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プロック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
あるプロックの入口。

プロック (purok) は、フィリピンの地方自治体であるバランガイの非公式な下位区分で、日本語では「地区[1]ないし「[2]英語では「district[3]」ないし「zone」と表現されることがある[4][5]地方自治体の単位英語版 (LGU) としては公式に認められていないが、プロックは各種のサービスの提供やバランガイ内の行政の単位として、しばしば機能する[6]日本の「町内会の班のイメージに近い」と説明されることもある[1]

典型的な場合、ひとつのプロックは20戸から50戸から成るが、場合によっては、地理的位置や家屋の集積状況により数百戸の世帯から構成される[6]。「プロック」という用語は、都市化が進んだバランガイにおいては、ひとつの近隣地区(英語でいう「neighborhood」ないし「zone」)を意味するが、比較的に見て地理的にコンパクトなバランガイにおいて、さほど都市化していないところでは、バランガイを区分した一部(英語でいう「portion」ないし「district」)を意味する。これとは対照的に、別概念である「シティオ (sitio)英語版」は、より人口密度が低い、非都市的バランガイにおける小村の集落を指すのが通例である。

バランガイなり町や市の条例によってプロックが制定、導入される場合、プロックは自治体職員の協力と監督の下で、行政機能を執行することができる[6]。場合によっては、バランガイ議会英語版の議員が、出身プロックの指導者と見なされることもある[7]

新たにバランガイが制定される場合、そこに含まれるプロックやシティオが公式に列挙されることが多い[8][9]。 例外的な場合には、英語版の新設に際してプロックが言及されることもあり、マギンダナオ州シャリフ・サイドナ・ムスタファ英語版では、リブタン・イースト (Libutan East) とパガティン I (Pagatin I) のプロックが新設された町を構成する一部として、直接言及された[10]。これらふたつのプロックは、その後、2010年はじめに、完全なバランガイとしてフィリピン統計局英語版によって承認された[11]

脚注

[編集]
  1. ^ a b 西村謙一小林盾菊地端夫永井史男2019 年フィリピンの地方自治意識調査(1)」(PDF)『大阪市立大学法学雑誌』第67巻第3号、大阪市立大学、2021年、87 (247)。 
  2. ^ 後藤美樹フィリピンの住民自治組織・バランガイの機能と地域社会 ―首都圏近郊ラグナ州村落の住民生活における役割―」(PDF)『国際開発研究フォーラム』第25号、名古屋大学、2004年、67頁。 
  3. ^ Santos, Arceli (2006). Vicassan's Pilipino-English Dictionary (Abridged ed.). Pasig, Philippines: Anvil Publishing Inc.. p. 524. ISBN 971-27-1707-0 
  4. ^ Philippine Standard Geographic Code (PSGC) – Concepts and Definitions – Local Government Units” (英語). Philippine Statistics Authority. January 14, 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。August 13, 2019閲覧。
  5. ^ Guillermo, Artemio R.; Win, May Kyi (2005). Historical Dictionary of the Philippines (2nd ed.). Lanham, Maryland, United States of America: Scarecrow Press, Inc.. p. 328. ISBN 978-0-8108-5490-1. https://books.google.com/books?id=GBWye7c8NuYC 
  6. ^ a b c “Purok system mobilizes community, improves governance”. Ramon Aboitiz Foundation Inc.. (May 7, 2012). オリジナルのDecember 8, 2013時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131208051647/http://www.rafi.org.ph/news-highlights/purok-system-2/ August 13, 2019閲覧。 
  7. ^ Alkuino, Xerxes (August 7, 2012). “LGUs urged to put up purok system”. Provincial Government of Cebu. オリジナルのJuly 22, 2014時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140722204845/http://1derfulcebu.com/listindex.asp?newsid=413&whatarticle=2&wfunc=viewarticle&rightpanel=yes&titlecap=LGUs%20urged%20to%20put%20up%20purok%20system August 13, 2019閲覧。 
  8. ^ Congress of the Philippines (October 30, 2017). “Republic Act No. 10955 – An Act Dividing Barangay Dumalneg in the Province of Ilocos Norte into Three (3) Distinct and Independent Barangays to be Known as Barangay Kalaw, Barangay Cabaritan and Barangay Quibel”. The Official Gazette of the Republic of the Philippines. August 13, 2019閲覧。
  9. ^ Congress of the Philippines (February 7, 2018). “Republic Act No. 10971 – An Act Creating a Barangay to be Known as Barangay Poblacion 3 in the Municipality of Villanueva, Province of Misamis Oriental”. The Official Gazette of the Republic of the Philippines. August 13, 2019閲覧。
  10. ^ Muslim Mindanao Autonomy Act No. 252 – An Act Amending Muslim Mindanao Autonomy Act Numbered Two Hundred Twenty Five, Particularly sections One and Two thereof, and for other purposes.”. Regional Legislative Assembly, Autonomous Region in Muslim Mindanao (October 27, 2008). August 13, 2019閲覧。
  11. ^ SUMMARY OF CHANGES MADE IN THE PHILIPPINE STANDARD GEOGRAPHIC CODE”. :en:Philippine Statistics Authority (June 30, 2019). August 13, 2019閲覧。

関連項目

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