コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

マルバチシャノキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マルバチシャノキ
マルバチシャノキの果実
(2024年6月 沖縄県石垣市)
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類
core eudicots
階級なし : pentapetalae
階級なし : キク上群 superasterids
階級なし : キク類 asterids
階級なし : シソ類 lamiids
: ムラサキ目 Boraginales
: ムラサキ科 Boraginaceae
: チシャノキ属 Ehretia
: マルバチシャノキ
E. dicksonii
学名
Ehretia dicksonii Hance
マルバチシャノキ(2024年7月 沖縄県石垣市)

マルバチシャノキ(丸葉萵苣木、学名:Ehretia dicksonii)はムラサキ科チシャノキ属の落葉小高木。IUCNレッドリストLC(低危険種)。環境省レッドリストには掲載されていないが、千葉~鹿児島の太平洋側各県で絶滅危惧種に指定されている[2]

特徴

[編集]

高さ5–10 mほど。葉は大型の楕円形~広卵形で互生し、長さ8–20 cm、葉身は厚く、縁に粗い鋸歯をもち、葉表には剛毛が多くざらつき、葉裏は細毛が多く、葉脈が隆起して網目が目立つ。花冠は黄白色の漏斗型で径1 cm、先が5つに裂け、裂片は反り返る。散房花序を形成し、春に開花する。花には良い香りがある。果実は卵形、径2 cmほどで夏に黄色く熟し、バナナに似た香りを持ち、生食可能。樹皮は灰白色でコルク層が発達し深く裂ける[3][4][5][6][7]

分布と生育環境

[編集]

関東地方、四国、九州、南西諸島にやや稀にみられ、台湾、中国などにも分布。海岸の石灰岩地や低木林に生育するが、自生地は限られる。日当たりの良い肥沃地を好む。植栽や逸出野生化もあり、純粋な自生と区別が難しいことがある[3][4][5][6][7]

利用

[編集]

建築用材、公園緑化用。新芽や果実は食用になる。剪定耐性が弱く、自然樹形とする。病虫害は少ないが、カイガラムシがつく。繁殖は実生による[4]

近縁種

[編集]

葉が長楕円形で果実が径5 mmと小さいチシャノキ E. acuminata var. obovataは中国地方・四国・九州~先島諸島に[3][4]、果実が赤褐色のリュウキュウチシャノキ E. philippinensisは先島諸島に[3][4]、低木で葉が2–5 cmと小型のフクマンギ E. microphyllaが奄美群島~先島諸島に[8]それぞれ分布する。

脚注

[編集]
  1. ^ Botanic Gardens Conservation International (BGCI) & IUCN SSC Global Tree Specialist Group (2019). Ehretia dicksonii. IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T144118091A149041778. doi:10.2305/IUCN.UK.2019-2.RLTS.T144118091A149041778.en. https://www.iucnredlist.org/species/144118091/149041778 21 October 2024閲覧。. 
  2. ^ レッドデータ検索システム”. jpnrdb.com. 2024年10月23日閲覧。
  3. ^ a b c d (堀田 1997, p. 282–283)
  4. ^ a b c d e (海洋博記念公園管理財団 1997, p. 344)
  5. ^ a b (大川 & 林 2016, p. 381)
  6. ^ a b (片野田 2019, p. 82)
  7. ^ a b (沖田原 2021, p. 335)
  8. ^ (海洋博記念公園管理財団 1997, p. 283)

参考文献

[編集]
  • 堀田満 著「マルバチシャノキ」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 2巻、朝日新聞社、東京、1997年、282頁。ISBN 9784023800106 
  • 海洋博記念公園管理財団『沖縄の都市緑化植物図鑑』新星出版、那覇市、1997年。ISBN 9784902193732  ※ 学名をEhretia macrophyllaとしている
  • 大川智史; 林将之『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。ISBN 9784829984024 
  • 片野田逸郎『琉球弧・植物図鑑 from AMAMI』南方新社、2019年。ISBN 9784861244056 
  • 沖田原耕作『おきなわの園芸図鑑 園芸植物とその名前』新星出版、那覇市、2021年。ISBN 9784909366832 

外部リンク

[編集]