プロジェクト‐ノート:事件・事故/英語版における記事名の付け方(仮訳)
以下のガイドラインは出来事や事件・事故に関するウィキペディアの記事名に適用されます。たとえば、軍事および政治的な紛争、自然災害、テロ事件、交通機関および産業の事故、疫病の発生などの類です。
このガイドラインはWikipedia:記事名の方針[訳者注 1]を補完するものであり、そのように読んで理解するべきです。方針とガイドラインの間に少しでも矛盾がある場合には、方針が優越します。
慣例
[編集]もしもある出来事に対して確立した通称(たとえば、大恐慌、キューバ危機、血の日曜日事件)が存在しているならば、その名称を使用します。大多数の事例では、記事名は次の3つの記述子を含んでいるはずです。
- 時:いつ起こったか。
- 場所:どこで起こったか。
- 出来事:何が起こったか。
- 「いつ」「どこで」「何が」を含む記事名の例
- 2011年東北地震・津波
- いつ: 2011年。他に「東北地震・津波」という記事はウィキペディアにないが、発生年は有益な記述子です。
- どこで: 東北
- 何が: 地震・津波
- 1993年ロシア憲法危機
- いつ: 1993年。他に「ロシア憲法危機」という記事はウィキペディアにないが、憲法が繰り返し危機に陥ることもあり得るし、ロシアの歴史上の他の事件が憲法危機として解釈されることもあるので、発生年は有益な記述子です。
- どこで: ロシア
- 何が: 憲法危機
曖昧さ回避のために「いつ」を表す年を必要としない記事も中にはあります。歴史的な観点では、出来事は簡単に年なしで記述されます。これは最終的に編者の判断に委ねられること (a judgement call) ですが、意見の相違があるときは他の編集者との話し合いで解決してください。
他の記述子がその事件の同一性を確立するのに十分でないとき以外は、月や日は記事名に用いるべきではありません(例外:1995年5月の一連の竜巻発生)。ジュリアーナ・スグレーナの救出のように再発しそうにない出来事、あるいは一度だけ起こり得る殺人事件または特定の人物の死に関係している記事(例:ネダ・アガ=ソルタンの死、ボリス・ネムツォフの暗殺)には日付は不要です。
直ちに同定が可能なために、記事名に日付が不要な出来事には次のような例が挙げられます。
- 「どこで」と「何が」のみ
- テネリフェ空港の惨事
- どこで: テネリフェ空港
- 何が: 航空史上最も多くの死者を出した事故(当時)
- チェルノブイリ災害
- どこで: チェルノブイリ原子力発電所
- 何が: 史上最悪の原子力発電所事故
- バージニア工大銃乱射事件
- どこで: バージニア工科・州立大学
- 何が: 米国史上最も多くの死者を出した銃乱射事件
- シャルリー・エブド銃撃事件
- どこで: シャルリー・エブド社
- 何が: ジャーナリストおよび風刺漫画家の銃撃事件
- 「いつ」と「何が」のみ
- 9月11日攻撃
- いつ: 9月11日(曖昧さ回避のための年は不要)
- この出来事は各地で発生したため、「どこで」は適当な記述子ではない。
- 何が: 攻撃
- 「どこで」のみ
- バビ・ヤール
- どこで: 第二次世界大戦中に数万人が大量虐殺されたウクライナの渓谷
記述子
[編集]記事名の「何が」の部分については、具体的でありつつ中立であるように努めてください。 "accident" という単語は、出来事が本当に accidental (偶発的)であって合理的に予測可能な故意または怠慢な行動の結果でないことを暗示するため、中立的ではありません。 "accident" という用語は、事件・事故を調査した結果、偶発的な出来事だったと監督当局が結論づけ、その所見に対して議論の余地がないか、他の当局(裁判所など)による反論がない場合のみ使用してください。
disaster (惨事)、 tragedy (悲劇)、 crisis (危機)などの単語を用いた特徴の描写は主観的すぎるため避けるようにしてください。出来事を具体的に説明する、 collision (衝突)、 collapse (崩落)、 explosion (爆発)、 outbreak (勃発)、 pandemic (感染爆発)、 sinking (沈没)、 oil spill (油流出)といった語句を使用する方が望ましいです。 "disaster" という単語は、一定の水準の破壊を暗示します。したがって、ある事件・事故が他のほとんどの事例と比較して、それら以上に破壊的であって、かつ現地以外の信頼できる情報源が一貫してその出来事を歴史上の相当期間に及んだこととしてそう特徴づけている場合のみ使用してください。 "crisis" という単語は、constitutional crisis (憲法危機)のような定義を満たすときのみ使用してください。WP:NCCAPSで確立したガイドラインにつき、それが適切な名称である場合を除いては、記事名の2語目以降の単語を大文字で始めないでください。
交通機関の事故
[編集]航空
[編集]航空事故は一般的に、商用の航空運輸に関係する出来事については、航空会社名および便名に従って記事名が付けられます。航空分野においては、 "accident" および "incident" という用語は国際民間航空条約の付属書13で定義されており、航空関係の出来事に記事名を付ける際はこれらの基準に従います。2機以上の航空機が巻き込まれた事故の場合、もしくは便名が割り当てられなかった航空便が絡んでいる事故の場合は、上述の「どこで」「何が」の慣例に倣ってください。 "plane" (飛行機)や "plane crash" (飛行機墜落)のような、くだけた言葉の使用は避けてください。曖昧さ回避の必要がない限り、記事名には事故の起こった年を含めるべきではありません。
海事
[編集]海事関係の事故は船名に従って記事名を付け、船舶についての記事とは独立した記事として区別するために記述子を付け加えます。船名の部分をイタリック体にするためにはTemplate:DISPLAYTITLEを使用します。以下はその一例です。
- タイタニック号の沈没 - 原題:”Sinking of the RMS Titanic”(タイタニック号の記事とは曖昧さ回避する)
- コスタ・コンコルディアの災難 - 原題:”Costa Concordia disaster”(コスタ・コンコルディアの記事とは曖昧さ回避する)
- マーショネスの災難 - 原題:”Marchioness disaster”
- 王立インド海軍の反乱 - 原題:”Royal Indian Navy mutiny”
橋および列車
[編集]橋の崩落および列車事故は「どこで」「何が」の慣例に倣って記事名を付けます。解釈を抜きにして、事実だけによって裏付けられた "derailment" (脱線)や "collision" (衝突)のような、より具体的な説明がない限り、既定の記事名は "train wreck" (列車事故)を含んでいるべきです。 "Train collision" (列車衝突)は、列車同士の衝突事故のほかに、列車と他の乗り物(バスなど)との衝突事故を含みます。歴史上、信頼できる情報源において、 "Great Train Wreck" (列車大事故)のように別の名称で一般的に知られている事故については、そちらの名称を使用します。
疫病の発生
[編集]疫病の発生に関する出来事も「どこで」「何が」に従って記事名を付け、曖昧さ回避のために年を付け加えます。疫病の発生が特定の会社に起因する場合は、会社名を使用してください。必要に応じて、疾病名の部分をイタリック体にするにはTemplate:DISPLAYTITLEを使用します。疾病の名称自体が固有名詞である場合のみ、疾病名について大文字で始めてください。以下はその一例です。
- 1918年インフルエンザ感染爆発
- 1964年アバディーン腸チフス発生
- 1976年フィラデルフィア退役軍人病発生
- 1996年オドワラ大腸菌発生 - 原題:”1996 Odwalla E. coli outbreak”
産業事故
[編集]産業の事件・事故は一般的に、発生年、発生場所および発生した出来事の内容に従って記事名が付けられます。年は付け加えてあると役に立つこともあるでしょう。建物名、場所名、会社名などの固有名詞は大文字で始めますが、 “fire” (火災)、 “explosion” (爆発)、 “disaster” (災害)のような一般的な用語は大文字で始めないでください。船名や石油リグ名の部分をイタリック体にするにはTemplate:DISPLAYTITLEを使用します。以下はその一例です。
- ディープウォーター・ホライズンの原油流出 - 原題:”Deepwater Horizon oil spill”
- ナオミ・マインの爆発
- 2003年イタリア停電
- 2013年シャバール・ビル崩壊
竜巻
[編集]竜巻およびその多発に関する出来事の記事名は、以下に示す様式の中から該当する最先のものに従ってください。
- 一般に受け入れられた唯一の名称がある場合は、Wikipedia:記事名の慣習 (通称)に従い、その名称を使用すること。例: 三州竜巻
- 複数の名称が一般に使用されている場合は、特別な事情がない限り、NOAAまたは公式な気象機関の使用する名称を優先し、他の一切の別名はその名称に従った記事へのリダイレクトとすること。例: 1980年グランドアイランド竜巻多発
- 複数の出来事が同じ名称を共有する場合(たとえ他方の出来事が独立した記事にならない場合であっても)は、受け入れられた名称に年(あるいは必要なら月や日も)を付け加えた記事名とすること。この場合、日付が曖昧さ回避の役割を担う。例: パームサンデー竜巻多発
- 受け入れられた名称が一つもない場合は、次の形式に従うこと。竜巻、竜巻多発、または竜巻多発連続に続けて、地理的な位置(必要とされる場合のみ。市、州、国、大陸、それらの組み合わせなど)を付け加え、最後に年(もしくは月/年、あるいは日/月/年を必要とされる場合に)を付け足す[訳者注 2]。例: 2011年4月14日–16日の竜巻多発 - 原題:”Tornado outbreak of April 14–16, 2011”
中立的な観点の維持
[編集]現在および歴史上の出来事についての記事の名称は、しばしば論争を呼ぶものです。特に、 "massacre" (大量虐殺)のような強意的な単語の使用は、議論を加熱させる焦点になりかねません。特定の強意的な諸単語の使用は、万人に勧められも思いとどまらせられもしません。これらのガイドラインの趣旨は、出来事を同定するために使用される “馴染みの” 言葉遣いを促進することにあります。名称を選択するための規則は以下の順序で適用されます。
- 出来事に対して特定の通称 (common name) がある場合は、たとえそれが議論の余地のある観点を暗に示していたとしても、その通称を使用すること。
- 出来事に対する通称がない場合で、出来事を同定するときに用いられる一般に受け入れられた単語がある場合は、たとえそれが "massacre" (大量虐殺)や "genocide" (集団殺戮)や "war crime" (戦争犯罪)のような強意的な単語であったとしても、記事名にはその単語を含めること。ただしその場合も、記事名は簡潔に保ち、出来事を同定するために必要な以上に多くの単語を入れることは避けること。たとえば、 "terrorist" (テロリスト)という単語を形容詞的に使用することは通常必要とされません。
- 出来事に対する通称も一般に受け入れられた記述的な単語もない場合は、POV(観点)の影響を与えない記述的な名称を使用すること。記述的な名称を創作する方法については上記の節を参照のこと。
定義
[編集]その話題を知っている大半の英語話者[訳者注 3]がそれを同一の名称で呼んでいるのであれば、通称 (common name) または 永続的な表現 (standing expression) が存在します。単語の順序の変化など、名称についてわずかな差異があっても同じ通称とみなされます。たとえば、第二次世界大戦 (World War II) はしばしば二度目の世界大戦 (the Second World War) とも呼ばれますが、これらは十分によく似ており、同じ通称の変化形と考えられます。
一般に受け入れられた単語 (generally accepted word) とは、現実世界の学者らの間で、その出来事に適用可能であると一致した見解のある単語のことです。強意的な単語の使用は依然、政治家やウィキペディアの編集者、または一般大衆の間で議論を呼ぶことがあります。
対立している観点の解決
[編集]いずれの規則を適用するかにかかわらず、出来事をどのように特徴付けるかに関して、依然として異なる観点が存在するかもしれず、それらの中には記事名に対して反対の観点があることもあります。それらの観点は記事の中で論じられるべきです。しかしながら、もしもこの単語が通称の一部であるならば、 "massacre" (大量虐殺)や "terrorism" (テロリズム)のような、中立性に疑いの余地のある単語を記事名が含んでいる可能性があります。また、リダイレクトを使用して、偏りのある記事名から中立性の高い記事名に転送してもよいでしょう。
例
[編集]- ミーライ大量虐殺: これは通称であり、学者らも大量虐殺があったことに概ね同意しています。上掲の規則#1が適用され、規則#2を適用したとしても同じ結果になるでしょう。
- 南京婦女暴行: これは通称(規則#1が適用)ですが、南京大量虐殺にリダイレクトされています。結果的に起こったことのすべてはおそらく、ただ婦女暴行があったというよりは、より適当な記事名です。ただし、 "massacre" (大量虐殺)の語は多分、大文字で書かれていない方がよいでしょう。
- 対テロ戦争: これは通称であるため、たとえ多くの人々がプロパガンダ的だと考えたとしても、通称を使用するべきです。規則#1が適用されます。
- アブグレイブの拷問と捕虜虐待: ここでは "torture" (拷問)が論争を招く単語でした。通称が存在しないため、規則#1は適用されません。一般に、拷問が行われたという学術的に一致した見解があるため、規則#2が適用されます。
- ダルフールにおける戦争: "Darfur genocide" (ダルフール集団殺戮)という用語が使われてはいますが、通称 (common name) に等しいといえるほど一般的 (common) ではないため、規則#1は適用されません。多くの人々は、この紛争は集団殺戮であると考えていますが、これに関して一般に学術的に一致した見解はまだ存在しないため、規則#2も適用されません。したがって、規則#3が適用され、 "genocide" (集団殺戮)に代わって "war" (戦争)の語が使用されています。
- 9月11日攻撃: こちらでの議論の結果、この出来事に対する通称は存在しないと結論づけられました。学者らは、この諸々の出来事はテロリズム行為であることに同意していますが、 "terrorist" (テロリスト)という単語を記事名に付け足すことは、出来事を同定するのに必要な以上に多くの単語を与えることになってしまいます。
関連項目
[編集]訳者注
- ^ 日本語版のWikipedia:記事名の付け方はガイドラインですが、対応する英語版のWikipedia:Article titlesは方針です。
- ^ 日本語と英語では語順が異なるため、翻訳してご紹介する意義は(はっきり言って)ないのですが、正確に知りたい方は原語版と読み比べてみてください。
- ^ 日本語版においては日本語話者。