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ボーフム・シュタットバーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ボーフム・シュタットバーン
U35号線 "キャンパスリンネ"
シンボルマーク
ルール大学駅に到着する列車(2013年撮影)
ルール大学駅に到着する列車(2013年撮影)
基本情報
ドイツの旗 ドイツ
所在地 ノルトライン=ヴェストファーレン州の旗 ノルトライン=ヴェストファーレン州
ボーフムヘルネ[1][2]
種類 シュタットバーン地下鉄[1]
開業 1894年11月23日[1][3]
運営者 BOGESTRAドイツ語版[4]
車両基地 1箇所[5][6]
使用車両 B80Dタンゴドイツ語版[6]
路線諸元
路線距離 14.7 km
軌間 1,435 mm[6][1]
電化区間 全区間
電化方式 直流750 V
架空電車線方式[7]
路線図(2013年現在)

濃い青線がU35号線である
テンプレートを表示

ボーフム・シュタットバーンドイツ語: Stadtbahn Bochum)は、ドイツノルトライン=ヴェストファーレン州に存在する地下鉄シュタットバーン)。同州の公共交通事業者であるBOGESTRAドイツ語版によって運営される。この項目では、その中でもボーフムヘルネを結び、他の系統と独立して運用されるU35号線を解説する[注釈 1][9][10][11][12]

歴史

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1960年代後半以降、ドイツ各地の都市では路面電車を高規格化し地下鉄都市高速鉄道へ発展させるという目標の元、地下化や専用軌道化、高架化を行うシュタットバーンの建設が進められるようになった。BOGESTRAでもボーフムを中心に路面電車が運行する都市の中心部を地下化し、最終的に従来の軌間1,000 mm(狭軌)の路面電車網を軌間1,435 mm(標準軌)の地下鉄(シュタットバーン)路線へ置き換える計画が立てられた[9][13]

1970年以降、ボーフムやゲルゼンキルヒェンで路面電車の地下化工事が進行するのと並行して標準軌のシュタットバーン路線の建設も行われ、1985年6月にボーフム - ヘルネ間のトンネルが全通した。そして1989年9月2日、最初の区間となるシュトレンケ城駅(Schloß Strünkede)ドイツ語版 - ボーフム中央駅(Bochum Hauptbahnhof)ドイツ語版間が開通した[注釈 2]。その後、1993年11月27日にはボーフム中央駅 - ハシュタット駅(Hustadt)ドイツ語版の延伸が行われ、全長14.7 kmの路線が全通した[3][9][10][12][14][1]

当初はゲルゼンキルヒェンやウィッテン方面にも路線を伸ばす計画が立てられていたが、高額な建設費を始めとした多数の欠点からそれ以降の建設は行われなかった。そのため2020年現在、U35号線は他のBOGESTRAの軌道交通と直通運転を行わない独立した系統となっている[1][9][10]

利用客は開業以降増加の一途を辿っており、開通時(1989年)の1日利用客数は22,000人であったものが1999年には55,000人、2011年には84,000人、そして開通から30周年を迎えた2019年時点の1日の利用客数は94,000人を記録している。これはBOGESTRAが運営する公共交通機関のみならず、ドイツ各地のシュタットバーンの中でも非常に高い数値である[11]

路線

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U35号線はシュトレンケ城駅(Schloß Strünkede)ドイツ語版からドイツ鉄道路面電車と接続するボーフム中央駅(Bochum Hauptbahnhof)ドイツ語版を経由し、ルール大学ボーフムに近接したハシュタット駅(Hustadt)ドイツ語版へ向かう、全長14.7 kmの軌間1,435 mmの路線である。そのうちシュトレンケ城駅からヴァルドリング駅(Waldring)までの10.5 kmは地下トンネル区間となっている。全区間の所要時間は28分である[9][10][12][14][1]

駅は全て高床式プラットホームで、ほとんどの箇所でエレベーターエスカレーターなどバリアフリーに対応した設備が存在するが、ベルニングハウスシュトラーセ駅(Berninghausstraße)のみ2020年現在もバリアフリー未対応となっている[2][1]

沿線にはルール大学ボーフムボーフム大学ゲオルク・アグリーコラ工科大学ドイツ語版など多数の大学機関が存在する。これらへ向かう際の利便性をより強調するため、ボーフムヘルネの自治体からの要請を受け、2011年6月12日のダイヤ改正以降U35号線にはキャンパスリンネ(CampusLinie)と言う愛称が付けられている[11]

車両

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2019年現在、U35号線では以下の2形式の連接式電車が使用されている。輸送力を確保するため、同年現在全列車とも連接車を繋いだ2両編成で運行している[10][1]

B80D

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B80D2018年撮影)

U35号線の開通に合わせて導入された、デュワグ製のシュタットバーン向け2車体連接車。形式名の「80D」は「最高速度80 km/h、VVVFインバータ制御方式Drehstromantrieb)」を意味する。開通に向けて1988年から1989年に13両(6001 - 6013)が導入された後、1993年の延伸時に12両(6014 - 6025)が増備された。2021年以降、シュタッドラー・レールによる内装や運転台、主電動機制御装置など主要機器など各部の大規模な更新が計画されており、合わせて塗装も変更される[1][15][16][17]

タンゴ

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タンゴ2008年撮影)

タンゴ(Tango)は、スイスの鉄道車両メーカーであるシュタッドラー・レールが展開している路面電車地下鉄シュタットバーン向けの電車ブランドである。その中でボーフム・シュタットバーンで使用されているのは両運転台の3車体連接車で、U35号線の線形条件に合わせた高床式車両となっている。列車本数の増加に合わせ2007年から営業運転を開始した6両(6026 - 6031)に加え、2019年には更に6両の発注が行われており、これらは2021年から導入される予定である。また、ボーフム・シュタットバーン向けのタンゴはデザイン性が高く評価され、2006年iFデザイン賞を獲得している[1][15][16][18][19]

タンゴ 主要諸元
製造年 総数 車両番号 軌間 編成 参考
2007,21 12両(予定) 6026- 1,435mm 3車体連接車 [1][15][16][18][19]
全長 全幅 全高 床上高さ 車輪径 重量
28,200mm 2,650mm 3,650mm 1,000mm 740mm 38.3t
最高速度 着席定員 折り畳み座席数 立席定員 主電動機出力 出力
70km/h 60人 6席 109人 125kw 500kw
備考
定員数は乗客密度6人/m2時。

その他

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ボーフムゲルゼンキルヒェンにおける地下区間の路線図
黄色(路面電車)・青色(シュタットバーン)の太線が地下区間である

BOGESTRAドイツ語版が運営する路面電車であるボーフム/ゲルゼンキルヒェン市電のうち、ボーフムゲルゼンキルヒェン中心部の路線については1979年から2006年にかけて地下化(シュタットバーン化)が行われ、路面電車の系統内の区間として運用が行われている。また、ゲルゼンキルヒェンにある一部の地上区間にはエッセン市内からエッセン・シュタットバーンドイツ語版が乗り入れている[注釈 3][9][1][20]

脚注

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注釈

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  1. ^ 日本地下鉄協会では、地下区間を有するBOGESTRAの鉄軌道路線の中でU35号線のみを地下鉄として扱っている[8]
  2. ^ U35号線の開通に伴い、ヘンネ方面へ向かう路面電車が廃止されている。
  3. ^ ボーフム/ギルゼンキルヒェン市電の軌間1,000 mmであるのに対し、エッセン・シュタットバーンは1,435 mmと広い事から、直通運転が実施されている区間は三線軌道(デュアルゲージ)となっている。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m Nail Pulling 2017, p. 349.
  2. ^ a b BOGESTRA-Schienennetzplan 2020”. BOGESTRA. 2020年8月20日閲覧。
  3. ^ a b Vor 35 Jahren: Erste Stadtbahnstrecke in Bochum”. BOGESTRA (2014年5月26日). 2020年8月20日閲覧。
  4. ^ Nail Pulling 2017, p. 345.
  5. ^ Nail Pulling 2017, p. 346.
  6. ^ a b c Nail Pulling 2017, p. 347.
  7. ^ Nail Pulling 2017, p. 348.
  8. ^ 世界の地下鉄データ一覧表 - ヨーロッパ・アフリカ①(イギリス~スペイン)”. 日本地下鉄協会. 2020年8月20日閲覧。
  9. ^ a b c d e f Oliver Mayer. “Light Rail in the Ruhr Page 3”. The Japanese Railway Society. 2020年8月20日閲覧。
  10. ^ a b c d e U35 feiert Geburtstag”. BOGESTRA (2019年9月2日). 2020年8月20日閲覧。
  11. ^ a b c CampusLinie mit prominenten Fahrgästen”. BOGESTRA (2011年6月14日). 2020年8月20日閲覧。
  12. ^ a b c BOGESTRA 2009b, p. 25.
  13. ^ 柚原誠『路面電車 -運賃収受が成功のカギとなる!?-』成山堂書店〈交通ブックス〉、2017年12月18日、45-49頁。ISBN 978-4-425-76261-3 
  14. ^ a b BOGESTRA 2009b, p. 27.
  15. ^ a b c Verstärkung für die BOGESTRA-Stadtbahnflotte”. BOGESTRA (2019年4月2日). 2020年8月20日閲覧。
  16. ^ a b c EXPANSION OF THE BOGESTRA CITY RAIL FLEET”. Stadler Rail (2019年3月29日). 2020年8月20日閲覧。
  17. ^ 鹿島雅美「ドイツの路面電車全都市を巡る 1」『鉄道ファン』第45巻第12号、交友社、2005年12月1日、141-143頁。 
  18. ^ a b Stadtbahn Typ Tango in Hochflurausführung für die Bochum-Gelsenkirchener Straßenbahnen AG (BOGESTRA)”. Stadler Rail. 2020年8月20日閲覧。
  19. ^ a b TANGO”. Stadler Rail. 2020年8月20日閲覧。
  20. ^ Nail Pulling 2017, p. 345-348.

参考資料

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外部リンク

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