ベイランダー (IX-514)
ベイランダー | |
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フロリダ州ホワイティングフィールド海軍航空基地にて撮影(2006年) | |
基本情報 | |
建造所 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州アラメダPACECO[1] |
運用者 | アメリカ海軍/アメリカ陸軍 |
級名 | YFU-71級ライター |
艦歴 | |
発注 | 1967年6月1日 |
起工 | 1967年12月28日 |
進水 | 1968年5月29日 |
就役 | 1968年7月5日 |
要目 | |
排水量 |
380 L/T(満載) 220 L/T(軽荷)[2] |
トン数 | 160 DWT |
全長 | 125 ft (38 m)[2] |
最大幅 | 36 ft (11 m)[2] |
吃水 | 7.5 ft (2.3 m) |
機関 | 450 hp (340 kW) Detroit Diesel 12V-71 x2 |
推進器 | プロペラx2 |
速力 | 9ノット(10 mph; 17 km/h) |
乗員 | 士官x2、下士官兵x10 |
搭載能力 | OHP級フリゲートと同サイズのヘリ甲板(格納庫無し)[3] |
ベイランダー(Baylander, IX-514)、旧YFU-79は、アメリカ海軍で運用されていたヘリコプター着陸練習船(Helicopter Landing Trainer, HLT)である。「世界最小の空母」(the world's smallest aircraft carrier)などと称されることもある。もともとはベトナム戦争中に河川を通じた兵站を担うべく建造された港内雑役船であった。アメリカ海軍のほか、陸軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊、州兵によって、ヘリコプターの着陸訓練のために使われた。
歴史
[編集]1965年10月、道路や鉄道が十分に整備されていない南ベトナムの第1軍団戦術区での兵站を海軍が担当することとなり、ダナン海軍支援隊(NSA Danang)が設置された。支援隊では多数の小型輸送舟艇を運用し、河川を通じて各部隊への物資輸送を行った。やがて輸送能力の増強が求められるようになると、海軍では早急な調達のために民生の既製品を採用することとした。こうしてかねてよりアラスカでのパイプライン建設支援などのために使われていたパシフィック・コースト・エンジニアリング(PACECO)社製のスキラック型(Skilak)として知られる輸送艇がYFU-71級ライターとして11隻調達されることとなった[4]。
1968年、ベイランダーは海軍の港内雑役船(Harbor Utility Craft, YFU)たるYFU-79として就役。1970年代中頃[5]、陸軍では第1軍団戦術区における兵站任務と共に何隻かの雑役船を海軍から引き継ぎ、そのうちの1隻となったYFU-79は第329重舟艇中隊(329th Heavy Boat Company)に配属された。正式な移管の直前には、半数ほどの乗員を陸軍将兵に入れ替え、また船長に陸軍将校を迎えての輸送任務が訓練を兼ねて行われた[4]。
戦後、YFU-79はグアムへと移った[5]。1980年代半ばに海軍に返還された後、アラバマ州モービルのベンダー造船所(Bender Shipbuilding)にてヘリコプター着陸練習船に改装され、1986年3月31日からフロリダ州ペンサコーラ海軍航空基地にて運用が始まった[5][3]。オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートと同等のヘリ甲板を備え[3]、現実的な環境での訓練を実施することが可能な上、乗員も少なく運用コストの低いベイランダーは、ヘリコプター着陸練習船としては非常に費用対効果に優れていた。これ以前には練習空母として改装された空母レキシントンが用いられていた[6]。
2006年8月までに、100,000機のヘリコプターが無事故での着艦をベイランダーにて成功させ[6]、さらに退役までにこの記録は120,000機となった[7]。
退役後
[編集]2011年、退役して米海軍艦籍簿からその名が削除された後[2]、ベイランダーは解体されず個人に売却された。2014年、ニューヨーク市ブルックリンブリッジパークのマリーナに移動して博物館船となる[8]。2016年中頃、ハドソン川のウェストハーレムピアースに移動[9]。2020年7月から、ベイランダーはレストランおよびバーとして改装され、ベイランダー・スティールビーチ(The Baylander Steel Beach)として営業されている[10][11]。
脚注
[編集]- ^ Colton, Tim (7 March 2016). “Pacific Coast Engineering (PACECO), Oakland and Alameda CA”. Shipbuilding History. 22 November 2016閲覧。
- ^ a b c d “IX-514”. Naval Vessel Register (22 October 2012). 20 November 2016閲覧。
- ^ a b c “Unique Ships of the U.S. Navy”. United States Naval Institute (30 January 2015). 20 November 2016閲覧。
- ^ a b “The Saga of the YFU-79 & the U-Boat Sailors of I Corps”. Mobile Riverine Force Association. 2023年3月11日閲覧。
- ^ "Historic U.S. Navy Vessel Open to Public for First Time at Future Site of BBP Marina" (Press release). Brooklyn Bridge Park. 17 July 2014. 2017年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月20日閲覧。
- ^ Backwell, George (17 July 2014). “Historic Navy Ship Baylander Shortly Open to New Yorkers”. MarineLink 20 November 2016閲覧。
- ^ Clark, Dartunorro (21 September 2016). “Vietnam-Era Navy Ship Finds New Berth at West Harlem Piers”. DNAinfo.com. オリジナルの22 September 2016時点におけるアーカイブ。 20 November 2016閲覧。
- ^ Leaden, Claire (14 July 2020). “This Old Aircraft Carrier In Harlem Is Now A Breezy Floating Bar • Baylander Steel Beach”. SecretNYC 17 July 2020閲覧。
- ^ Pallini, Thomas (19 July 2020). “I ate at an outdoor restaurant in NYC built on what was once the world's smallest aircraft carrier. The vibe was great but the food was a huge disappointment.”. Business Insider 29 July 2020閲覧。
外部リンク
[編集]ウィキメディア・コモンズには、ベイランダー (IX-514)に関するカテゴリがあります。
- Photo gallery of ベイランダー (IX-514) at NavSource Naval History
- Homepage of The Baylander Steel Beach