マーサ・マイ・ディア
「マーサ・マイ・ディア」 | ||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『ザ・ビートルズ』 | |||||||||
英語名 | Martha My Dear | |||||||||
リリース | 1968年11月22日 | |||||||||
録音 |
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ジャンル | ||||||||||
時間 | 2分28秒 | |||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||
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「マーサ・マイ・ディア」(Martha My Dear)は、ビートルズの楽曲である。1968年に発売された9作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ザ・ビートルズ』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、ポール・マッカートニーによって書かれた楽曲で、自身が飼っていたオールド・イングリッシュ・シープドッグたるマーサ(1966年 - 1982年夏・老衰死)を題材としている[3][4]。
背景・曲の構成
[編集]1966年夏に北ロンドンに引っ越したマッカートニーは、間もなくしてオールド・イングリッシュ・シープドッグのマーサを飼い始めた[5]。マーサについてマッカートニーは、「僕が初めて飼うペットだ。僕が動物に凄く優しいのを見て、ジョンが『こんなおまえを見るのは初めてだ』って驚いていたのを覚えてる。マーサはとても可愛らしくて、思わず抱きしめたくなるような犬だった」と語っている[5]。
アルバム『ザ・ビートルズ』収録曲では数少ないピアノを主体とした楽曲で[5]、マッカートニーは「ピアノは完全に独習だった。たいていはベースラインを弾くだけだったけど、それで十分事足りていた。僕らはいつもその上に歌を被せていたから、あまり余計なことはしないといいと思った。歌詞やらメロディやらを乗せやすいようにね。そんな中でいちばん凝ったプレイをしたのが『マーサ・マイ・ディア』。実を言うと少しばかり対位法みたいなことをしてるけど、これもやっぱり独習だった。なんとか頑張って2つのパートを一度に弾けるようになった」と語っている[5]。
メロディが完成した後に、マッカートニーはマーサについて歌詞を書いた[5]。歌詞についてマッカートニーは、「普段は『こういうことについて曲を書こう』と考えながら、曲を書くことはない。メロディが出来上がると自然に何かの歌詞が浮かんでくるんだけど、この時はたまたま『いとしのマーサ。僕の毎日は会話で終わってしまうけれど』だった。特に意味はないけど、とにかくこの歌詞が頭に浮かんできた」と語っている[6][5]。1968年春にマッカートニーがノートに残した曲名のリストには「Martha My Dear」と「Silly Girl」が含まれているが、同年5月にイーシャーにあるジョージ・ハリスンの自宅で行われたデモ録音では、本作は採り上げられなかった[5]。その後レコーディングが行われる秋までに、この2つの楽曲が1つにまとめられることとなった[5]。
曲のキーはEbメジャーに設定されていて[7]、3拍子と2拍子のパートが1小節ずつあるほか、4分の4拍子のパートが存在する[8]。
レコーディング
[編集]「マーサ・マイ・ディア」のレコーディングは、1968年10月4日にトライデント・スタジオで行われた[5]。ベーシック・トラックとストリングスのオーバー・ダビングは同じ日に行われており、ジョージ・マーティンはマッカートニーがあらかじめ録音したデモを基に、ストリングスとブラスのスコアを書いたと推測されている[5]。
8トラック・レコーダーのトラック5にボーカルと手拍子、トラック6にドラムとリズムギター、トラック7にピアノが録音された[5][注釈 1]。ドラムの録音時に、マル・エヴァンズがバスドラムの皮に穴を開けたことが明かされている[5]。外部ミュージシャンによって、トラック3にトランペットとホルン、トラック4にトロンボーンとチューバ、トラック8にストリングスが録音された後、新たに録音されたマッカートニーのボーカルがダブルトラッキングされ、手拍子とともにトラック2に収録された[5]。
10月5日にモノラル・ミックスとステレオ・ミックスが作成され、これがトライデント・スタジオにおけるアルバム用の最終セッションとなった[5]。なお、トライデント・スタジオはアメリカのNABイコライゼーションを使用していたため、イギリスでは標準となっていたCCIRに転換するために、10月7日にEMIレコーディング・スタジオでコピーされた[9]。
クレジット
[編集]- ポール・マッカートニー - ダブルトラックのボーカル、ピアノ、ベース、リードギター、ドラム、ハンドクラップ、ブラス&ストリングス編曲
- ジョージ・マーティン - ブラス&ストリングス編曲
- バーナード・ミラー、デニス・マコーネル、ルー・ソフィア、レ・マドックス - ヴァイオリン
- レオ・バーンバウム、ヘンリー・マイヤーズコー - ヴィオラ
- レジナルド・キルビー、フレドリック・アレキサンダー、ピーター・ホーリング - チェロ
- レオン・カルヴァート - トランペット、フリューゲルホルン
- スタンリー・レイノルズ、ロニー・ヒューズ - トランペット
- トニー・タンストール - フレンチ・ホルン
- テッド・バーカー - トロンボーン
- アルフ・リース - チューバ
以上が、イアン・マクドナルド[3]とマーク・ルイソン[10]の著書に記載されていたクレジットである。
しかし、2018年に発売された『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム) 〈スーパー・デラックス・エディション〉』に付属のブックレットでは、以下のようなクレジットとなっている[5]。
- ビートルズ
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- ポール・マッカートニー - リード・ボーカル、ピアノ、ベース、手拍子
- ジョージ・ハリスン - エレクトリック・ギター
- リンゴ・スター - ドラム
- 追加の楽器
カバー・バージョン
[編集]- アンブローズ・スレイド - 1969年に発売されたアルバム『Beginnings』に収録[11]。
- フールズ・ガーデン - 1997年に発売されたアルバム『Go and Ask Peggy for the Principal Thing』に収録[12]。
- フィッシュ - 2002年に発売したアルバム『Live Phish Volume 13』に収録[13]。
- ブラッド・メルドー - 2005年に発売したアルバム『Day Is Done』[14]と2011年に発売したライブ・アルバム『Live in Marciac』に収録[15]。
- 小曽根真 - 2007年に発売されたアルバム『フォーリング・イン・ラヴ、アゲイン』に収録。
- タケカワユキヒデ - 2010年に発売されたアルバム『CHRONICLE 5&6+2』に収録。
- マデリン・ペルー - 2011年に発売したアルバム『Standing on the Rooftop』に収録[16]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 2018年に発売された『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム) 〈スーパー・デラックス・エディション〉』のCD 6に収録の「マーサ・マイ・ディア (ウィズアウト・ブラス・アンド・ストリングス)(Martha My Dear (Without Brass And Strings))」は、これらの音源をミックスしたもの[5]。
出典
[編集]- ^ Pollack 1995.
- ^ Chew, DeReiter & Doheny 2010, p. 327.
- ^ a b MacDonald 2005, p. 322.
- ^ Raul (2010年1月10日). “The Story About Paul McCartney’s Dog Martha”. John Lennon, Paul McCartney, The Beatles. 2018年12月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p White Album 2018, p. 17.
- ^ Womack 2016, p. 326.
- ^ “Digital Sheet Music - The Beatles - Martha My Dear”. Musicnotes.com. Sony/ATV Music Publishing. 2020年10月9日閲覧。
- ^ “真実のビートルズ・サウンド[完全版]『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』全曲解説”. ギター・マガジン. リットーミュージック. 2020年10月9日閲覧。
- ^ White Album 2018, pp. 17–18.
- ^ Lewisohn 1988, p. 159.
- ^ Viglione, Joe. Ballzy - Ambrose Slade | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月31日閲覧。
- ^ Viglione, Joe. Go and Ask Peggy for the Principal Thing - Fool's Garden | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月31日閲覧。
- ^ Jarnow, Jesse. Live Phish, Vol. 13: 10/31/94, Glens Falls Civic Center, Glens Falls, NY - Phish | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月18日閲覧。
- ^ Day Is Done - Brad Mehldau | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月31日閲覧。
- ^ Live in Marciac - Brad Mehldau | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月31日閲覧。
- ^ Viglione, Joe. Standing on the Rooftop - Madeleine Peyroux | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月31日閲覧。
参考文献
[編集]- Chew, Leslie; DeReiter, Dwight; Doheny, Cathy (2010). The Daily Book of Classical Music: 365 Readings That Teach, Inspire & Entertain. Walter Foster Publishing. ISBN 978-1600582011
- ハウレット, ケヴィン (2018). ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム) 〈スーパー・デラックス・エディション〉 (ブックレット). ビートルズ. アップル・レコード.
- Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. ISBN 0-517-57066-1
- MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). ISBN 1-84413-828-3
- Pollack, Alan W. (1995年). “Notes on Martha My Dear”. Notes on ... Series (No. 137). 2020年8月30日閲覧。
- Womack, Kenneth (2016). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Greenwood. ISBN 978-1440844263
外部リンク
[編集]- Martha My Dear - The Beatles