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ベティ・リード・ソスキン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ベティ・リード・ソスキン
Betty Reid Soskin
ベティ・リード・ソスキン(2014年)
生誕 Betty Charbonnet
(1921-09-22) 1921年9月22日(103歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ミシガン州デトロイト
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
職業 国立公園レンジャー英語版
雇用者 アメリカ合衆国国立公園局
配偶者
Melvin Reid
(結婚 1943年、離婚 1972年)

William Soskin
(結婚 1978年、death 1988年)
テンプレートを表示

ベティ・リード・ソスキン(Betty Reid Soskin、1921年9月22日 - )は、アメリカ合衆国国立公園局の元レンジャー英語版である。カリフォルニア州リッチモンドロージー・ザ・リベッター第二次世界大戦ホーム・フロント国立歴史公園英語版に勤務していた[1][2]。2022年3月31日に100歳で引退した。国立公園レンジャーの中で最高齢だった[3][4]。2018年2月に回顧録"Sign My Name to Freedom"を刊行した。

若年期

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1921年9月22日ミシガン州デトロイトでベティ・シャルボネ(Betty Charbonnet)として生まれた。両親共にルイジアナ州出身のカトリック教徒で、父のドーソン・ルイ・シャルボネ(Dorson Louis Charbonnet)はクレオール、母のロティ・ブロー・アレン(Lottie Breaux Allen)はケイジャンの血を引いていた。曾祖母は1846年に奴隷として生まれた。

幼いときに一家でルイジアナ州ニューオリンズに引っ越したが、1927年のミシシッピ大洪水で家と会社が流され、カリフォルニア州オークランドに移り住んだ[5][4]。ソスキンは、オークランドのキャッスルモント高校を卒業した[6]

キャリア

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第二次世界大戦中は、黒人だけの労働組合であるボイラー職人組合A-36で書類整理係として働いた[5]。主な仕事は、頻繁に転居する労働者たちの住所変更届のファイリングだった[7]

リード・レコード(2014年撮影)

1943年にメルヴィン・リード(Melvin Reid)と結婚した。1945年6月、夫とともに、カリフォルニア州バークレーに、リード・レコード英語版というゴスペルに特化した小さなレコード店を開店した[4]

一家は1950年代にカリフォルニア州ウォールナットクリークに移り住んだ。子供たちは地元の公立学校に通い、後に私立学校に移った。一家が家を構えた場所は白人の多い郊外であり、家族は周囲からの激しい人種差別にさらされた[5]

ソスキンはカトリックからユニテリアンに改宗し、マウントディアブロ・ユニテリアン教会英語版ユニテリアン・ユニヴァーサリズム協会英語版の黒人集会で活動した。また、シンガーソングライターとして活動し、1960年代には公民権運動に参加した[5]

1972年にメルヴィンと離婚し、1978年にカリフォルニア大学バークレー校の心理学教授のウィリアム・ソスキン(William Soskin)と再婚した。同年、前夫メルヴィンが健康上・財政上の理由でレコード店の経営を続けられなくなり、ソスキンが店を引き継いだ。これを契機に、ソスキンは地域の社会問題に積極的に関わるようになり、地域社会活動家としても知られるようになった[8]。リード・レコードは2019年10月19日に閉店した[9]

ロージー・ザ・リベッター第二次世界大戦ホーム・フロント国立歴史公園のロージー記念碑(The Rosie Memorial

後に、カリフォルニア州議会の女性議員であるディオン・アローナー英語版ロニ・ハンコック英語版の現場代表者となり、第二次世界大戦中のアメリカ国内における女性の貢献を記念する国立歴史公園の初期の計画や設立に関わった。こうして2000年に開設されたのが、カリフォルニア州リッチモンドロージー・ザ・リベッター第二次世界大戦ホーム・フロント国立歴史公園英語版である。

ソスキンは、この公園の建設計画における自身の役割を振り返り、未だに隔離英語版された環境で働いているアフリカ系アメリカ人女性の現状についての思いが計画策定に役立ったと述べている。ソスキンは、この公園で、戦争中の白人女性の貢献だけでなく、黒人たちの貢献や、黒人たちに対する差別の歴史についても伝えるようにするよう求めた[4]

2003年に州議会での仕事を辞め、自身が設立に関わった国立歴史公園の相談役になった。2007年、85歳のときに、国立公園局国立公園レンジャー英語版となり、この国立歴史公園に配属された[10]。ソスキンはこの公園で、来訪者に公園の目的や歴史について教え、公園内の様々な史跡や所蔵品について説明するほか、自らの経験についても語っていた[4]

2019年9月、勤務中に脳卒中を発症して入院し、2020年1月に仕事に復帰した[11][12][13]。2021年9月、100歳の誕生日を記念して、地元のファン・クレスピ中学校がベティ・リード・ソスキン中学校に改称した[14][15]。2022年3月31日、ソスキンは国立公園局を退職した。このとき、最高齢の国立公園レンジャーとなっていた[4][16]

脚注

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  1. ^ WWII meant opportunity for many women, oppression for others, by Caroline Zynco, San Francisco Chronicle, September 26, 2007, retrieved March 23, 2011
  2. ^ Ranger's voice spans East Bay history, by Lee Hildebrand, San Francisco Chronicle, January 31, 2010, retrieved March 23, 2011
  3. ^ Jones, Carolyn (October 16, 2013). “Federal shutdown puts Betty Reid Soskin on hold”. San Francisco Chronicle. http://www.sfgate.com/bayarea/article/Federal-shutdown-puts-Betty-Reid-Soskin-on-hold-4901916.php April 26, 2014閲覧。 
  4. ^ a b c d e f “100歳の国立公園局レンジャーが引退。戦争の経験伝え続け、「とても刺激的で充実した仕事だった」”. ハフポスト日本語版. (2022年4月1日). https://www.huffingtonpost.jp/entry/oldest-national-park-service-ranger-retires-at-100_jp_62466830e4b068157f752492 2022年4月18日閲覧。 
  5. ^ a b c d "Oldest National Park Ranger Shares 'What Gets Remembered'," NPR Wisdom Watch, May 15, 2014.[1]
  6. ^ Betty Reid Soskin, Groundbreaking Park Ranger, to Have East Bay Middle School Renamed in Her Honor” (英語). KQED. 2021年6月24日閲覧。
  7. ^ Pope, John (November 19, 2016). “World War II Museum to honor park ranger, 94, for telling the truth about racism”. nola.com. 19 October 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月18日閲覧。
  8. ^ Frankel, Bruce (2010). What Should I Do With the Rest of My Life?: True Stories of Finding Success, Passion, and New Meaning in the Second Half of Life. Penguin Books. ISBN 978-1-101-18596-4. https://books.google.com/books?id=_oQZG6VFzFoC&q=Betty+Reid+Soskin&pg=PT196 
  9. ^ Jones, Kevin L. (2019年2月5日). “Reid’s Records, California’s oldest record shop, to close in the fall” (English). Berkeleyside (Berkeley, California). https://www.berkeleyside.org/2019/02/05/reids-records-californias-oldest-record-shop-to-close-in-the-fall 2022年3月31日閲覧. "One of Berkeley’s few remaining black-owned businesses lasted through decades of ups and downs and outlived megastore competitors, but it couldn’t beat the impact of technology and gentrification." 
  10. ^ Betty Soskin A Living Monument To WWII History”. 2022年4月18日閲覧。
  11. ^ Sanchez, Tatiana (September 22, 2019). “Betty Reid Soskin, 98-year-old park ranger, recovering from stroke”. San Francisco Chronicle. https://www.sfchronicle.com/bayarea/article/Betty-Reid-Soskin-98-year-old-park-ranger-14459677.php October 22, 2019閲覧。 
  12. ^ Tyska, Jane (January 16, 2020). “Betty Reid Soskin back at work at Rosie the Riveter park after stroke”. East Bay Times. https://www.eastbaytimes.com/2020/01/16/video-betty-reid-soskin-back-at-work-at-rosie-the-riveter-park-after-stroke/ 
  13. ^ 98-yr-old Betty Reid Soskin is America's oldest park ranger and an inspiration for us all” (英語). Upworthy (2020年3月3日). 2020年3月9日閲覧。
  14. ^ She became a park ranger at 85 to tell her story of segregation. Now 100, she’s the oldest active ranger.”. 2022年4月18日閲覧。
  15. ^ East Bay District Names School After Betty Reid Soskin on Her 100th Birthday”. www.nbcbayarea.com (September 22, 2021). 2022年4月18日閲覧。
  16. ^ "100 year-old National park Service Ranger Betty Reid Soskin retires after remarkable career" (Press release). National Park Service. 31 March 2022.

参考文献

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外部リンク

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