コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

メイタイシガキフグ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メイタイシガキフグ属
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: フグ目 Tetraodontiformes
: ハリセンボン科 Diodontidae
: メイタイシガキフグ属 Cyclichthys
学名
Cyclichthys
Kaup, 1855
タイプ種
メイタイシガキフグ
Diodon orbicularis
Bloch, 1785
本文参照

メイタイシガキフグ属学名: Cyclichthys )はフグ目ハリセンボン科に属するのひとつである。インド洋、および西太平洋熱帯域を中心に3種が生息し、日本でもそのうち2種がみられる。本属に属する魚類はいずれもくちばし状の歯を用いて甲殻類などの無脊椎動物を捕食し、体は棘で覆われている。

分類

[編集]

メイタイシガキフグ属 Cyclichthysフグ目 (Tetraodontiformes) のハリセンボン科 (Diodontidae) に所属するのひとつである[1][2]

本属は、すでにマルクス・エリエゼル・ブロッホが記載しハリセンボン属 Diodon に分類していたメイタイシガキフグ Diodon orbicularis を含む新たな属として、ドイツ博物学者ヨハン・ヤーコプ・カウプ英語版によって1855年に創設された[1][3]。なお、この時カウプは本属のタイプ種を指定していなかったが、のちの1865年にピーター・ブリーカーがメイタイシガキフグをタイプ種として指定し、以降の研究者はそれに従っている[4]。属名のCyclichthys は、ギリシア語で「円」「輪」を意味する"kyklos"と、「魚」を意味する"ichthys"からなる合成語である[5]

形態

[編集]

本属魚類は根元が3本に分岐した強大な棘(の変形したもの)を体全体に持つ。これらの棘は不動性であり、根元が2本に分岐した可動性の棘を持つハリセンボン属魚類と識別される。尾鰭には9本の軟条があり、尾柄の背面に棘はない。近縁のイシガキフグ属 Chilomycterus の魚類は尾鰭に10本の軟条を持つうえ尾柄の背面にも棘がみられ、これらの点で本属と識別される[3][6]。側面からみると卵型の体型を示し、尾柄に向かって細くなる[3]。歯はくちばし状に癒合する[6]

生態

[編集]

他のフグ類と同様、本属魚類は体を膨らませることができる。ハリセンボン属の魚類と異なり棘を立てることはできない。しかし、棘で覆われて膨らんだ状態の本属の魚を飲み込むのは、捕食者にとって十分困難である[3][6]。強大なくちばし状の歯を用いて、甲殻類軟体動物などの硬い殻を持った無脊椎動物を捕食する[6]。本属魚類はテトロドトキシンシガテラ毒を体内に含む可能性があるが[6]毒性についての詳細は不明である[3]

下位分類と分布

[編集]

本属にはインド洋と西太平洋から3種が認められている。うち2種が日本に分布する。分布の中心は熱帯域だが、温帯域に出現する種もいる[3][7]

画像 標準和名  学名 分布
- Cyclichthys hardenbergi
(de Beaufort, 1939)
オーストラリア北西部からニューギニア[3]
メイタイシガキフグ  Cyclichthys orbicularis
(Bloch, 1785)
 紅海を含むインド洋と西太平洋。日本では佐渡島以南[8]
イガグリフグ   Cyclichthys spilostylus
(Leis & J. E. Randall 1982)
 紅海を含むインド洋と西太平洋の熱帯[3]。日本では佐渡島以南[9]

出典

[編集]
  1. ^ a b "Cyclichthys" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2020年4月11日閲覧
  2. ^ メイタイシガキフグ属”. 日本海洋データセンター(海上保安庁). 2020年4月11日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h 松浦啓一『日本産フグ類図鑑』東海大学出版部、2017年、79-104頁。ISBN 9784486021278 
  4. ^ Leis, J. M. (2006). “Nomenclature and distribution of the species of the porcupinefish family Diodontidae (Pisces, Teleostei)”. Memoirs of Museum Victoria 63 (1): 77–90. doi:10.24199/j.mmv.2006.63.10. 
  5. ^ 中坊徹次、平嶋義宏『日本産魚類全種の学名: 語源と解説』東海大学出版部、2015年、274頁。ISBN 4486020642 
  6. ^ a b c d e Lieske, E. & Myers, R.F. (2004): Coral reef guide; Red Sea London, HarperCollins ISBN 0-00-715986-2
  7. ^ Matsuura, K. (2014): Taxonomy and systematics of tetraodontiform fishes: a review focusing primarily on progress in the period from 1980 to 2014. Ichthyological Research, 62 (1): 72-113.
  8. ^ 『小学館の図鑑Z 日本魚類館』中坊徹次 監修、小学館、2018年、484-485頁。ISBN 9784092083110 
  9. ^ 土井啓行、本間義治、園山貴之、石橋敏章、宮澤正之、米山洋一、酒井治己「新潟県佐渡島より記録された北限のイガグリフグ Cyclichthys spilostylus」『水産大学校研究報告』第62巻第2号、2014年、NAID 120005848039