、イランの最高指導者アリー・ハーメネイーや国内メディアから称賛された。バンダレ・アッバース港を5月2日に出航して、アフリカ大陸南端回りで7月25日にロシア連邦サンクトペテルブルクに到着。スエズ運河を経由して9月9日に寄港した。経済制裁下で兵器などの国産化を進める「抵抗経済」の象徴の一つとなっている[10]。
2024年7月、3番艦「サハンド」はイラン南部のバンダレ・アッバースにあるイラン海軍第1海軍基地で横転沈没した。修理中に浸水して傾斜し、その後艦を固定していたロープが切断して沈没したとされる[9]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i Wertheim 2013, pp. 308–309.
- ^ a b c d e f g Saunders 2015, p. 385.
- ^ Sam LaGrone (2014年7月24日). “Iran Claims New Frigate Undergoing Sea Trials with Armed UAVs”. USNI News 2021年6月15日閲覧。
- ^ Jeremy Binnie (04 January 2017). “Iran tests Talash air defence system”. Jane's Defence Weekly. オリジナルの2017年1月4日時点におけるアーカイブ。
- ^ Wertheim 2013, p. 306.
- ^ “Destroyer of the Navy of Iran Flew Into a Breakwater in the Caspian Sea”. Maritime Herald (11 January 2018). 11 January 2018閲覧。
- ^ “イランがカスピ海に駆逐艦を配備”. 世界の艦船 (2023年12月19日). 2024年8月9日閲覧。
- ^ a b “Iranian warship that sank during repairs now retrieved”. marineindustrynews.co.uk (2024年7月19日). 2024年8月9日閲覧。
- ^ 飯島健太「【世界発2021】メイドイン・イラン 車も家電も/長引く制裁 苦肉の「抵抗経済」/国産駆逐艦 133日間航海「偉業」」『朝日新聞朝刊』2021年10月16日、国際面。2021年10月16日閲覧。
参考文献
[編集]- グローバルセキュリティー (2011年7月9日). “Mowj Class Corvette” (英語). 2012年7月14日閲覧。
- SPG Media Limited (2011年). “Jamaran / Mowj Class Multi-Purpose Guided Missile Frigate, Iran - Naval Technology” (英語). 2012年7月14日閲覧。
- Saunders, Stephen (2015). Jane's Fighting Ships 2015-2016. Jane's Information Group. ISBN 978-0710631435
- Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World (16th ed.). Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545