マルチバス
マルチバス(Multibus)は、産業用システムで使用されるコンピュータバスの規格である。インテルによって開発され、IEEE 765バス規格として採用された。
マルチバス仕様は、故障に強く、複雑な装置を設計することが可能な比較的大きなフォームファクタであり、重要な業界標準であった。 この業界標準は、よく定義され文書化されていたため、マルチバス互換の業界が成長した。 多くの企業がマルチバス用のカードを収める筐体を製作し、また別の企業がマルチバス用のCPU・メモリ・他の周辺ボードを製作した。 1982年には、100以上のボード・システムの製造業者が存在した[1]。 これは、複雑なシステムを、商用オフザシェルフのハードウェアから作ることを可能にした。
また、各企業は独自のマルチバスボードを設計し、他のベンダのハードウェアと組み合わせることで、斬新なシステムを構築することができた。 良い例が、ワークステーションのSun-1とSun-2を製作した、サン・マイクロシステムズである。 サンは独自設計のCPU・メモリ・SCS・ビデオディスプレイボードに、スリーコムの イーサネットボード・XylogicsのSMDディスクコントローラ・CipricoのTapemaster 1/2インチテープコントローラ・Skyの浮動小数点プロセッサ・Systechの16ポート端末インタフェースを加えて、ワークステーションやファイルサーバのシステムを構築した[2]。 他のマルチバスベースのワークステーションベンダとしては、HP/APOLLOを構築したアポロコンピュータ[3]や、IRISを構築したシリコングラフィックス[4]があった。
マルチバスの構造
[編集]マルチバスはいろいろな転送速度のデバイスを接続しながら、最大のスループットを維持できる、非同期バスである。20本のアドレスラインがあり、最大1 Mbのマルチバスメモリと、1 MbのI/O空間を使用することができる。しかし、ほとんどのマルチバスI/Oデバイスは、アドレス空間の最初の64 Kbしかデコードしていない。
マルチバスは、複数のプロセッサや他のDMA装置で共有するための、マルチマスタの機能をサポートしている[5]。
標準的なマルチバスのフォームファクタは幅12インチ、長さ6.75インチの回路基板であり、前面に、取り外しのための2つのレバーを持っている。ボードは2つのバスを備えている。幅の広いP1バスは、マルチバス仕様で定義されている。2つ目の、より小さいP2バスはプライベートバスとして定義されている。
マルチバスの規格
[編集]マルチバスには、以下のバス規格が含まれる:
- マルチバス システムバス - IEEE 796に採用
- iSBX (I/O拡張バス) - IEEE P959に採用
- iLBX (実行バス)
- マルチチャネルI/Oバス
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- ^ ftp://reports.stanford.edu/pub/cstr/reports/csl/tr/82/229/CSL-TR-82-229.pdf[リンク切れ] 「サン・ワークステーションのアーキテクチャ」, Andreas Bechtolsheim, Forest Baskett, Vaughan Pratt, スタンフォード大学 コンピュータシステム研究所 テクニカルレポート No. 229, 1982年3月
- ^ “アーカイブされたコピー”. 2007年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年4月25日閲覧。 サン・ハードウェア・リファレンス
- ^ http://www.umich.edu/~archive/apollo/partnos.txt HP/APOLLO SYSTEMS INFORMATION
- ^ http://www.futuretech.blinkenlights.nl/iris-faq.html Silicon Graphics IRIS 2000/3000 FAQ
- ^ サン68000ボード ユーザーズ・マニュアル、サン・マイクロシステムズ、1933年2月、リビジョンB