マダラエイ
マダラエイ | |||||||||||||||||||||
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マダラエイ Taeniurops meyeni
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||
VULNERABLE (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Taeniurops meyeni (Müller & Henle, 1841)[1][2] | |||||||||||||||||||||
シノニム[2] | |||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||
マダラエイ[3] | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Black-blotched stingray[1][2] Blotched fantail ray[1][2] Fantail stingray[1][2] Giant reef ray[1][2] Round ribbontail ray[1][2] Speckled stingray[1][2] | |||||||||||||||||||||
分布域
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マダラエイ (Taeniurops meyeni) は、アカエイ科に分類されるエイ。
太平洋・インド洋の熱帯-亜熱帯域に分布する。沿岸のラグーン・河口・岩礁などの深度20-60 mに生息する。体盤は幅1.8 mに達して分厚く、背面は小さい突起で覆われる。尾は短く、幅広い臀鰭を持つ。背面には白黒の斑点があり、尾は黒い。
夜行性で、群れを作ることもある。活発な捕食者で、貝類・甲殻類・小魚を捕食する。他のアカエイ類のように無胎盤性胎生。産仔数はおよそ7。攻撃的ではないが、刺激されると尾の毒針を振り回すことがあり、死亡例もある。ダイビングや釣りなどで人気がある。繁殖力が低く、混獲や生息地破壊の影響を受けている。
分布
[編集]インド洋ではクワズール・ナタール州から紅海、インド、東南アジア、マダガスカル・マスカリン諸島など。太平洋では南日本・韓国・オーストラリア。ロード・ハウ島でも見られる[4]。東太平洋ではココス諸島・ガラパゴス諸島からしか報告例がないが、分布域が中央アメリカ本土に達している可能性もある[2]。
形態
[編集]体盤は丸くて分厚く、長さより幅のほうが広い。眼の後方には、眼より大きな噴水孔がある。鼻褶は短くて幅広く、後縁は細かく縁取られる。口は幅広くて弧を描き、口角にはわずかに溝がある。口底には7個の乳頭突起が並び、最も外側の1対は小さく、他から離れる[4]。歯列数は、上顎で37–46・下顎で39–45[5]。歯は小さく、歯冠を横切る深い溝がある。密に敷き詰められており、平たい表面を構成している[6]。
腹鰭は小さく短い[4]。尾は比較的短く、体盤幅を超えない。上面には1本(稀に2本)の鋸歯状の棘がある。尾の付け根は幅広いが、棘より後方は急速に細くなる。臀鰭は尾の先端まで続く [4]。体盤と尾の背面は、疎らで細かい棘で一様に覆われる。全長46 cmを超えた頃から、正中線上に鋭い突起の列が発達し始める。成体ではさらにその横に1列ずつ突起が発達し、合計3列となる[6]。
背面は茶-紫のかった灰色、体盤縁には白い筋や斑点がある。棘より後ろの尾は黒い。腹面は乳白色で、縁は黒く、斑点がある。幼体は成体より体色が明瞭である[6][7]。かなり大きなエイであり、体幅1.8 m・全長3.3 m・体重150 kgに達する[8]。
分類
[編集]1841年、ドイツの生物学者ヨハネス・ペーター・ミュラーとヤーコプ・ヘンレがモーリシャス産の2個体のシンタイプを用いて、Systematische Beschreibung der Plagiostomen の中で記載した。
Potamotrygonidae科とする説もあった[1]。
オーストラリアでは他種とともに'bull ray'と呼ばれることもある[9]。
生態
[編集]底生である。1 - 500メートルの水深に生息するが、通常は水深20 - 60メートルの水深に生息する[2]。ラグーンや岩礁近くの砂礫底を好み、河口に進入することもある[10][6]。夜行性で、日中は洞窟や岩棚の下で休息している[7]。群れを作ることもある。他の大型エイのように、アジやスギなどの魚を引き連れていることがよくある[10]。餌は底生の貝類・甲殻類・小魚などである[7]。摂餌時は、体盤の縁を砂に押し付け、噴水孔から吸い込んだ水を口から吹き出すことで砂を掘る[11]。天敵はサメ・イルカなど[8]。危険が迫ると尾を振り上げて棘を前方に向け、前後に波打たせることで威嚇する[7]。寄生虫としては、単生類の Dasybatotrema spinosum [12]・ Dendromonocotyle pipinna [13]・Neoentobdella garneri ・ N. taiwanensis,[14]・線虫の Echinocephalus overstreeti などが知られる[15]。
生活史はよく分かっていない。他のアカエイ類と同じように無胎盤性胎生で、胎児は初期には卵黄、後期には母体から分泌される"子宮乳"によって育つ[8]。ラニーニャ現象の後のココス諸島では、繁殖のための数百匹の群れが観察される。この時には1匹の雌を多数の雄が追いかける[11]。産仔数は7以下。出生時の体盤幅は33 - 35センチメートル[1]。南アフリカ沖では、夏に出産が行われる[16]。メスは生後15年で成熟する[1]。
人との関わり
[編集]食用とされることもあり、肉や軟骨が利用される[1]。味は鶏モモ肉に似ておりサッパリしているという。[17]
攻撃的ではなく、ダイバーに近づいたり、調べるような行動を取ることもある[6]。だが、刺激すると尾の毒棘を突き刺すことがあり、エイに跨ろうとしたダイバーが刺されて死亡した事例がある。オーストラリア(グレート・バリア・リーフ)やモルディブなどでは、保護区がダイビングの観光資源となっている[1]。飼育は難しいとされる[10]。
本種を対象とした漁業およびエビ類や底棲魚用のトロール網による混獲などにより生息数が減少し、特に東南アジアで漁獲圧が高いとされる[1]。繁殖力の低さ、農業排水などの影響によるサンゴ礁の減少、などの要因から、高い漁獲圧には耐えられない。広範囲に渡って商業漁業・遊漁の影響を受けているが、特に商業漁業が激しいのはインドネシア水域である。南アフリカ沖の堆では、エビのトロール漁で混獲されるが、特に利用はされていない。大きさと引きの強さから釣り人には人気があるが、南アフリカでは1日に1人あたり1匹という制限を設けており、スピアフィッシングは許可していない[16]。オーストラリア水域(グレート・バリア・リーフ海洋公園を含む)では軽度懸念とされている。エビのトロール漁で捕獲されているが、死亡率はウミガメ除去装置が義務化されたことで低下している。モルディブでは観光資源の保護を目的として1995年に輸出を禁止、1996年には皮の輸出も禁止された[1]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o Kyne, P.M. & White, W.T. 2015. Taeniurops meyeni. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T60162A68646736. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T60162A68646736.en. Downloaded on 01 January 2021.
- ^ a b c d e f g h i j k Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2019. Taeniurops meyeni. FishBase. World Wide Web electronic publication. http://www.fishbase.org, version (12/2019).
- ^ 本村浩之 『日本産魚類全種目録 これまでに記録された日本産魚類全種の現在の標準和名と学名』、鹿児島大学総合研究博物館、2020年、15頁。
- ^ a b c d Last, P.R. and J.D. Stevens (2009). Sharks and Rays of Australia (second ed.). Harvard University Press. pp. 460–461. ISBN 0-674-03411-2
- ^ Smith, J.L.B., M.M. Smith and P.C. Heemstra (2003). Smiths' Sea Fishes. Struik. p. 141. ISBN 1-86872-890-0
- ^ a b c d e Grove, J.S. and R.J. Lavenberg (1997). The Fishes of the Galápagos Islands. Stanford University Press. pp. 119–121. ISBN 0-8047-2289-7
- ^ a b c d Ferrari, A. and Ferrari, A. (2002). Sharks. FireFly Books. pp. 212–213. ISBN 1-55209-629-7
- ^ a b c Bester, C. Biological Profiles: Blotched Fantail Ray. Florida Museum of Natural History Ichthyology Department. Retrieved on February 25, 2010.
- ^ Bull ray, stingray spines Archived 2006年8月21日, at the Wayback Machine.. Julian Rocks. Retrieved on February 25, 2010.
- ^ a b c Michael, S.W. (1993). Reef Sharks & Rays of the World. Sea Challengers. p. 89. ISBN 0-930118-18-9
- ^ a b Hennemann, R.M. (2001). Sharks & Rays: Elasmobranch Guide of the World (second ed.). IKAN – Unterwasserarchiv. pp. 256–259. ISBN 3-925919-33-3
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- ^ Chisholm, L.A. and I.D. Whittington (March 2004). “Two new species of Dendromonocotyle Hargis, 1955 (Monogenea : Monocotylidae) from the skin of Taeniura meyeni (Dasyatidae) and Aetobatus narinari (Myliobatidae) from aquaria in Queensland, Australia”. Systematic Parasitology 57 (3): 221–228. doi:10.1023/B:SYPA.0000019085.44664.6d. PMID 15010596 .
- ^ Whittington, I.D. and G.C. Kearn (2009). “Two new species of entobdelline skin parasites (Monogenea, Capsalidae) from the blotched fantail ray, Taeniura meyeni, in the Pacific Ocean, with comments on spermatophores and the male copulatory apparatus”. Acta Parasitologica 54 (1): 12–21. doi:10.2478/s11686-009-0013-7 .
- ^ Deardorff, T.L. and R.C. Ko (1983). “Echinocephalus overstreeti sp. N (Nematoda, Gnathostomatidae) in the stingray, Taeniura melanospilos Bleeker, from the Marquesas Islands, with comments on E. sinensis Ko 1975”. Proceedings of the Helminthological Society of Washington 50 (2): 285–293.
- ^ a b Van der Elst, R. (1993). A Guide to the Common Sea Fishes of Southern Africa (third ed.). Struik. p. 53. ISBN 1-86825-394-5
- ^ 触れたら死亡。怪物級のエイを解体してみると・・・ - YouTube