マツダ・MZRエンジン
マツダ・MZRエンジンは、マツダによって製造されていた直列4気筒ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンのブランド名。「MZR」は「MaZda Responsive」を意味する。ガソリンエンジンのZ型エンジンとL型エンジン、ディーゼルエンジンのR型エンジン(MZR-CD)が含まれる[1]。
概要
[編集]開発当時マツダと資本提携していたフォードの受託により開発されたエンジンであり[2]、中でもL型エンジンはフォード・デュラテックエンジンのひとつとしても扱われ、フォード車にも搭載されていた[1]。
ガソリンエンジンのZ型(1.3L・1.5L・1.6L)とL型(1.8L・2.0L・2.3L・2.5L)はオールアルミエンジンであり、ディーゼルエンジンのR型(2.0L・2.2L)はマツダ・R型エンジンとほぼ同じ鋳鉄シリンダーブロックにアルミ製シリンダーヘッドを組み合わせている。なお、全タイプがDOHCである。
2002年1月にL型エンジンの生産が開始され[3]、同年8月にはZ型エンジンが2代目デミオに搭載されてデビューした。2003年12月には、R型エンジンが4代目ボンゴのマイナーチェンジで搭載され日本国内デビューした。現在は、後継となるマツダ・SKYACTIV-Gエンジンに切り替わっており、生産を終了している。
種別
[編集]L型エンジン
[編集]- 製造期間:2002年 - 2018年
- 排気量:1.8L・2.0L・2.3L・2.5L
- 搭載車種:アクセラ、プレマシー、ビアンテ、MPV、ロードスター、CX-7、アテンザ、ボンゴ、日産・ラフェスタハイウェイスター、日産・バネット、三菱・デリカ
F型エンジンの後継[1]。フォードではデュラテックエンジンのひとつとして扱われ、フォーカスやレンジャー、フュージョン、エスケープなどに搭載された。2.3L直噴ターボのL3-VDTは、2007年のテン・ベスト・エンジンに選ばれている。
Z型エンジン
[編集]B型エンジンの後継[4]。「Z#」の型式を与えられたエンジンは1995年発表のZ5-DEが最初であるが、MZRエンジンとして開発されたのは2002年発表のZJ-VE/ZY-VEが初めてである。コンパクトカーへの搭載を考慮し、インテークマニホールド・エアクリーナー・ECUなどを一体化したモジュール設計としたことや、4-1エキゾーストマニホールド、可変バルブタイミング機構(S-VT)を採用したことが特徴[5]。
R型エンジン
[編集]- 製造期間:2002年 - 2010年
- 排気量:2.0L・2.2L
- 搭載車種:ボンゴ、日産・バネット、三菱・デリカ
「R#」と名の付くディーゼルエンジンは1980年代から存在していたが、MZRエンジンの開発にあたり新たにコモンレールディーゼルターボに改良されて登場した。コモンレールに加えクールドEGRやDPFを採用することで、自動車NOx・PM法に適合する[6]。
その他
[編集]アドヴァンスド・エンジン・リサーチが製作したレース用エンジンであるMZR-Rは、マツダと共同開発したものであり、2LのL型エンジンの設計をベースとしている。
脚注
[編集]- ^ a b c 内燃機関超基礎講座 | SKYACTIV以前のマツダの4気筒[Lシリーズ] Motor-Fan、2021年5月3日
- ^ マツダが瀬戸際から復活を果たせた根本理由 車種の絞り込みと混流生産が競争力を生んだ 東洋経済オンライン、2018年5月5日
- ^ 第8章 新ブランド戦略の策定 ~ 商品主導の成長 マツダ公式サイト、2023年8月19日閲覧。
- ^ 内燃機関超基礎講座 | マツダSKYACTIV-Gのプロトタイプか[ZJ-VEM]ミラーサイクル復活機 Motor-Fan、2021年4月13日
- ^ マツダ(株)、次世代エンジン「MZR1.3/1.5」を新開発 マツダニュースリリース(第1699号)、2002年7月17日
- ^ 「マツダボンゴ」クラス初、DPF採用ディーゼルエンジン車発売 マツダ公式プレスリリース、2003年12月9日