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マーク・フローベイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Marc Fleurbaey
マーク・フローベイ
近影(2017年2月)
生誕 (1961-10-11) 1961年10月11日(63歳)
ノルマンディー地方メニル=ラウル (fr)
市民権 フランス
国籍 フランス
研究分野 経済理論 (fr)、哲学
研究機関 プリンストン大学
ルーヴァン・カトリック大学計量経済研究所=CORE)
フランス国立科学研究センター (CNRS)
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス
ハーバード大学
オックスフォード大学ナフィールド・カレッジ
セルジー=ポントワーズ大学 (fr)
ポー大学
旧パリ第五大学(Paris V、現パリ大学
出身校 ParisTech・ENSAEパリ校 (fr)
社会科学高等研究院・EHESS)
パリ第10大学
主な業績 経済正義 (enfr)、社会的不平等の分析の枠組み作り。厚生経済学および社会的選択社会的選択責任および環境経済学の研究。
主な受賞歴 ルーヴァン・カトリック大学名誉学位 (2016年)
プロジェクト:人物伝
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マーク・フローベイ(Marc Fleurbaey、1961年10月11日 - )は、フランス経済学者で、厚生経済学規範的経済学の専門家。セーヌ=マリティーム県メニル=ラウル英語版出身。

概要

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1994年以来、フランス英国米国で研究職、教職につき、2011年にはプリンストン大学ロバート・E・ケンネ教授に着任、また同学の教授職として人文科学(Humanistic Studies)ならびに広報学(Public Affairs)も担当する。FMSH ( Fondation Maison des Sciences de l'homme(フランス語)) では福祉の経済学学部長も務めた。その前職はフランス国立統計経済研究所所長である(1986年から1994年まで)。

フローベイは現在、福祉経済の分野[1]で最も著名な研究者の一人に数えられ、経済学におけるその大きな貢献とは「責任の経済」[2]と名付けた、責任の概念の研究分野を発展させた点にある[3][4][5]厚生経済学、経済正義、社会的不平等[6]、社会進歩(Social progress)ならびに社会的選択の分野における先駆的な研究でも知名度は高い。哲学への貢献は特に規範的倫理政治哲学経済哲学においても著しい。

略歴

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学位

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フローベイは哲学修士号をパリテク[注釈 1](1986年)とパリ第10大学(1991年)から、経済学博士号を社会科学高等研究院(1994年)[7]から取得した[8]

職歴

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フランス国立統計経済研究所所長 (fr)から、経済学教授としてセルジー=ポントワーズ大学フランス語版ポー大学[9]、旧パリ第5大学(現パリ大学)に奉職、フランス国立科学研究センター所長[10]を歴任した。フローベイは2011年にプリンストン大学のウッドロー・ウィルソン公共および国際問題大学院(en)[11]に経済広報担当のロバート・E・ケンネ教授として着任、同学ヒューマンバリューセンター[12]、健康福祉センター、ウィリアム・S・ディートリッヒII世経済理論センター[13]の教授を兼務、プリンストン環境研究所[14]の研究員でもある。

公開討論に関与

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市民参加の研究者として世界銀行[15][16]および国連[17][18]OECD[19]の委員として貢献し、複数の報告書に寄稿したり編集委員会に参加するなど国内外で役割を果たしてきた。また関連する福祉[20][21]、社会進歩[22][23]公共政策気候変動などの社会問題について、メディアに定期的に出演して発言している。

諮問と報告書

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社会進歩に関する国際パネル(IPSP)

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300人以上の経済学と社会科学の研究者を集めて国際社会進歩パネル(IPSP)を指揮し、パネルとして21世紀の社会を再考するよう勧告、またグローバル化され相互に関連し合う世界における社会進歩の新しいビジョンを提案する。パネルがもたらした出版物は『IPSPレポート』と『マニフェスト』の2件で、どちらも学際的な観点から構成された。また気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書(2014年)の編集委員長も務めている[注釈 2]。多数の公的機関の中ではフランスのニコラ・サルコジ大統領に通称スティグリッツ委員会英語版フランス語版の一員に任命された。

フローベイが座長を務めた「国際社会進歩パネル」(IPSP)は、経済学と社会科学の研究者が300人以上集まる。運営委員会にはアマルティア・センに加えてケネス・アロージェームズ・ヘックマンなどノーベル賞受賞者が数名連なる。パネルにはアンソニー・アトキンソン[注釈 3]ホルベア賞受賞社会学者マニュエル・カステルエドガー・モラン[注釈 4]マイケル・ポーター[注釈 5]も参加。

著作

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脚注

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注釈

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  1. ^ パリテクの正式名は École nationale de la statistique et de l'administration économique Paris(統計・経営・経済国立学校パリ校)。
  2. ^ IPCC『第5次評価報告書(2014年)』[24]に関わる報告書類は以下のとおり。過年度に発行された作業部会報告書ほかをまとめた統合報告書[24]には、環境省の邦訳(2016年)[25]、また政策決定者向け要約技術要約[26]には同省の邦訳(2016年)[27]がある。原書にはそのほか、『統合報告書』のもととなるIPCC第2作業部会[26]および同第3作業部会[28]の分担報告書があり、IPCC版のほか大学出版局版[29][30]がある。なお「作業部会報告書:3」も環境省より邦訳がある[31]
  3. ^ オックスフォード大学経済学者、専門は不平等と経済。
  4. ^ 社会学者、哲学者。
  5. ^ ハーバード大学経済学と戦略の教授。
  6. ^ 肩書きはそれぞれ、パリ第5大学教授(フローベイ)、François Maniquet(フランソワ・マニケ)はルーヴァン・カトリック大学

出典

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  1. ^ 第4回:何(誰)のための社会進歩か?—福祉国家の再構築— | Social Progress for What (Whom)? —Reconstruction of the Welfare State—” (pdf). 一橋大学 (11 November 2018). 2019年10月3日閲覧。
  2. ^ Maniquet 2017.
  3. ^ 後藤 2002, pp. 43−54.
  4. ^ 澤里 2009, pp. 130–131.
  5. ^ 小林 2010, p. 49.
  6. ^ Fleurbaey 2008.
  7. ^ Fleurbaey, Mongin 1994.
  8. ^ Marc Fleurbaey” (英語). The Conversation. 2019年3月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月16日閲覧。
  9. ^ Candau,Fleurbaey 2006.
  10. ^ Marc Fleurbaey - Faculty - 2018 EAERE-FEEM-VIU ヨーロッパ夏期講習”. 2019年4月16日閲覧。
  11. ^ 教員紹介
  12. ^ Marc Fleurbaey” (英語). University Center for Human Values. 2019年10月3日閲覧。
  13. ^ $1.05M Awarded for Innovative Research, Teaching, and Mentorship in Energy and the Environment” (英語). Princeton Environmental Institute. 2019年10月3日閲覧。
  14. ^ Princeton Environmental Institute”. environment.princeton.edu. 2019年10月3日閲覧。
  15. ^ Who We Are > News > Events > Rethinking the Welfare State for the 21st Century | March 16, 2017, Washington, DC” (英語). 2019年2月19日閲覧。
  16. ^ Frontiers in Measurement > Well-being Inequality and Preference Heterogeneity” (pdf). 世界銀行. 2019年10月4日閲覧。 シンポジウム「Equity and Development: Ten Years On」(2016年10月20日–21日、ワシントン D.C.)報告書。
  17. ^ Klasen, Fleurbaey 2018.
  18. ^ Fleurbaey & 2018/05.
  19. ^ Partners - Organisation for Economic Co-operation and Development”. www.oecd.org. 2019年4月13日閲覧。
  20. ^ Fleurbaey & 2010/02.
  21. ^ Fleurbaey 2001, pp. 6–11.
  22. ^ Marc Fleurbaey, « Mettre l'économie au service du progrès social »(フランス語), Sciences humaines 277(1), 2016-01-01, p.40.
  23. ^ Marc Fleurbaey; Marie-Laure Salles-Djelic, "Cinq chantiers majeurs pour le XXI À propos des travaux du Panel international sur le progrès social"(フランス語), Futuribles, 432(5), 2019-08-13, pp.65-78.
  24. ^ a b Core Writing Team; Pachauri, R. K.; Meyer, Leo; IPCC『Climate change 2014 : synthesis report : A report of the Intergovernmental Panel on Climate Change』(英語)、IPCC、2014年、ISBN:9789291691432。NCID:BB19078252。
  25. ^ Core Writing Team; Pachauri, R. K.; Meyer, Leo; 文部科学省; 経済産業省; 気象庁; 環境省; Mach, Katharine J.; Planton, Serge; Stechow, Christoph von; IPCC『気候変動2014 : 統合報告書』、環境省、2016年。NCID:BB22828066。
  26. ^ a b Field, Christopher B.; IPCC; IPCC作業部会II『Climate change 2014 : impacts, adaptation and vulnerability : Working Group II contribution to the fifth assessment report of the Intergovernmental Panel on Climate Change』(英語)、IPCC、2014年、ISBN:9789291691418。NCID:BB19071446。
  27. ^ Field, Christopher B.; 環境省; IPCC『気候変動2014 : 影響、適応及び脆弱性 : 政策決定者向け要約技術要約』、環境省、2016年。『気候変動に関する政府間パネル第5次評価報告書』のうち「作業部会報告書」第2巻に相当。NCID:BB2282745X。
  28. ^ Edenhofer, Ottmar; IPCC; IPCC作業部会III『Climate change 2014 : mitigation of climate change : Working Group III contribution to the fifth assessment report of the Intergovernmental Panel on Climate Change』(英語)、IPCC、2015年、ISBN:9789291691425。NCID:BB19071639。
  29. ^ Barros, Vicente R.; IPCC; IPCC作業部会II『Climate change 2014 : impacts, adaptation and vulnerability : Working Group II contribution to the fifth assessment report of the Intergovernmental Panel on Climate Change』(英語)、ケンブリッジ大学出版局、2014年、ISBN:9781107641655、ISBN:9781107058071、ISBN:9781107683860、ISBN:9781107058163。NCID:BB17708859。
  30. ^ Edenhofer, Ottmar; IPCC; IPCC作業部会III『Climate change 2014 : mitigation of climate change : Working Group III contribution to the fifth assessment report of the IPCC』(英語)、ケンブリッジ大学出版局、2014年、ISBN:9781107654815、ISBN:9781107058217。NCID:BB17898663。
  31. ^ Edenhofer, Ottmar; 経済産業省; 環境省; IPCC『気候変動2014 : 気候変動の緩和 : 政策決定者向け要約技術要約』、環境省、2016年。NCID:BB22827234—邦訳。『気候変動に関する政府間パネル第5次評価報告書』の「作業部会報告書:3」に相当。

参考文献

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関連文献

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  • ジョセフ・E・スティグリッツ、アマティア・セン、ジャンポール・フィトゥシ、IPCC『暮らしの質を測る : 経済成長率を超える幸福度指標の提案』福島清彦 (訳)、金融財政事情研究会; きんざい (発売)、2012年。全国書誌番号:22075368 原著ペーパーバック版 (New Press, 2010) の全訳。

関連項目

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外部リンク

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