ベルタ・ルッツ
ベルタ・ルッツ(Bertha Maria Julia Lutz 、1894年8月2日 - 1976年9月16日)はブラジルの動物学者、女性の権利のための運動の活動家である。
略歴
[編集]サンパウロで生まれた。祖父母はスイスのベルン出身で、父親は多くの功績を挙げた医学者のアドルフォ・ルッツである。医動物学、両生類の研究者でもあった父親の影響を受け、動物学に興味を持ち、父親の講義にも参加した。パリのソルボンヌ大学で自然科学を学び1918年に学位を取得し卒業した。ブラジルに戻った後、両生類の研究に取り組み、1919年にリオデジャネイロ国立博物館の職員となった。1922年にブラジル最初の女性運動の組織、Federação Brasileira pelo Progresso Feminino(女性の進歩のためのブラジル連盟)の創立者の1人となった。女性運動のブラジル代表として国際的な会議に出席した。女性運動のためにリオデジャネイロ連邦大学で法律を学んだ。
動物学の分野では、父親の助手として働き1938年に父親と連名で最初の両生類に関する論文を発表した。1940年に父親が死んだ後、父親がはじめたブラジルの両生類に関する生態、分類に関する総括的研究を引き継いだ。1949年から1952年の間に、オズヴァウド・クルス研究所(Instituto Oswaldo Cruz)に残された父親の標本の記載を行った。1973年に集大成となる『ブラジルのアマガエル』("Brazilian Species of Hyla")を出版した。父親や自らの注釈が記述され、写真は兄弟のガルター・ルッツ(Gualter A. Lutz)が製作した。ユビナガガエル科の種、Paratelmatobius lutzii B. Lutz and A. Carvalho, 1958は父親の名前をつけてベルタが記載したものである。
ベルタ・ルッツにもブラジルのトカゲの種、Liolaemus lutzae、Bogertia lutzae、カエルの種、Megaelosia lutzae、Dendropsophus berthalutzae、Scinax berthaeらの学名に献名されている。
また、彼女の女性の権利に関する活動の記録は2023年に世界の記憶に登録された[1]。
脚注
[編集]- ^ “UNESCO Memory of the World Register”. UNESCO. 2023年5月27日閲覧。
参考文献
[編集]- Kraig Adler, John S. Applegarth, Ronald Altig: Contributions to the History of Herpetology. (= Contributions to herpetology. 5). Society for the Study of Amphibians and Reptiles, 1989, ISBN 0-916984-19-2, S. 119–120
- J. P. Kennedy: Bertha Lutz, 1894-1976 Copeia Vol. 1977, No. 1 (Mar. 16, 1977), S. 208–209
- Francesca Miller: Women, Culture, and Politics in Latin America. UC Press E-books Collection. University of California Press.