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プレイス・ブランディング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

プレイス・ブランディング英語: Place-branding)とは、プレイス(エリア的な概念を指し、国、地域、都市を言う)全体をブランディングすることであり、UNWTO (2009)によれば、以下のように定義されている[1]

プレイス・ブランディング / Place-branding
国、地域又は都市の包括的な政治的、文化的及びビジネス的なイメージ全体を包含する全体論的な方法で「プレイス」(用語「プレイス」を参照)をブランド化するプロセス。これには観光の側面も含まれる。
The process of branding a place (see Place) in a holistic way that encompasses a country’s, a region’s or a city’s overall political, cultural and business image. This also includes a tourism dimension.
プレイス / place
プレイスとは、多くの場合、国と同じ意味として使われるが、国、地域又は都市を指すこともできる。つまり、国、地域又は都市の政治的、文化的及びビジネス的なイメージ全体を包含する全体論的な方法である。これには観光の側面も含まれる。このように使用される場合、「プレイス」は、通常、「プレイス・ブランディング」または「プレイス・マーケティング」という用語に関連付けられる。 - それ以外の場合、「プレイス」は、ブランド関連または他の特定の意味合いなしで、ある場所(国、地域又は都市など)を記述するために、通常の一般的な意味で使用される。 - 「プレイス」という用語のさまざまな使用は、文脈から明確でなければならない。
Place is used mostly in the same way as nation, although it can refer to a nation, region or city: in a holistic way that encompasses a country’s, a region’s or a city’s overall political, cultural and business image. This also includes a tourism dimension. Where it is used in this way place is usually associated with the terms place-branding or place-marketing. - Otherwise - place is used with its regular, lay meaning to describe somewhere (e.g. a country, region or city) without any brand-related or other specific connotation. - The different uses of the term - place should be clear from the context.

これに対して、「デスティネーション・ブランド」とは、UNWTO (2009)の定義によれば、『デスティネーション(厳密に言えば観光デスティネーション、つまり人々が訪れたい場所として、国、地域又は都市を指す)の観測可能な特性に基づいて、他のすべてのデスティネーションと区別される、デスティネーションに対し人が抱いている認識の集合を指す。デスティネーションのDNAとも呼ばれ、その中核的な特徴をよく表している。』と定義されており、観光誘客的な意味合いが強い。

「プレイス・ブランディング」をテーマにして、2019年3月に国際シンポジウムが東京で開催され、プレイス・ブランディングの世界的権威である英ダンディー大学ビジネススクールのキース・ディニー博士等が登壇し、活発な議論が行われた[2]

2020年6月、学芸出版社より書籍「DMOのプレイス・ブランディング 観光デスティネーションのつくり方」が出版された[3]

○著者: 宮崎裕二(東洋大学国際観光学部専任講師)岩田賢(運輸総合研究所企画部長)長崎秀俊(目白大学社会学部情報学科教授)光畑彰二(株式会社インターブラ ンド・ジャパンCMO)山本さとみ(ダブルシックス・マーケティング代表)武田光弘(愛知県観光コンベンション局観光推進監)辻野啓一(流通経済大学社会学部国際観光科教授)佐野直哉(上野学園大学音楽学部准教授)加藤英彦(岐阜県商工労働部海外戦略推進課インバウンド推進監)西松卓哉(京都市産業観光局観光MICE推進室観光戦略課長)

○体裁: A5判・220頁・2500円+税

○感染症の流行、オーバーツーリズム等のリスクに直面する観光業のパラダイムシフトを先取りする戦略とは。集客を追求するプロモーションから、住民や他産業と連携しエリアの価値を磨くブランディングへ。レジリエントな競争力を高める10のブランディング手法と、イギリス、アメリカ、ニュージーランド、京都、岐阜等の実践。

○目次のほか、はじめに・おわりに https://i.r.cbz.jp/cc/pl/qkff7759/bncxdzx8w3rs/wi5dlcwl/

(書籍概要)

○     国際的な観光客の増加は観光地間の競争を激化させている。持続的に観光先として選ばれ続けるために、「選ばれる」仕組みであるマーケティングに加え、「選ばれ続ける」仕組みであるブランディングも重要である。観光地全体の価値を高めるには、集客を主目的とする従来の「デスティネーション・ブランディング」のみならず、「文化」「芸術」「伝統」への共感、「住民」の魅力の創出、「環境」への配慮、「社会」への貢献、さらには「輸出」「対日投資」「留学生誘致」への寄与といった様々な観点から「プレイス」のブランドを構築してく「プレイス・ブランディング」の視点が不可欠。

○     本書では、観光地のブランディングの基礎知識から、実際に海外の先進観光地で実践されているプレイス・ブランディングの10のメソッドを具体的事例から紹介。差別化・集客等の課題を抱える日本の観光地の現場担当者に役立つノウハウを解説。

○     インバウンド観光に関わる実務者(民間事業者、DMO、観光協会、自治体等)に役立つ実務的な内容。観光を学ぶ学生にもわかりやすい解説書。

○     執筆者は、ブランドや文化創造マネジメント、サービス・マーケティングを専門とする大学教員、大手ブランドコンサルティング会社のコンサルタントに加えて、海外DMOの実務経験者と有識者、日本政府・都道府県・都市単位のDMOの実務経験者。

◆目次

1章 ブランドとは

2章 プレイス・ブランディングとDMO

3章 プレイス・ブランディングを実践するための10の手法

 手法1 目的を明確化する

 手法2 ブランドを適切に管理する

 手法3 ブランド・ツールキットを作成する

 手法4 マーケティングを統合する

 手法5 ブランドに適合した行動をとる

 手法6 ブランド中心の組織をつくる

 手法7 スタッフを教育する

 手法8 地域住民の当事者意識を高める

 手法9 KPI(重要業績評価指標)を設定する

 手法10 ブランドを評価する

4章 プレイス・ブランディングの先進事例

 事例1 イギリス:国を統合的にプロモーションする「グレート・キャンペーン」

 事例2 イギリス:文化と観光を結びつけた英国政府観光庁の取り組み

 事例3 ニュージーランド:新しいターゲットを開拓したキャンペーン「100% PURE NEW ZEALAND」

 事例4 アメリカ・カリフォルニア州:多様なプレイヤーと目標を共有するブランド・ツールキットの活用

 事例5 アメリカ・ハワイ州:観光客と住民の満足度を高めるDMO とDMC の連携

 事例6 アメリカ・フロリダ州オレンジ郡:テーマパーク都市から進化するプレイス・ブランディング

 事例7 岐阜県:昔から続く営みをブランディングする「飛騨・美濃じまん海外戦略プロジェクト」

 事例8 京都市:「京都らしさ」を軸にしたデスティネーション・ブランディング

5章 日本におけるプレイス・ブランディングの確立に向けて

脚注

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参考文献

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  • International Union of Official Travel Organisations; European Travel Commission; World Tourism Organization (2009). Handbook on Tourism Destination Branding. World Tourism Organization; European Travel Commission. doi:10.18111/9789284413119. ISBN 9789284413119