ブルターニュのアルチュス
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『ブルターニュのアルチュス』(Artus de Bretagne)[注 1]は、アーサー王伝説に属する文学作品の一つ。1300年頃[1]に成立したとみられており、中期フランス語の散文で書かれている[1]。
ブルターニュ公の息子アルチュスの冒険や怪物退治が描かれている[2]。なおアルチュスはアーサーのフランス語名だが、ブリテンのアーサー王とは別の人物である[3]。
この物語は当時広く読まれていたようであり、1532年頃に書かれたフランソワ・ラブレーの『パンタグリュエル物語』(第30章[4])において過去の王や英雄たちが地獄で世俗の仕事に従事させられている場面でも、ブルターニュのアルチュスが取り上げられている[5][6][7]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c ヴァルテール & 渡邉・渡邉訳 2018, p. 436.
- ^ 不破 2023.
- ^ Hoernel 2015, RÉSUMÉ.
- ^ “Chapter XXX” (英語), Pantagruel, ウィキソースより閲覧。
- ^ Hoernel 2015, 第19段落.
- ^ ラブレー, フランソワ 渡辺一夫訳. 第二之書 パンタグリュエル物語. グーテンベルク21
- ^ “Édition Nourry, 1530” (フランス語), Pantagruel, ウィキソースより閲覧。 [スキャンデータ]
- ^ 小沼, 義雄「ヴュルツブルク随想」(PDF)『国際アーサー王学会日本支部会報』第30巻、2017年10月、9頁。
- ^ 梁川, 英俊「グウェンフランとは誰だったのか(2) : 『バルザス=ブレイス』の冒頭の歌をめぐって」『鹿児島大学法文学部紀要人文学科論集』第82巻、2015年7月31日、69-83頁。 80頁。
- ^ a b ヴァルテール & 渡邉・渡邉訳 2018, p. 306.
参考文献
[編集]- ヴァルテール, フィリップ『アーサー王神話大事典』渡邉浩司(訳)、渡邉裕美子(訳)、原書房、2018年2月10日。ISBN 978-4-562-05446-6。
- 不破, 有理. “【動画公開中】経済学部 不破有理教授 最終講義「アーサー王伝説に魅せられて~研究と教育と~」【講演動画を公開しています。】 - イベント・セミナー - 慶應義塾大学 教養研究センター”. 慶應義塾大学. 2023年6月3日閲覧。 - 講演動画の40分あたりから『ブルターニュのアルチュス』の解説あり。
- Hoernel, Alexandra (2015). “Le « baron confondu » : la réception littéraire d’Artus de Bretagne du temps de Machaut à celui de Rabelais (XIVe-XVIe siècles)”. In Christine Ferlampin-Acher (フランス語). Artus de Bretagne, du manuscrit à l'imprimé (xive-xixe siècle). Presses universitaires de Rennes. pp. 137-152. ISBN 9782753541252 - リンク先はフランス国立科学研究センターなどが運営する Centre pour l'édition électronique ouverte(オープン電子出版センター)が提供しているオープンアクセス版の電子書籍(参考:“人文・社会科学系電子書籍ポータル“OpenEdition Books”が公開 - カレントアウェアネス・ポータル” (2013年2月21日). 2023年6月4日閲覧。)
- フェルランパン=アシェ、クリスティーヌ「『アルテュス・ド・ブルターニュ』―知られざる中世末期フランスのアーサー王物語」渡邉浩司・渡邉裕美子(訳)、中央大学『中央評論』75巻1号(通巻323号)、2023年4月、p.96-110。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Artus de Bretagne | Arlima - Archives de littérature du Moyen Âge - 『ブルターニュのアルチュス』に関する写本・校訂版・翻訳・研究などの文献リスト