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サキシマスオウノキ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メンクランから転送)
サキシマスオウノキ属
サキシマスオウノキ Heritiera littoralis
(沖縄の名木百選に選ばれた西表島仲間川上流のもの[1]2007年8月撮影)
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ上類 superrosids
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : アオイ類 malvids
: アオイ目 Malvales
: アオイ科 Malvaceae
亜科 : Sterculioideae
: サキシマスオウノキ属 Heritiera
学名
Heritiera
Aiton
タイプ種
サキシマスオウノキ Heritiera littoralis
シノニム
和名
サキシマスオウノキ属

#種を参照

サキシマスオウノキ属Heritiera)はアオイ科(クロンキスト体系ではアオギリ科)のの一つである。

特徴

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スンドリ

インド洋沿岸や南太平洋沿岸地域に見られるサキシマスオウノキHeritiera littoralis[2]や、主にバングラデシュからタイにかけての潮間帯英語版扇状地に生育し2008年に絶滅危惧種と評価されたスンドリベンガル語: সুন্দরী; 学名: Heritiera fomes[3]ボルネオ島のやはり潮間帯の扇状地に見え、2008年に絶滅危惧種と評価されたマルミノサキシマスオウノキHeritiera globosa[4]など、海岸近くの地域に見られる種が存在する。スンドリはインドからバングラデシュにかけてこの木が見られる地域スンダルバン/シュンドルボンの語源になったと考えられる[5]

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ナガエスオウノキ

40種が認められる[6]

利用

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ニヤンゴン材

この属のいくつかの種からは有用な材が得られる。マレー群島区系産のメンクラン(後述)や西アフリカ産のニヤンゴン[2]コートジボワールアニ語: niangon[12])などである。

メンクラン

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マレー群島区系産の Heritiera borneensisパラピH. javanica; マレー語: mengkulang jari; フィリピン名: lumbayau、gisang; タイ名: chumpraek)[2]H. simplicifoliaインドネシア語: teraling; マレー語: mengkulang (siku keluang)サバ州では kembang)[2]の3種はまとめてメンクラン(マレー語: mengkulang)と呼ばれる[13]心材は帯桃中褐色から暗赤褐色で縦軸方向の切断面に黒い筋が現れることが多く、これに淡橙色の辺材が混ざり込んでいる[13]。時に不規則な交錯木理で、柾目木取りの材面に幅の広い縞や、くっきり浮かぶ赤い斑をなす[13]肌目はやや粗だが均一である[13]気乾比重は樹種によって差はあるが平均は0.64-0.72で、乾燥は早く良好であるものの、樹種によってそりや表面割れを起こしやすい場合もある[13]。緻密な木材で乾燥後は安定している[13]曲げ強さ[注 2]剛性[注 3]耐衝撃荷重性[注 4]は中庸で圧縮強さ[注 5]は高いが、蒸し曲げに対する適性は非常に低い[13]。加工性は良い方であるが、刃先、特に鋸の刃先をすぐに鈍磨させるという難点がある[13]。釘打ちをする場合には下穴が必要となる。接着性は良好で、目止め剤を使用すれば美しい仕上がりが得られる[13]。木材は腐朽しやすく、辺材はケブトヒラタキクイムシMinthea rugicollis)の害を受けやすい[13]。心材を保存薬品処理することは難しいが、辺材に関してはそこまで困難でもない[13]。原産地ではキャビネット家具車大工、車体内装、羽目板敷居枕木ボートの肋材、厚板、住宅用フローリングに用いられる。ほかに扉、竜骨、つき板、曲木という用途も存在する[2]。さらに一般建設資材、住宅建築、内装建具工事などにも使用される[13]。メンクラン材はまたロータリーカットされて、原産国における住宅用合板製造に、あるいはスライスカットされて化粧単板にされる[13]

脚注

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注釈

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  1. ^ 記載者の金平亮三本人により「ながえすはうのき」という和名が与えられた[11]
  2. ^ 板材の両端に力を加えて割れる時の力を測定したもの[13]
  3. ^ 木材の弾力性を表す尺度で、曲げ強さとの関連で考慮される[13]
  4. ^ 木材の靭性の尺度のことで、急に加えられる衝撃荷重に対する抵抗力を表す[13]
  5. ^ 木口に加えられる荷重に耐えられる能力のことで、短柱や支柱などに用いられる木材にとっては重要な要素となる[13]

出典

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  1. ^ 沖縄の名木百選 仲間川のサキシマスオウノキ”. おきなわ 緑と花のひろば. 沖縄県 環境部環境再生課. 2020年4月28日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j 熱帯植物研究会 編 編「アオギリ科 STERCULIACEAE」『熱帯植物要覧』(第4版)養賢堂、1996年、302-311頁。ISBN 4-924395-03-X 
  3. ^ Kathiresan, K., Salmo III, S.G., Fernando, E.S., Peras, J.R., Sukardjo, S., Miyagi, T., Ellison, J., Koedam, N.E., Wang, Y., Primavera, J., Jin Eong, O., Wan-Hong Yong, J. & Ngoc Nam, V. (2010). Heritiera fomes. The IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T178815A7615342. doi:10.2305/IUCN.UK.2010-2.RLTS.T178815A7615342.en. Downloaded on 7 June 2021.
  4. ^ Sukardjo, S. (2010). Heritiera globosa. The IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T178807A7612712. doi:10.2305/IUCN.UK.2010-2.RLTS.T178807A7612712.en. Downloaded on 7 June 2021.
  5. ^ Krishnamurthy, K. (1980). “Gondwanaland in Ancient Indian Literature”. In Mary Sears and Daniel Merriman. Oceanography: The Past. New York and Heidelberg and Berlin: Springer-Verlag. p. 788. doi:10.1007/978-1-4613-8090-0_69. ISBN 978-1-4613-8092-4. https://books.google.co.jp/books?id=jUrTBwAAQBAJ&pg=PA788&dq=Sunderbans+etymology&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwj3nMrwkOzoAhWUHXAKHVkkDaYQ6AEIJzAA#v=onepage&q=Sunderbans%20etymology&f=false 
  6. ^ POWO (2019). "Plants of the World Online. Facilitated by the Royal Botanic Gardens, Kew. Published on the Internet; http://www.plantsoftheworldonline.org/ Retrieved 14 April 2020."
  7. ^ Nathan Banks (1868–1953) entomologist, Richard C. Banks (1940-) or ジョゼフ・バンクス (1743–1820) botanist
  8. ^ IUCN (国際自然保護連合) 編、岩槻邦男・太田英利 訳『世界の絶滅危惧生物図鑑』丸善出版、2014年、301頁。ISBN 978-4-621-08764-0(原書: Species on the Edge of Survival, HarperCollins Publishers, 2011.)
  9. ^ Phillip Parker King (1791-1856; 探検家) もしくは ジョージ・キング (植物学者) (1840-1909; 植物学者)
  10. ^ 平井, 信二「内外樹木のいろいろ (5):サキシマスオウノキ属の樹木 (その3)」『木材工業』第46巻第10号、1991年、487-491頁。 
  11. ^ 金平, 亮三南洋群島植物誌』南洋庁、1933年、229頁https://books.google.co.jp/books?id=4gD-gy5YL_MC&pg=PA229&dq=ながえすはうのき&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjYhN22sOnoAhXPdXAKHTTFBXMQ6AEIJzAA#v=onepage&q=ながえすはうのき&f=false 
  12. ^ Kerharo, J.; Bouquet, A. (1950). Plantes médicinales et toxiques de la Côte-d’Ivoire - Haute-Volta. Paris: Vigot Frères. p. 62. http://www.documentation.ird.fr/hor/fdi:01281 
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q エイダン・ウォーカー 編『世界木材図鑑』乙須敏紀 訳、産調出版、2006年、112頁。ISBN 4-88282-470-1(原書: The Encyclopedia of Wood, Quarto, 1989 & 2005.)