マティアス・ゲルネ
マティアス・ゲルネ Matthias Goerne | |
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基本情報 | |
生誕 |
1967年3月31日(57歳) 東ドイツ ヴァイマル |
学歴 | フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ音楽演劇大学ライプツィヒ |
ジャンル |
オペラ 歌曲 |
職業 |
声楽家(バリトン) オペラ歌手 音楽教育者 |
共同作業者 | アルフレート・ブレンデルなど |
著名使用楽器 | |
声楽 |
マティアス・ゲルネ (ドイツ語: Matthias Goerne, 1967年〈昭和42年〉3月31日[1] - ) は、ドイツの歌曲、コンサート、オペラ歌手(バリトン)。
経歴
[編集]ヴァイマル[1][2]で生まれた。父は劇作家で後にドレスデンの芸術監督となるディーター・ゲルネであり、音楽的環境に育った[3]。最初の楽器はチェロだったが、すぐに歌に転向した。9歳のとき、プロの歌手になろうと決意。カルメンやラ・ボエームなど父親の演劇作品の児童合唱団で歌った[3]。フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ音楽演劇大学ライプツィヒでハンス・ヨアヒム・バイエルに師事した。1989年にロベルト・シューマンコンクールで第2位、ソロモン=リンドバーグコンクールとフーゴ・ヴォルフコンクールで1位を受賞[4]。審査員長の作曲家・ピアニストのアリベルト・ライマンから、ゲルネはディートリヒ・フィッシャー=ディースカウを紹介され、彼は自分のアイドルであり、自分が知る限り最高の芸術家だと考えた。彼はフィッシャー=ディースカウから3年間歌のレッスンを受けることになった[3]。 次に、エリーザベト・シュヴァルツコップに2年半から3年間師事した[3]。
ゲルネはシューベルト、ブラームスからアルバン・ベルク、ハンス・アイスラーまで、ドイツ芸術歌曲の大使として、最高の評価を得ている[5]。また、カール・アマデウス・ハルトマン、ハンス・ヴェルナー・ヘンツェからオーストリアの現代作曲家トーマス・ラーシャーまで、新・現代音楽の重要作品の初演と再発見に力を注いでいる[5]。ゲルネはシカゴ・トリビューン紙[6]から「ドイツ芸術歌曲の今日の主要な解釈者」、ボストン・グローブ紙[7]から「現在演奏中の最も偉大な歌手の一人」と紹介されているなど、国際的に第一級のリート歌手との呼び声高く、有名な音楽祭やロンドンのウィグモア・ホール、ニューヨークのカーネギー・ホールなど世界の主要なコンサートホールの常連となっている。
著名なオーケストラとの共演も多い(中でも ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団、フィラデルフィア管弦楽団、ボストン交響楽団、サンフランシスコ交響楽団)。また、著名な指揮者たち(クラウディオ・アバド、リッカルド・シャイー、クリストフ・エッシェンバッハ、クリストフ・フォン・ドホナーニ、ベルナルト・ハイティンク、ニコラウス・アーノンクール、ジェームズ・レヴァイン、ロリン・マゼール、インゴ・メッツマッハー、小澤征爾、エサ=ペッカ・サローネン、レナード・スラットキン)と共演している。
1997年(平成9年)にザルツブルク音楽祭でオペラデビューして以来、ウィーン国立歌劇場[5]、バイエルン国立歌劇場[5]、ロンドンのコヴェント・ガーデン王立歌劇場、パリ国立オペラ[5]、マドリード・テアトロ・レアル[5]、チューリッヒ歌劇場、ドレスデン・ゼンパー・オーパー、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、ミラノ・スカラ座[5]など、世界の偉大なオペラステージに出演している。役柄はモーツァルト『魔笛』のパパゲーノ、ワーグナー『タンホイザー』のヴォルフラム、『ニーベルングの指環』のヴォータン、『パルジファル』アムフォルタス[5]、『トリスタンとイゾルデ』マルケ王[5]、リヒャルト・シュトラウス『エレクトラ』オレスト[5]、『影のない女』バラク[5]、バルトーク『青ひげ公の城』[5]、ヒンデミット『画家マティス』[5]、アルバン・ベルク『ヴォツェック』のタイトル・ロール、アリベルト・ライマン『リア』など多岐にわたる。
2001年(平成13年)から2004年(平成16年)まで、ロベルト・シューマン大学デュッセルドルフでリート歌唱の名誉教授として教鞭をとった。
ゲルネはデッカ/ユニバーサルと専属契約している。アルフレート・ブレンデルとの共演によるシューベルトの『冬の旅』をはじめ、数多くのCD録音が彼の芸術を記録している。2008年から2010年にかけて、ゲルネはハルモニア・ムンディ・レーベルのために、クリストフ・エッシェンバッハやレイフ・オヴェ・アンスネスといった有名なパートナーをピアノに迎えた、12枚のシューベルト歌曲のCDシリーズ(ゲルネ・シューベルト=エディション)を録音した[5]。ハイペリオン・レコードのためのシューベルト歌曲の録音ではグレアム・ジョンソンと共同作業をしている。近年はドイツ・グラモフォン・レーベルからヤン・リシエッキとのベートーヴェン歌曲集(2020年)、ピアニストのチョ・ソンジンとのプフィッツナー、シュトラウス、ワーグナーの歌曲集(2021年)を発表した[5]。
栄典(主なもの)
[編集]- ロンドン王立音楽アカデミー名誉会員[8]
- ドイツレコード批評家賞[5]
- ICMA賞2014[5]
- ディアパゾンドール[5]
- グラモフォン賞[5]
- BBCミュージックマガジン賞[5]
- ECHO "Singer of the Year" 2017[5]
- ヴァイマル芸術祭のアンバサダー[5]
参考文献
[編集]- Karl-Josef Kutsch, Leo Riemens: Großes Sängerlexikon, Band 4. Walter de Gruyter 2004, ISBN 3-598-4408-8X, S. 1768
脚注
[編集]- ^ a b “Matthias Goerne - Munzinger Biographie”. www.munzinger.de. 2023年4月10日閲覧。
- ^ Festspiele, Berliner. “Matthias Goerne – Biografie” (ドイツ語). www.berlinerfestspiele.de. 2023年4月10日閲覧。
- ^ a b c d “Feature Article”. hometheaterhifi.com. 2023年4月10日閲覧。
- ^ “Matthias Goerne: The Voice Mirrors the Soul” (英語). www.sfcv.org. 2023年4月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v “Matthias Goerne, Bariton” (ドイツ語). MICHAEL KOCYAN ARTISTS MANAGEMENT (2017年3月7日). 2023年4月10日閲覧。
- ^ “With Goerne, the art of lieder singing is in caring hands”. Chicago Tribune. 2023年4月10日閲覧。
- ^ “Baritone's impressive voice isn't quite enough - The Boston Globe” (英語). archive.boston.com. 2023年4月10日閲覧。
- ^ San Francisco Symphony Orchestra: Playbill. Playbill Incorporated 2008, S. 31.