コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

マティアス・ゲルネ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マティアス・ゲルネ
Matthias Goerne
ライプツィヒゲヴァントハウスでのマティアス・ゲルネ (2015)
基本情報
生誕 (1967-03-31) 1967年3月31日(57歳)
東ドイツの旗 東ドイツ ヴァイマル
学歴 フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ音楽演劇大学ライプツィヒ
ジャンル オペラ
歌曲
職業 声楽家バリトン
オペラ歌手
音楽教育者
共同作業者 アルフレート・ブレンデルなど
著名使用楽器
声楽

マティアス・ゲルネ (ドイツ語: Matthias Goerne, 1967年〈昭和42年〉3月31日[1] - ) は、ドイツの歌曲コンサートオペラ歌手バリトン)。

経歴

[編集]

ヴァイマル[1][2]で生まれた。父は劇作家で後にドレスデンの芸術監督となるディーター・ゲルネであり、音楽的環境に育った[3]。最初の楽器はチェロだったが、すぐに歌に転向した。9歳のとき、プロの歌手になろうと決意。カルメンやラ・ボエームなど父親の演劇作品の児童合唱団で歌った[3]フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ音楽演劇大学ライプツィヒでハンス・ヨアヒム・バイエルに師事した。1989年にロベルト・シューマンコンクールで第2位、ソロモン=リンドバーグコンクールとフーゴ・ヴォルフコンクールで1位を受賞[4]。審査員長の作曲家・ピアニストのアリベルト・ライマンから、ゲルネはディートリヒ・フィッシャー=ディースカウを紹介され、彼は自分のアイドルであり、自分が知る限り最高の芸術家だと考えた。彼はフィッシャー=ディースカウから3年間歌のレッスンを受けることになった[3]。 次に、エリーザベト・シュヴァルツコップに2年半から3年間師事した[3]

ゲルネはシューベルトブラームスからアルバン・ベルクハンス・アイスラーまで、ドイツ芸術歌曲の大使として、最高の評価を得ている[5]。また、カール・アマデウス・ハルトマンハンス・ヴェルナー・ヘンツェからオーストリアの現代作曲家トーマス・ラーシャーまで、新・現代音楽の重要作品の初演と再発見に力を注いでいる[5]。ゲルネはシカゴ・トリビューン[6]から「ドイツ芸術歌曲の今日の主要な解釈者」、ボストン・グローブ[7]から「現在演奏中の最も偉大な歌手の一人」と紹介されているなど、国際的に第一級のリート歌手との呼び声高く、有名な音楽祭やロンドンウィグモア・ホールニューヨークカーネギー・ホールなど世界の主要なコンサートホールの常連となっている。

著名なオーケストラとの共演も多い(中でも ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団フィルハーモニア管弦楽団ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団フィラデルフィア管弦楽団ボストン交響楽団サンフランシスコ交響楽団)。また、著名な指揮者たち(クラウディオ・アバドリッカルド・シャイークリストフ・エッシェンバッハクリストフ・フォン・ドホナーニベルナルト・ハイティンクニコラウス・アーノンクールジェームズ・レヴァインロリン・マゼールインゴ・メッツマッハー小澤征爾エサ=ペッカ・サローネンレナード・スラットキン)と共演している。

1997年(平成9年)にザルツブルク音楽祭でオペラデビューして以来、ウィーン国立歌劇場[5]バイエルン国立歌劇場[5]、ロンドンのコヴェント・ガーデン王立歌劇場パリ国立オペラ[5]、マドリード・テアトロ・レアル[5]チューリッヒ歌劇場、ドレスデン・ゼンパー・オーパー、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場ミラノ・スカラ座[5]など、世界の偉大なオペラステージに出演している。役柄はモーツァルト魔笛』のパパゲーノ、ワーグナータンホイザー』のヴォルフラム、『ニーベルングの指環』のヴォータン、『パルジファル』アムフォルタス[5]、『トリスタンとイゾルデ』マルケ王[5]リヒャルト・シュトラウスエレクトラ』オレスト[5]、『影のない女』バラク[5]バルトーク青ひげ公の城[5]ヒンデミット画家マティス[5]アルバン・ベルクヴォツェック』のタイトル・ロール、アリベルト・ライマン『リア』など多岐にわたる。

2001年(平成13年)から2004年(平成16年)まで、ロベルト・シューマン大学デュッセルドルフでリート歌唱の名誉教授として教鞭をとった。

ゲルネはデッカユニバーサルと専属契約している。アルフレート・ブレンデルとの共演によるシューベルトの『冬の旅』をはじめ、数多くのCD録音が彼の芸術を記録している。2008年から2010年にかけて、ゲルネはハルモニア・ムンディ・レーベルのために、クリストフ・エッシェンバッハやレイフ・オヴェ・アンスネスといった有名なパートナーをピアノに迎えた、12枚のシューベルト歌曲のCDシリーズ(ゲルネ・シューベルト=エディション)を録音した[5]ハイペリオン・レコードのためのシューベルト歌曲の録音ではグレアム・ジョンソンと共同作業をしている。近年はドイツ・グラモフォン・レーベルからヤン・リシエッキとのベートーヴェン歌曲集(2020年)、ピアニストのチョ・ソンジンとのプフィッツナー、シュトラウス、ワーグナーの歌曲集(2021年)を発表した[5]

栄典(主なもの)

[編集]
  • ロンドン王立音楽アカデミー名誉会員[8]
  • ドイツレコード批評家賞[5]
  • ICMA賞2014[5]
  • ディアパゾンドール[5]
  • グラモフォン賞[5]
  • BBCミュージックマガジン賞[5]
  • ECHO "Singer of the Year" 2017[5]
  • ヴァイマル芸術祭のアンバサダー[5]

参考文献

[編集]
  • Karl-Josef Kutsch, Leo Riemens: Großes Sängerlexikon, Band 4. Walter de Gruyter 2004, ISBN 3-598-4408-8X, S. 1768

脚注

[編集]
  1. ^ a b Matthias Goerne - Munzinger Biographie”. www.munzinger.de. 2023年4月10日閲覧。
  2. ^ Festspiele, Berliner. “Matthias Goerne – Biografie” (ドイツ語). www.berlinerfestspiele.de. 2023年4月10日閲覧。
  3. ^ a b c d Feature Article”. hometheaterhifi.com. 2023年4月10日閲覧。
  4. ^ Matthias Goerne: The Voice Mirrors the Soul” (英語). www.sfcv.org. 2023年4月10日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v Matthias Goerne, Bariton” (ドイツ語). MICHAEL KOCYAN ARTISTS MANAGEMENT (2017年3月7日). 2023年4月10日閲覧。
  6. ^ With Goerne, the art of lieder singing is in caring hands”. Chicago Tribune. 2023年4月10日閲覧。
  7. ^ Baritone's impressive voice isn't quite enough - The Boston Globe” (英語). archive.boston.com. 2023年4月10日閲覧。
  8. ^ San Francisco Symphony Orchestra: Playbill. Playbill Incorporated 2008, S. 31.

外部リンク

[編集]