ヘスペロルニス類
ヘスペロルニス類 Hesperornithes | |||||||||||||||||||||
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ヘスペロルニス・レガリスの骨格標本
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Hesperornithes Fürbringer, 1888[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ヘスペロルニス類[4] ヘスペロルニス目[5] | |||||||||||||||||||||
下位分類群[8] | |||||||||||||||||||||
ヘスペロルニス類(学名 : Hesperornithes)またはヘスペロルニス目(Hesperornithiformes)は、白亜紀の北半球に分布した鳥翼類であり、現生鳥類に非常に近縁であると考えられている[5]。最古の潜水鳥類として知られており、恐竜類から進化したグループでは初めて海洋に進出した[5]。ヘスペロルニス、パラヘスペロルニス、バプトルニス、エナリオルニス、ポタモルニスなどの属が含まれており、いずれも泳ぎが得意な潜水捕食者であった。泳ぐことに最も特化した種の多くは、飛翔能力が二次的に失われていた[5]。既知されている最大のヘスペロルニス類であるカナダガ・アークティカは、成体で最大全長2.2メートルに達した可能性がある[9]。エナンティオルニス類や他のすべての非鳥類型恐竜とともに、白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅で絶滅した[5]。
解剖学と生態学
[編集]この分類学について分かっている殆どのことは、化石が断片的なため十分な資料が揃っておらず、分析は単一種の分析に基づいている。エナリオルニス科やブロダヴィス科に属するより小型で基盤的な種の中には飛べた可能性のある種もいたが、ヘスペロルニスやバプトルニスのような大型のヘスペロルニス科には退化した翼しかなかった。現代の潜水鳥類と同様に、これらの動物の大腿骨と中足骨は短く、脛骨は長かった。また、アビ属、カイツブリ科、ペンギン目と同様に、脚は胴体のかなり後方に位置していた。ヘスペロルニス科は泳ぎも潜水も得意だったに違いないが、陸上では非常に不格好で、巣を作る以外は陸上で過ごす時間はほとんどなかったと考えられている。また、かなり胴が長く、体長は180センチメートルほどだった[10]。
研究者の中には、陸上では腹這いになって足で押すしかなかったと考える者もいる。股関節と膝関節の形状は、これらの種が背腹方向に動かせない形になっており、休息姿勢では足が体から横に突き出ているため、直立歩行ができなかったと考えられる[6]。足の指の解剖学的特徴から、ヘスペロルニス類は水中で推進力を得るために、水掻きではなく、カイツブリ科のような小葉状の皮膚を持っていたことが示唆されている。これらの動物の骨密度が高いため浮力が低く、潜水が容易になった[11]。しかし、現代の水生鳥類との形態測定学的比較では、ヘスペロルニス類はアビ属やカイツブリ科よりも、潜水カモ類やウ科との類似点が多いことが示唆されている[12]。
吻部は長く、先端はわずかに鉤状の嘴で、嘴の後方の顎には縦溝に埋め込まれた一連の単純で鋭い歯が並んでいた。これらはおそらく、アイサ属の鋸歯状の嘴のように、魚を捕えるのに役立ったものとされる[13][14]。現代の鳥類とは異なり、下顎骨の間に関節が残っていた。これにより、下顎の後方部分を前方部分とは独立して回転させることが可能になり、下の歯を外すことが可能になったと考えられている[10]。
進化
[編集]現在、ヘスペロルニス類は現代の鳥類の祖先ではない、非常に特殊化した系統であると認識されている。しかし、両者の関係は十分に近縁なため、おそらく白亜紀初期には現代の鳥類の祖先から分岐していたと考えられている。
最古のヘスペロルニス類として知られているのは、前期白亜紀のエナリオルニスである。ヘスペロルニス類の種の大部分は、北アメリカの後期白亜紀から知られている。小型のヘスペロルニス類の化石は、ジュディスリバー層群の後期白亜紀の淡水堆積物、ヘルクリーク層、ランス層、およびユーラシアのいくつかの地層から発見されている。これらの種は、ウ科やアビ属とほぼ同じ大きさであった。
分類
[編集]ヘスペロルニス類はもともと、1888年にマックス・フューアブリンガーによって鳥綱の亜綱Hesperornithesとして命名された[1]。のちにヘスペロルニス類の階級は目とされ、学名の語尾を変えてHesperornithiformesとなった[15]。2004年、ジュリア・クラークは系統発生の観点からヘスペロルニス類を定義した最初の人物となった。クラークは、Hesperornithesを現代の鳥類よりもヘスペロルニス・レガリスに近いすべての種と定義し、HesperornithiformesをHesperornithesのシノニムとして扱った。クラークはまた、より包括的なグループであるヘスペロルニス科(Hesperornithidae)を、バプトルニスよりもヘスペロルニスに近いすべてのヘスペロルニス類として定義した[2]。
ヘスペロルニス類はもともと、1873年にオスニエル・チャールズ・マーシュによってイクチオルニスと統合され、側系統群である「歯鳥類(Odontornithes)」に分類された。1875年に、Odontolcaeとして分離された。この一群は、アビ属やカイツブリ科[16]、あるいは(骨質の口蓋の類似性に基づき)古顎類と関連があると考えられていた[17]。しかし、これらの類似点は、近年になって、少なくともヘスペロルニスの骨基質が新顎類のものと類似したパターンで配置されていたことが判明したことと同様に[18]、現在では収斂進化によるものと考えられている[19][20]。
近縁関係
[編集]2015年に行われた種レベルの系統解析により、ヘスペロルニス類の間に以下の関係が発見された[21]。
Hesperornithes |
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脚注
[編集]- ^ a b Fürbringer, M. 1888. Untersuchungen zur Morphologie und Systematik der Vögel, zugleich ein Beitrag zur Anatomie der Stütz- und Bewegungsorgane. T. van Holkema: Amsterdam. 2 Vols. doi:10.5962/bhl.title.51998.
- ^ a b c Clarke, J. A. (2004). “Morphology, Phylogenetic Taxonomy, and Systematics of Ichthyornis and Apatornis (Avialae: Ornithurae)”. Bulletin of the American Museum of Natural History 286: 1–179. doi:10.1206/0003-0090(2004)286<0001:MPTASO>2.0.CO;2. hdl:2246/454 .
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- ^ 冨田幸光・對比地孝亘・三枝春生・池上直樹・平山廉・仲谷英夫「恐竜類の分岐分類におけるクレード名の和訳について」『化石』第108巻、日本古生物学会、2020年、23-35頁、doi:10.14825/kaseki.108.0_23。
- ^ a b c d e 田中公教・小林快次「ヘスペロルニス目:白亜紀の潜水鳥類の起源と進化」『日本鳥学会誌』第67巻、日本鳥学会、2018年、57-68頁、doi:10.3838/jjo.67.57。
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