ブルック級ミサイルフリゲート
ブルック級ミサイルフリゲート | |
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基本情報 | |
艦種 |
ミサイル護衛艦(DEG) → ミサイル・フリゲート(FFG) |
命名基準 |
海軍功労者。 一番艦はジョン・マーサー・ブルックに因む。 |
運用者 |
アメリカ海軍 パキスタン海軍 |
建造期間 | 1962年 - 1968年 |
就役期間 |
1966年 - 1988年 1989年 - 1995年 |
建造数 | 6隻 |
原型艦 | ガーシア級(DE→FF) |
次級 |
ノックス級(DE→FF) オリバー・ハザード・ペリー級(FFG) |
要目 | |
基準排水量 | 2,640トン |
満載排水量 | 3,600トン |
全長 | 126.33 m |
最大幅 | 13.47 m |
吃水 | 7.9 m |
ボイラー |
FW式堅型過給水管ボイラー×2缶 (84.4kgf/cm2, 510℃) |
主機 | WEC式蒸気タービン×1基 |
推進器 | スクリュープロペラ×1軸 |
出力 | 35,000 hp (26 MW) |
速力 | 設計値:27.2ノット |
航続距離 | 4,000海里 (20kt巡航時) |
乗員 | 士官16名+下士官兵250名 |
兵装 |
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搭載機 |
QH-50 DASH×2機(就役時) SH-2F LAMPSヘリコプター×1機(改装後) |
FCS | |
レーダー |
※後にAN/SPS-52Bに換装 |
ソナー | AN/SQS-26 艦首装備式×1基 |
電子戦・ 対抗手段 |
ブルック級ミサイルフリゲート(ブルックきゅうミサイルフリゲート、英語: Brooke-class guided missile frigates) は、アメリカ海軍のミサイル・フリゲートの艦級。ガーシア級を元にして、52番砲のかわりにターター・システムを搭載して改設計したものであり、1962・3年度で6隻が建造された。基本計画番号はSCB-199B[1]。
当初はミサイル航洋護衛艦(DEG)として類別されていたが、1975年の類別変更に伴ってミサイル・フリゲート(FFG)に再類別された[2]。
来歴
[編集]アメリカ海軍では、1956年12月に大西洋艦隊駆逐艦部隊(DesLant)司令官ジョン・ダニエル少将が提唱したように、かなり早期から航洋護衛艦(DE)をミサイル艦とすることについて議論されてきた。基本計画審議委員会(SCB)でも、1959年8月頃より、最大限の対潜戦能力と一定程度の対空・対水上戦能力を備えた駆逐艦についての検討が着手されていた。一方、通常の航洋護衛艦(DE)としては、まず戦後第2世代DEの嚆矢として1960年度でブロンシュタイン級(SCB-199型)が建造されており、1961年度では、高速化を図るなどした発展型が建造される予定となっていた[3]。
1960年3月、艦船局(BuShips)局長ジェイムズ少将は、1962年度で、この発展型を元にしたミサイル護衛艦(DEG)を建造するよう提言した。そして同年10月の基本計画審議委員会(SCB)において、砲装型DEとミサイル型DEGの建造が発表された。このDEGとして建造されたのが本級である。一方、砲装型DEとして建造されたのがガーシア級(SCB-199A型)であり、まず1961年度からガーシア級が、続いて1962年度より本級の建造が開始された[4]。
設計
[編集]上記の経緯より、本級の基本設計はガーシア級と同一であり、マック構造を備えた遮浪甲板型とされた[5]。また同級より導入された過給水管ボイラーも踏襲されており、蒸気性状は主力戦闘艦並みの圧力1,200 lbf/in2 (84 kgf/cm2)・温度510 °C (950 °F)であった[6]。電源も同構成で、タービン主発電機(出力500キロワット)2基とディーゼル非常発電機(出力500キロワット)2基が搭載された[7]。
装備
[編集]本級は、基本的にガーシア級をもとにして、一部の装備をバーターとしてターター・システムを搭載した構成となっている。
センサー
[編集]ガーシア級ではマック上に2次元式のAN/SPS-40対空捜索レーダーを搭載していたのに対し、本級では3次元式のAN/SPS-39に変更された[4]。また竣工後まもなく、発展型のAN/SPS-52に更新された[1]。
その他のセンサはガーシア級の構成を踏襲しており、対水上捜索レーダーとしてはAN/SPS-10を搭載した。探信儀はバウ・ドームに収容されており[4]、62年度計画艦ではAN/SQS-26AXRが、63年度計画艦ではAN/SQS-26BXが搭載された[1]。
電子戦装置としては、当初はAN/WLR-1電波探知装置およびAN/WLR-3レーダー警報受信機、AN/ULQ-6電波妨害装置が搭載されていたが、後にAN/SLQ-32(V)2電波探知装置に換装された[8]。
武器システム
[編集]中央の上部構造物上には、ガーシア級の52番砲にかえて、Mk.22 単装ミサイル発射機が搭載された。これは59年度計画DDGから装備化されたMk.13 単装ミサイル発射機の軽量化版であり、弾庫容量を40発から16発に削減している。艦対空ミサイルとしては、当初はターターを搭載していたが、後にSM-1MRに更新した[1]。
マック直後にはMk.74 mod.2 ミサイル射撃指揮装置(GMFCS)が設置された。同世代のDDGでは2基を搭載した上に砲射撃指揮装置(GFCS)にもミサイル誘導機能が付加されており、同時に3個の目標と交戦できたのに対し[9]、本級ではGMFCS 1基のみの搭載であり、同時に1個の目標としか交戦できない[4]。なおGMFCSはのちにmod.6に更新されたほか、これと連接される武器管制システムとしてはWDS Mk.4が搭載された[8]。
艦砲は、ガーシア級から52番砲を省いた構成となっており、船首甲板に38口径127mm単装砲(Mk.30 5インチ砲)を搭載して、艦橋構造物上のMk.56 砲射撃指揮装置(GFCS)により管制した。また「タルボット」は、オリバー・ハザード・ペリー級の新しい艦砲システムの試験艦となり、1974年8月には艦砲を62口径76mm単装速射砲(Mk.75 3インチ砲)に、またGFCSをMk.92に換装した[10]。ただし試験終了後、これらの装備は従前に復された[2]。
対潜兵器はガーシア級と同構成であり、艦橋直前にはアスロック対潜ミサイルのMk.112 8連装発射機が搭載された。また62年度艦では人力での再装填とされて、艦橋構造物前面に折りたたみ式のクレーンが設置されていたのに対し、63年度艦では機力による次発装填装置が搭載され、発射機が艦橋構造物に近づけられているのも同級と同様である[3][1]。魚雷としては、両舷には短距離用の324mm3連装短魚雷発射管(Mk.32)が搭載されたほか、多くの艦では、船尾にも長距離用の533mm連装魚雷発射管(Mk.24/25)が設置された。ただしMk.48魚雷の水上艦発射版の計画中止に伴い、533mm魚雷発射管は後日撤去された[3]。これらを管制する水中攻撃指揮装置(UBFCS)としては、Mk.114が搭載された[8]。
艦載機
[編集]設計段階ではQH-50 DASHの搭載が予定されており、船尾甲板をヘリコプター甲板として、その直前にはDASHの無人航空機2機またはHUL連絡ヘリコプター1機を収容できる格納庫が設置されていた[3]。しかしDASHは1960年代末に運用停止となったことから、実際の運用は行われなかった[10]。
その後、1972年から1975年にかけて、LAMPS Mk.Iの運用に対応する改修を受けた[2]。これに伴い、SH-2Fヘリコプターを収容できるよう、伸縮式の格納庫が設置された[8]。
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DASH用の航空艤装
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LAMPS対応改修後の航空艤装
同型艦
[編集]当初計画では、1964年度で10隻、その後の会計年度で更に3隻の建造が予定されていたが、通常のDEと比して建造費が高いわりにはDDGと比して性能に劣る点が問題視され、1963年1月、ロバート・マクナマラ国防長官は以後の追加建造中止を決定した[4]。
アメリカ海軍 | パキスタン海軍 | |||||||||
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会計年度 | # | 艦名 | 起工 | 進水 | 就役 | 退役 | # | 艦名 | 再就役 | 返還 |
1962年 | DEG-1 → FFG-1 |
ブルック USS Brooke |
1962年 12月19日 |
1963年 7月19日 |
1966年 3月12日 |
1988年 9月16日 |
D-162 | カイバル PNS Khaibar |
1989年 2月1日 |
1994年 1月 |
DEG-2 → FFG-2 |
ラムゼー USS Ramsey |
1963年 2月4日 |
1963年 10月15日 |
1967年 6月3日 |
1988年 9月1日 |
貸与されず | ||||
DEG-3 → FFG-3 |
スコフィールド USS Schofield |
1963年 4月15日 |
1963年 12月7日 |
1968年 5月11日 |
1988年 9月8日 | |||||
1963年 | DEG-4 → FFG-4 |
タルボット USS Talbot |
1964年 5月4日 |
1966年 1月6日 |
1967年 4月22日 |
1988年 9月30日 |
D-164 | フナイン PNS Hunain |
1989年 4月 |
1993年 12月 |
DEG-5 → FFG-5 |
リチャード・L・ペイジ USS Richard L. Page |
1965年 1月4日 |
1966年 4月4日 |
1967年 8月5日 |
D-163 | タブーク PNS Tabuk |
1989年 3月 |
1994年 1月 | ||
DEG-6 → FFG-6 |
ジュリアス・A・フューアー USS Julius A. Furer |
1965年 7月12日 |
1966年 7月22日 |
1967年 11月11日 |
1989年 1月31日 |
D-161 | バドル PNS Badr |
1989年 1月 |
1995年 12月 |
出典
[編集]- ^ a b c d e アメリカ護衛艦史
- ^ a b c Gardiner 1996, p. 597.
- ^ a b c d Friedman 2004, pp. 349–352.
- ^ a b c d e Friedman 2004, pp. 352–359.
- ^ 船体 (アメリカ護衛艦の技術的特徴)
- ^ 機関 (アメリカ護衛艦の技術的特徴)
- ^ Friedman 2004, pp. 484–485.
- ^ a b c d Prezelin 1990, p. 806.
- ^ Prezelin 1990, pp. 796–797.
- ^ a b Moore 1975.
参考文献
[編集]- Drenkard, Carl C. (2015年). “First-Hand: The Anti-Submarine Warfare Ship Command and Control System - The First Spin Off from the Naval Tactical Data System” (英語). 2017年9月24日閲覧。
- Friedman, Norman (2004). U.S. Destroyers: An Illustrated Design History, Revised Edition. Naval Institute Press. ISBN 1-55750-442-3
- Gardiner, Robert (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. ISBN 978-1557501325
- Prezelin, Bernard (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. pp. 809-810. ISBN 978-0870212505
- Moore, John E. (1975). Jane's Fighting Ships 1974-1975. Watts. p. 442. ASIN B000NHY68W
- Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 449. ISBN 978-1591149545
- 阿部, 安雄「アメリカ護衛艦史」『世界の艦船』第653号、海人社、2006年1月、94-97頁、NAID 40007060042。
- 「船体 (アメリカ護衛艦の技術的特徴)」『世界の艦船』第653号、海人社、2006年1月、118-123頁、NAID 40007060042。
- 阿部, 安雄「機関 (アメリカ護衛艦の技術的特徴)」『世界の艦船』第653号、海人社、2006年1月、124-129頁、NAID 40007060042。
- 多田, 智彦「兵装 (アメリカ護衛艦の技術的特徴)」『世界の艦船』第653号、海人社、2006年1月、130-135頁、NAID 40007060042。
関連項目
[編集]- ウィキメディア・コモンズには、ブルック級ミサイルフリゲートに関するメディアがあります。
- バレアレス級フリゲート - スペイン海軍のミサイルフリゲート。ノックス級フリゲートを基に改設計された防空艦で、本級とほぼ同等の性能を有する。