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ブライアン・ライター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Brian Leiter
生誕 1963年(60 - 61歳)
マンハッタン, ニューヨーク市, ニューヨーク州, アメリカ合衆国[1]
時代 現代哲学
地域 西洋哲学
学派 分析哲学分析法学
研究分野 法哲学ニーチェ大陸哲学
主な概念 自然化された法律学
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ブライアン・ライター (Brian Leiter, 1963年[2] - ) は、アメリカ合衆国哲学者法学者シカゴ大学ロースクール教授[3][2]分析哲学ニーチェ解釈の主要人物[3][2]。インターネット上での言論活動でも知られる[2]

経歴

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1963年マンハッタン[1]ユダヤ人家庭に生まれる[4]。1984年プリンストン大学で哲学B.A.取得[5]。1987年ミシガン大学アナーバー校ロースクールでJ.D.(法務博士号)取得[2]。ニューヨークの法律事務所に勤めた後、1995年同ミシガン大学で哲学Ph.D.取得[2]博士論文のテーマは「ニーチェと道徳批判」[2]

以後、サンディエゴ大学ロースクール、テキサス大学オースティン校ロースクールで教えた後、2008年シカゴ大学ロースクール教授に就任[2]、法理学カール・N・ルウェリン冠教授、法学・哲学・人間的価値研究所 (Center for Law, Philosophy & Human Values) 所長を務める[6]

その他、イェール大学ロースクールパリ第10大学、フランス国立社会科学高等研究院ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンオックスフォード大学などの客員教授や、複数の法学・哲学系学術雑誌の編集委員も務める[5]

学問

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1990年代から始めたニーチェ研究において、英語圏のみならず全世界で影響力をもつ学者と評される[2]。解釈の方法論として、歴史的文脈を考慮しつつ、アーサー・ダントーバーナード・レジンスター英語版と同様の分析哲学的手法をとっている[7]。これにより、ニーチェが様々な意味において「自然主義者」であるというコンセンサスを確立させた[7]。2015年には、国際ニーチェ研究学会(The International Society for Nietzsche Studies)の創設に携わった[6]

法律学・法哲学においては、リアリズム法学の再解釈や、「自然化された法律学」(naturalized jurisprudence) を扱っている[8]

その他、宗教的寛容道徳心理学マルクスらニーチェ以外の大陸哲学など、様々なトピックを扱っている。

スタンフォード哲学百科事典 (SEP) の項目 "Naturalism in Legal Philosophy" や "Nietzsche's Moral and Political Philosophy" の執筆者でもある。

インターネット上での活動

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英語圏の大学院哲学科格付けサイト Philosophical Gourmet Report (PGR) の創設者として知られる[2]。また、哲学や政治にまつわるニュースとそれに対する持論をブログTwitterで精力的に発信しており、その内容には論争的なものもある[2]

PGRは "Leiter Report" とも呼ばれ[9]、1989年、当時大学院生だったライターが作った紙のリストに由来する[1][10]。このリストは口コミで広まり、1996年にインターネット上に公開された[10][11]。2002年、PGRが有害かつ恣意的だとして閉鎖を求めるオープンレターに、約300人の学者が署名した[10]。2014年には、ライターから攻撃的なEメールを送られたとするキャリー・イチカワ・ジェンキンスの同僚を中心に、600人以上の学者がPGRの閉鎖を求める嘆願に署名した[1]。この嘆願を受け、PGRの諮問委員54人中30人がライターを辞任させるべきとした[1]。最終的に、Berit Brogaard を後任とする形で、ライターはPGRの運営から辞任させられた[12]。ライター自身は嘆願を不服としており、格付けで所属先が低評価されたことへの報復か、もしくはライターがセクハラ容疑者を擁護したことに怒るフェミニストによる不当な嘆願だとして、嘆願の中心人物を名誉毀損で訴訟も辞さないとした[13][14]

ブログは、1.哲学(および政治)関係、2.法学関係、3.ニーチェ関係、以上3つのブログを運営している。とくに1つ目において、2003年のイラク戦争[15]ID説への批判など、論争的な投稿をしている。また、トマス・ネーゲルなどへの個人批判も度々している[16][17][18][19]。また、批判を集めている学者の擁護も度々しており、例えば Steven Salaita (Steven Salaita hiring controversy)[20]、Rebecca Tuvel (Hypatia transracialism controversy)、ジョン・ヨー[21]キャスリーン・ストック英語版[22]J・マーク・ラムザイヤー[23]らを擁護している。

ブログでは「哲学者が好きな哲学者」ランキングの投票なども開催している[24]

著書

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多くの著書がある。

日本語訳

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  • Nietzsche on Morality (Routledge, 2002; 2nd edition, 2015)
    • ブライアン・ライター著、大戸雄真訳『ニーチェの道徳哲学と自然主義 『道徳の系譜学』を読み解く』春秋社、2022年。ISBN 9784393323908 (原著2版の訳)

脚注

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  1. ^ a b c d e The Man Who Ranks Philosophy Departments Now Rankles Them, Too”. Chronicle.com. The Chronicle of Higher Education (September 26, 2014). September 26, 2014時点のオリジナルよりアーカイブSeptember 30, 2014閲覧。.
  2. ^ a b c d e f g h i j k ブライアン・ライター著、大戸雄真訳 2022, p. 549f(訳者解説).
  3. ^ a b 分析哲学的なスタイルでニーチェを解釈する――21世紀のニーチェ研究最前線(前編) |じんぶん堂”. じんぶん堂. 2022年3月19日閲覧。
  4. ^ Washington Post: ""Mondoweiss" is a hate site (Update)" by David Bernstein May 4, 2015
  5. ^ a b Brian Leiter”. The University of Chicago Law School. October 16, 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。December 14, 2013閲覧。
  6. ^ a b ブライアン・ライター著、大戸雄真訳 2022, 著者プロフィール.
  7. ^ a b ブライアン・ライター著、大戸雄真訳 2022, p. 551-562(訳者解説).
  8. ^ アンドレイ・マーモー 著、森村進 監訳『現代法哲学入門』勁草書房、2023年。ISBN 978-4-326-45129-6。36頁。
  9. ^ Edward Batchelder, John Palattella (February 1, 2001). The Real Guide to Grad School: The humanities. Lingua Franca Books. ISBN 9781931098427. https://books.google.com/books?id=mlAAkak_vYwC&q=%22brian+leiter%22 
  10. ^ a b c Oppenheimer, Mark. “The philosopher kingmaker”. Boston.com. http://archive.boston.com/bostonglobe/ideas/articles/2008/04/20/the_philosopher_kingmaker/?page=1 2022年1月27日閲覧。 
  11. ^ Carson, Theresa (April 15, 1999). “Philosophical Gourmet Report Ranks Chicago Tops in Continental Philosophy”. The University of Chicago Chronicle 18 (14). http://chronicle.uchicago.edu/990415/philosophy.shtml June 18, 2011閲覧。 
  12. ^ Andy Thomason (October 10, 2014). “Controversial Philosopher Will Step Down as Editor of Influential Rankings”. The Chronicle of Higher Education. 2014年10月10日閲覧。
  13. ^ Schmidt, Peter (26 September 2014). “The Man Who Ranks Philosophy Departments Now Rankles Them, Too”. 1 November 2016閲覧。
  14. ^ The boycott statement from September contained falsehoods (plus the actual lawyer letter to Jenkins and Ichikawa)”. Leiter Reports: A Philosophy Blog. 2022年3月19日閲覧。
  15. ^ Leiter Reports: A Group Blog: On Norman Geras and the proposition that "there was no persuasive moral case against the Iraq war" (Leiter)”. typepad.com. 1 November 2016閲覧。
  16. ^ Leiter Reports: A Philosophy Blog: Thomas Nagel Jumps the Shark, Part II”. Leiterreports.typepad.com (December 2, 2009). August 2, 2013閲覧。
  17. ^ Leiter Reports: A Philosophy Blog: Carlin Romano: Total Ignorance of Philosophy is No Obstacle to Opining about Richard Rorty”. Leiterreports.typepad.com (September 9, 2007). August 2, 2013閲覧。
  18. ^ Leiter Reports: A Philosophy Blog: Why review a book of philosophy when you can sneer at it? (Leiter)”. Leiterreports.typepad.com (February 19, 2006). August 2, 2013閲覧。
  19. ^ Brian Leiter's Law School Reports: Whenever there is an opportunity to attack the First Amendment and academic freedom, Paul Campos is there!”. Leiterlawschool.typepad.com (April 16, 2008). August 2, 2013閲覧。
  20. ^ “University of Illinois Repeals the First Amendment for Its Faculty”. Huffington Post. (August 23, 2014). https://www.huffpost.com/entry/university-of-illinois-re_b_5703038 

    Freedom of Expression and Education”. wttw.com. 1 November 2016閲覧。

  21. ^ “Torture and Academic Freedom”. The New York Times. (August 20, 2009). http://roomfordebate.blogs.nytimes.com/2009/08/20/torture-and-academic-freedom/?_r=0#brian 
  22. ^ The "Anti-Kathleen Stock" open letter is full of mistakes, fact-free speculation and misleading innuendo”. Leiter Reports: A Philosophy Blog. 2022年1月27日閲覧。
  23. ^ Brian Leiter's Law School Reports”. leiterlawschool.typepad.com. 2022年3月19日閲覧。
  24. ^ 横路佳幸 (2017年). “哲学者が好きな哲学者とは誰なのか?”. researchmap.jp. 2022年6月8日閲覧。

外部リンク

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