フールズフィスト
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フールズフィスト | |
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ジャンル | バトル・アクション |
小説 | |
著者 | 阿羅本景 |
イラスト | QUZ竜 |
出版社 | 集英社 |
レーベル | スーパーダッシュ文庫 |
刊行期間 | 2012年9月 - 2013年1月 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | ライトノベル |
ポータル | 文学 |
『フールズフィスト』[注 1][2]は、阿羅本景による日本のライトノベル。イラストはQUZ竜が担当。スーパーダッシュ文庫(集英社)刊。
強い相手と戦うことが生き甲斐の少年・誠が、現代日本を支配する7つの財閥『七幸家』が秘密の内に開催する魔術闘技『七姫騎闘儀(セプトマキア)』に巻き込まれ、お嬢様の雲英や同級生の伊織、兄貴分の武蔵とともに戦い抜いていくという現代魔法バトルアクション作品。
あらすじ
[編集]この作品記事はあらすじの作成が望まれています。 |
世界観
[編集]現代の日本が舞台。魔法はオカルト(秘匿された知識)として扱われている。
7つの財閥『七幸家』が現代日本の政財界など各主要分野を幕末後の歴史の裏から支配している。その七幸家が魔法を知る者たちであり、魔法ゆえに成功を収め、その礎となる『ファウストの遺産』を巡って争っている。その為、一般市民には魔法と遺産、〈七姫騎闘儀〉の存在は秘匿・隠蔽工作が行われている。
登場人物
[編集]主要人物
[編集]- 藤堂 誠(とうどう・まこと)
- 男性、年齢16歳。本作の主人公。
- 幸浦家の「従者」。淫蕩(ラスト)の悪魔アスモデウスの罪人の戎衣を持つ。腕っ節はかなり強い。
- 己の信念のもとに激しい戦いを求める高校生。自分の考えに初めて共感を抱いてくれた武蔵を"兄貴"と慕う。勧善懲悪の精神よりも義侠心の方が強い快男児であるが、なによりも己の哲学に忠実すぎる、愛すべき喧嘩バカ男子。『人生を豊かにし己が敬うに値する者は、拳を交わした者のみ』という戦闘民族な思想を根底に持つ。
- 家族は整骨院を営む柔道家の父と剣術家の母、妹の水夏。柔術は父親直伝だがあくまでも父の技として喧嘩では封印している。
- 幸浦 雲英(ゆきうら・きら)
- 女性、年齢10(?)歳。本作のヒロイン。日本を支配する『七幸家』の一つ、幸浦家の一人娘。
- 幸浦家の「姫」。月(アルテミス)の神相を持つ。妖精的なあどけない銀髪の美少女。
- 七騎騎闘儀において幸浦家を代表する「姫」としての素質があるが、その生まれと育ちは数奇なものがある。いつもは館の奥に暮らしており、社交界や人前に顔を出さない箱入り娘である。年齢は公称10歳だが、不詳な部分も多い。
- 性格はその境遇にもかかわらず明朗快活でわりと開けっ広げで、自分が認めた相手に対しては胸襟を開いて接する度量を持つ。聡明であるが後に引かない頑固さや、思い込みが強い部分もあり、家族環境の不安定さがもたらした性格的な影の一面もある。
- 闘儀に対しては、ある願いを『ファウストの遺産』によって叶えることを夢見ており、積極的に関与しようとする。
- 誠がひょんなことで幸浦邸でアルバイトすることになってから、意外な形で接点が生まれ、誠を闘儀に巻き込むことになる。
- 山南 伊織(やまなみ・いおり)
- 女性、年齢16歳。本作のヒロイン。誠と同い年で、同じ中学同学年の少女。誠と同じ私立七瀬高に通う温和な優等生。
- 幸浦家の「騎士」。忍耐(パーセヴュランス)の聖剣アルマスを持つ。二つ歳上の兄・武蔵と共に幸浦邸にて住み込み、令嬢である雲英付きのメイドをしている。
- 戦いの経験は無いが、逆に定石にとらわれない柔軟な発想の戦い方ができる。
- 雲英とはある運命からほとんど姉妹同然に育っており、お互いに気を置かない関係である。
- 多少引っ込み思案で忍耐力の強い部分や、育ちからコミュ力に翳りがあるがある程度親しくなれば割とフランクに話をする。
- 兄の武蔵への極度のブラザーコンプレックスをこじらせており、誠との運命的な出会いをするが、お互いの仲は前途多難。
- 山南 武蔵(やまなみ・むさし)
- 男性、年齢18歳。誠・伊織の2歳年上で同じ私立七瀬高の3年生。
- ミスターパーフェクトと言われるナイスガイ。自分のカリスマを自覚できていない。 山南伊織の兄にして、同じく幸裏家にて住み込み使用人をしている。18歳にして執事長代行を勤めるほど優秀。
- 性格は温和であるが意志は強く明瞭で涼やか。常に他人を思い遣り、悠然として焦らない態度と鋭利で洞察深い頭脳があり、文武に優れて眉目秀麗。
- 効率を重視する戦略をたちまち組み上げ迷い無く実行するが、誠や雲英や伊織のために汚れ役として悲壮な決意をする。
幸浦家
[編集]- 日本の裏社会を掌中に収めている。といわれている。
- 幸浦竜樹
- 幸浦家当主。だが断絶寸前の幸浦家の没落に目を背け、インドシナの山奥に逃げて阿片と女に溺れた生活を送っているらしい。
- サトイモ
- 雲英のペットの小さなもこもことしたコキンメフクロウ。
- 食べる餌が冷凍ピンクマウスのため、餌やりはビジュアル的に割とえぐい。
- 幸浦家参事会
- 逃げ出した幸浦家当主の代わりに幸浦家を運営する組織。
- しかし実体は暴力組織、仕立取引関係者、自称フィクサー、闇金融、脱法コンサルタント、カルト宗教組織など裏社会の集まり。
- あわよくば『ファウストの遺産』を横取りしようとしているため、雲英や武蔵は信用していない。
邦幸家
[編集]- 七幸家筆頭。政官界を掌中に収めている。
- 邦幸京香
- 邦幸家の「姫」。木星(ゼウス)の神相を持つ。
- 貴婦人の美貌と威厳を身につけ、常に貴人としての気品と責務を帯びた存在感を持つ完璧な令嬢。
- 尊大だが認めた人間には惜しみの無い大器。卑劣な行いを嫌い、父親の姑息な策謀を疎んでいる。
- 邦幸由起夫
- 邦幸家当主。「七姫騎闘儀」実行のための諸業務を行う機関、「闘儀協議会」の議長でもある。
- 『プレジデントメーカー』の異名を持ち、海千山千の政治家を一瞥のみで黙らせる政界の影の大物。
- 25年前、妹であり前回の「七姫騎闘儀」で邦幸家の「姫」であった、邦幸彩香を「従者」に殺害されている。その心の傷が「従者」恐怖症となり、そのため策を弄するが京香には惰弱、陰湿に映っている。
- 彼が「闘儀協議会」で提議した緊急動議が更なる波乱を巻き起こす。
- 鹿島竜也
- 邦幸家の「騎士」。愛(チャリティ)の聖剣ジュワイユーズを持つ。
- 誰からも最強の剣士と賞賛される人外の天才。だが、京香には役立たずと言われる。
- 京香ではなく当主由起夫に選ばれ、難儀な性格で京香の言うことを聞かない。
- 灘春海
- 邦幸家の「従者」。怠惰(スロース)の悪魔ベルフェゴールの罪人の戎衣を持つ。京香には怠け者の役立たずと言われる。
- 鹿島竜也同様、京香ではなく当主由起夫に選ばれ、難儀な性格で京香の言うことを聞かない。
- 吉岡憲剛
- 邦幸家の使用人。五部刈りのクルーカットに黒い背広とサンブラスといった、長身に肩幅の広い暴力的な容貌の巨漢。
- 粗暴だが邦幸家に尽くす忠実な男。しかし、京香には阿諛追従の輩と扱われている。
幸楽家
[編集]- メディアを掌中に収め、報道・出版を意のままに操る。既に直系の血族が絶えている。
- 幸楽愛梨
- 幸楽家の「姫」。金星(アフロディテ)の神相を持つ。
- 化粧のきつい女性だが薄明かりの中でこそ魅惑が引き立つ美貌を持つ女性。幸楽家当主、幸楽力太郎の愛人。
- 元は幸楽家の分家、霞音家の人間でうだつの上がらない歌手を続けていたが、直系血族が断絶した幸楽家周辺の中で唯一、「姫」となれる
- 霊的資質を持っていた為、幸楽家使用人の内藤勝之に見出され、芸能界でのし上がるため幸楽家の名を得て「七姫騎闘儀」に野心を持って参加する。
- 内藤勝之
- 幸楽家内で頭角を現しつつある若き使用人。武蔵と伊織の昔馴染みだが、とある因縁で幸浦家を強く憎む。
- 策謀を巡らし主人公たちと対決する切れ者。亡き姉、亜季が愛梨に面影が似ている。
- 幸楽力太郎
- 幸楽家当主。顎が張り目がぎょろりとした六十絡みの男。
- 幸楽家の入り婿でありながらメディア王となった卑屈な男。愛梨の愛人でもある。
幸陽家
[編集]- 金融界を掌中に収めている。
- 幸陽凛
- 幸陽家の「姫」。太陽(アポロン)の神相を持つ。
- すっきりとした身なりで髪をポニーテールにした目鼻立ちが明瞭な華やかな美少女。
- 彼女が幸陽の名を使うことをにいい顔をしない人も多い。言葉にできない悔しさを胸に秘める。
- 母を苦しめた幸陽英一郎を殺したいほどに憎んでいる。
- 鹿島雪乃
- 幸陽家の「騎士」。勤勉(インダストリィ)の聖剣コルタナを持つ。
- 手足が長いパンツスタイルに男物のコートを身に着けて、黒く真っ直ぐなロングヘアを軽く束ねた男装の麗人。鹿島竜也の妹。
- 兄と常に比べられ不遇を胸にくすぶっていたが、幸陽凛と互いの心の底に秘めた感情を共有し、彼女の為に戦う。
- 雷洞巌
- 幸陽家の「従者」。憤怒(ラース)の悪魔サタンの<罪人の戎衣>を持つ。
- 武闘派暴走族『マッドグロウラー』の総長。顔面半分にタトゥーが入ったスキンヘッド、ジーンズに上半身裸の屈強の漢。
- 粗暴だが勝ち方に拘り、戦いを通して魂を敬い磨き上げうる威厳を持った、誠が認める好敵手。
- 黒宮征人の友人でもある。
- 幸陽英一郎
- 幸陽家の当主。白髪痩身で和装の老人。金融界のドン。凛をいつの間にか家の代表を称したとして、娘と認めていない。
幸村家
[編集]- 食品とエネルギー業界の大半を掌中に収めている。<七姫騎闘儀>に懲りて下りたがっている。
- 幸村結菜
- 幸村家の<姫>。長い髪が緩くウェーブした儚げな面立ちの少女。当主の後添の娘で立場が弱い。
- まったく戦いに向かない心の弱い少女だが、比類ない<霊的資質>を持つ。
- 桂木江美子
- 幸村結菜の絵の先生。四十を少し越えた痩せた外見の婦人。二十五年前に行われた<七姫騎闘儀>の唯一の生存者。
- 前回の<七姫騎闘儀>で幸村家の<姫>、幸村美幸の<騎士>であったが彼女の凄惨な死を目の当たりにして生き延びてしまった。
- 結菜を守るためにもう一度戦いに赴く事になる。
- 幸村滋比古
- 幸村家の当主。口髭の肥満体の壮年。
- 上の二人の娘を闘儀の犠牲にすることを怖れ、さして愛していない末娘を闘儀の<姫>として送り出した。
鷹幸家
[編集]- 家電企業関連を掌中に収めている。
- 鷹幸葵
- 鷹幸家の「姫」。カットジーンズの上にトレーニングウェアの、眉が太く精悍でスポーティな中性的な16歳の少女。
- 鷹幸薫
- 鷹幸家の「騎士」。葵の弟でもある紅顔の美少年。無茶な姉と本能そのもので動く姉の友人ここあに振り回される苦労人。
- 大麦ここあ
- あどけない顔で髪をツーテールにした、ジャンクフードを好む六歳の少女。
- 葵の学友の妹で、葵の<従者>への勧誘にあっさりと承諾する。
岳幸家
[編集]- 携帯電話など通信会社業界を掌中に収めている。
- 岳幸知里
- 岳幸家の「姫」。眼鏡の鋭利な知的少女。オカルトに興味を示し非社交的。
- 「騎士」である椿に全幅の信頼を置き、勝つことが目的ではないとしながらも、「従者」の選択に悩む事になる。
- 桐谷椿
- 岳幸家の<騎士>。カソリックの修道会に所属するシスター。
- 元々はオカルト好きの知里を更生させるためのお目付役のはずだったが、彼女の人前での厳粛で信仰深い態度は世を偽る仮面。実際は知里以上にオカルトに興味を持ち無駄なアグレッシブさと剽軽な性格を隠していた為、暴走を止める立場が逆転している。
- 知里への愛が強すぎて男性を嫌っている。
その他
[編集]- 京極蘭
- 濡れるような艶のある黒髪のショートカットに硬質のメイク、露出の高い黒いレザーを纏った怪しい色気の20歳絡みの女性。
- 幸浦家参事会の案内で武蔵に雇われる。
- かつて中国系マフィアと国内暴力組織の間で発生した武力紛争『新宿戦争』で名を馳せた暗殺者。別名<殺人蜂(キラービー)>と呼ばれる。
- かつて<蟷螂(マンティス)>と呼ばれた相棒、工藤司を何者かに謀殺されている。
- レヴィ
- 武蔵が重宝している速度と信頼性が高い新進気鋭の情報屋。
- 邦幸家関連のアカウントのクラウドストレージすら覗く事ができた凄腕。
- 黒宮征人
- メッシュの入った金髪と甘いマスク、手足の長いホスト風の邪気が漂う軽薄な優男。
- いずこかの<従者>。雷洞巌の友人でもある。
- パラケルスス
- 現実離れした見るからに美しい金髪碧眼で幾何学的にまで整った顔の、おどけた口調をした十歳前後の少年。
- 百年前から<七姫騎闘儀>の裁定執行人を務めているという。
- 『ファウストの遺産』の一部を使うことが許されており、余興として7種類の『死者の復活』を実演する。
用語
[編集]- <七姫騎闘儀(セプトマキア)>[3]
- 大魔術師である『ファウスト』の遺産を巡り、<姫>を輩出する七つの名家『七幸家』によって『ファウストの遺産』を廻って争われる魔法&異能闘儀。
- 世間の目から秘匿して行われる秘儀。25年に1回、すでに125年間で5回行われていたという。
- 闘儀のプロセス
- 7つの名家『七幸家』からそれぞれ一人ずつ「姫」を選び出す。
- 「姫」は魔法の武器をうけて、それぞれ「騎士」と「従者」を決めて分け与える。[4]
- 7人の「姫」はその「騎士」と「従者」を引き連れて戦い、三つ巴の戦い方を駆使して最後に残った「姫」が勝利者になる。
- 最後の勝者が万能の魔法『ファウストの遺産』を手に入れることになる。
- 優劣の法則
- 「従者」は「騎士」には勝てない。
- 「騎士」は「姫」にはかなわない。
- 「姫」は「従者」に弱くて食われてしまう弱点がある。
- 七幸家
- 「七姫騎闘儀」に参加する資格のある、祖師ファウストの子孫である七つの富豪の家柄のこと。
- 邦幸・岳幸・幸村・幸楽・幸陽・鷹幸・幸浦の苗字に〈幸〉の字を持つ事から合わせて七幸家と言われるこの家柄は、それぞれが日本の政財界を支配する、
- 巨大な資産家・財閥であり、日本国内外に強い影響力を持っているといわれている。
- <ファウストの遺産>
- 祖師(ウル)ファウストの残した魔法の精髄。
- 不老長寿、万病治癒、死者復活、時間旅行、生命と精神の創造、錬金術などのすべてを可能にすると噂される、万能の魔法。
- それを手にいれれば神にも等しい力を得る、と子々孫々である<七幸家>に言い伝えられている。
- <祖師(ウル)ファウスト>
- 日本に開国後にやってきたという伝説の魔術師。
- アジア放浪の末に文明開化の日本に辿り付いた彼は、この国で『なにか』を見つけ出しついにその魔術を完成させたという。
- 魔術の完成により莫大な力を得たファウストだが、彼はなぜか人を避け巷間に潜む生活を送ることになる。
- その力の恩恵を受けたのは、彼の子孫や弟子たち、彼らが<七幸家>を作り上げ、この国の政財に君臨するに至った。
- その技のすべてを子孫へ『ファウストの遺産』として遺し、遺産相続者を決める<七姫騎闘儀>の原型を作った、といわれている。
- <姫(プリンセス)>
- <七姫騎闘儀>のメインプレイヤー。七幸家の血族ないしは霊的素養のある養女が選ばれ、
- 各家の代表として<額冠(ティアラ・アルカナ)>を預かり最後の一人になるまで戦う、<七姫騎闘儀>の主将。
- <額冠>を発動させることで、オリンポス神話の神々の力を帯びた<星神姫鎧(ディヴァインアーマー)>で武装することとなる。
- <星神姫鎧>は鎧と武具のワンセットとなっており、それぞれが七曜の星相(太陽=アポロン、月=アルテミス……etc.)に由来する。
- また、<権能(セイクリッドライト)>と呼ばれる特殊な超常現象を引き起こす必殺技が使うことができる。
- <騎士(ナイト)>
- <姫>に<聖剣(ブレード・イコン)>をもって叙勲されることで就任する、<姫>の右手となる忠実な部下。
- <姫>がもっとも信頼の置ける人間を選ぶか、剣の腕を買われた猛者を探して任じる事が多い。
- <騎士>は<姫>より授けられた<聖剣>を発動させる事により、実体化した<聖剣>と自動防御機能のある魔法の<加護盾(グレールシールド)>を得て闘うことになる。
- 聖剣は『ローランの歌』に歌われた七つの剣(デュランダル、ジュワイユーズ……etc.)であり、それぞれが七つの美徳(勇猛、貞淑、勤勉……etc.)を象徴する。
- また聖剣を持つ<騎士>は、必殺技である<騎士能技(キャヴァリアースキル)>を用いることができる。
- <騎士能技>は攻撃の手段だけではなく、防御の手段であったり、時にはお互いに命を懸けての決闘状況を作ったりする事もある。
- <従者>(エスクワイヤ)>
- <姫>が<罪人の戎衣(ジャケット・グリモア)>を用いて雇用する、悪徳を秘めた猛悪な部下。
- しかし、<姫>に無二の忠誠を誓う<騎士>とは違い、<給付(リウォード)>という七つの大罪(嫉妬、暴食……etc.)に応じた悪徳に駆られる為に、
- その選定を間違うと自軍の<姫>に直接の危害を加える事がある。
- 戦闘に臨んではその七つの大罪に応じた悪魔(ルシファー、ベルゼバブ……etc.)の化身、<業魔闘躯(デアボリックアヴァター)>を用いて闘い、
- 悪魔の呪いの力である<呪虐(カースバインド)>という特殊な攻撃法を用いることができる。
- <選定儀装(レリックアーマメント)>
- 祖師ファウストが<七姫騎闘儀>の為に作り上げた、<額冠>・<聖剣>・<罪人の戎衣>の三点からなる魔法の武装。
- 7つずつ、合計21個この世に存在する。
- <額冠(ティアラ・アルカナ)>
- <姫>の<選定儀装>。
- 七曜の月と星の相を持ち、対応するギリシア・ローマの神[5]の力を象徴した武装と権能を帯びる<星神姫鎧>を作り上げる。
- どの家が何の<星相>を入手するかはランダムだが、入手後は何の<星相>を入手したか七幸各家に公示される。
- <聖剣(ブレード・イコン)>
- <騎士>の<選定儀装>。
- 古フランス語叙事詩、聖騎士ローランの歌に謳われる七つの剣に七つの徳目[6]を割り振り、大天使ガブリエルの加護を得た聖なる武器。
- 武器となるだけでなく<加護盾>と<騎士能技>を<騎士>に付与する。
- <罪人の戎衣(ジャケット・グリモア)>
- <従者>の<選定儀装>。
- 七つの大罪の悪魔[7]の力を有した皮製のジャケット。
- <従者>に<呪虐>の力を持つ悪魔の化身<業魔闘躯>を操り戦わせる力を持つ。
- <星神姫鎧(ディヴァインアーマー)>
- <姫>の武装。鎧と星相の神に応じた武器をワンセットにして<姫>を装甲・武装する。
- <加護盾(グレールシールド)>
- <騎士>の自動防御機構である、空中に浮遊する半透明の魔法の盾。
- その数は<聖剣>によって左右される。物理・魔法的な防御力を有する。
- <業魔闘躯(デアボリックアヴァター)>
- <従者>が呼び出し背後に従える、七つの大罪を背負う大悪魔の化身。
- それ自体が強大な力を持った物理的な破壊・攻撃を可能とする。
- <給付(リウォード)>
- <従者>が駆られる欲求。<業魔闘躯>の召喚や、<呪虐>のための燃料でもある。
- その内容は自らの<罪人の戎衣>に対応する七つの大罪に応じた悪徳[8]であり、不足しすぎれば自軍の<姫>すら襲って食いたがるようになる。
- <姫>が<騎士>に委任して<給付>を代行させることも可能。
- <権能(セイクリッドライト)>
- <騎士能技(キャヴァリアースキル)>
- <呪虐(カースバインド)>
- <姫>・<騎士>・<従者>の各クラスの特殊技能。武装の強化や大規模攻撃、特殊な現象誘発などの異能を主とする。
- それぞれの機能は千差万別であり、これらの使用が勝敗を決定付ける。
- <裁定執行人(エグゼキューター)>
- <七姫騎闘儀>の執行と勝敗判定等の審判裁定を一任され、遺産継承を取り仕切る祖師ファウストの遺言執行人ともいうべき役割。
- パラケルススという年齢不詳の少年が初代の<七姫騎闘儀>から務めている。
- 超常の力を用いて闘う<七姫騎闘儀>参加者である<姫>・<騎士>・<従者>を時に制止し、時に制裁するために、
- <七姫騎闘儀>参加者を遥かに上回る力を祖師ファウストより『ファウストの遺産』の限定執行権が与えられている。
- <闘儀協議会(コミットメント)>
- <裁定執行人>によって招集された七幸家の代表者による、<七姫騎闘儀>実行のための諸業務を行う機関。
- 日本を牛耳るとまで言われる七幸家は、<闘儀協議会>によって連絡交換を行い、影響力を持つ各機関に働きかけている。
- 闘儀や魔法の隠蔽・被害の修復・外部からの介入の阻止、そして闘儀参加者が過度に外部に干渉すること(選定武装の力を使って犯罪を起こすとか)を防ぎ、
- 最後の一人の<姫>を生き残るまでの闘儀遂行を貫徹することにある。
- そのため、一般人は過去数度行われた闘儀に関しての事実を知らない。
- <闘争死(アサルト・デス)>
- <姫>の死によって勝敗の決着が付くケース。
- <姫>同士の戦いによって死んだ場合、死んだ<姫>の<額冠>を残された<騎士><従者>が敵から奪い返し、二十四時間以内に別の適格者へ着装させること
- が出来れば、その陣営の<姫>は復活できる。[9]
- <騎士><従者>が死んだ場合、死んだ<騎士><従者>の<選定儀装>を敵から奪い返し、<姫>によって別の人間に叙勲・雇用することが出来れば、
- その陣営の<騎士><従者>は復活できる。[10]
- 撃破して奪った敵の<選定儀装>を<闘儀協議会>に提出し、<裁定執行人>がその<選定儀装>を非活性化することにより復活を防ぐことが出来る。
- <姫>が<従者>に食べられて死んだ場合、または、<姫>の死亡後<額冠>が着装者無く二十四時間経過した場合、<姫>を失った<騎士>は叙勲と能力を
- 即座に解除されるが、<姫>を失った<従者>は巻き添えになって死亡する。
- <騎乗試合(ジョスト)>
- 二つの陣営が決闘の合意を結び、<騎士>に全権を委託してその戦いで勝敗の決着を付けるケース。
- この時、負けた方の陣営の<姫>は<王の身代金(ロイヤルランサム)>という誓約により死亡する。
- <廃疾降伏(クリップルサレンダー)>
- <姫>が<騎士>と<従者>を失い、その<選定儀装>も奪われる孤立無援の状況になった場合、<闘儀協議会>に出頭し<裁定執行人>に降伏を宣言すること。
- ただし、<姫>の霊魂に張り付いている<額冠>を剥ぎ取れば、失明・失聴・四肢の麻痺・神経失調や大脳機能の一部喪失・悪くすれば植物人間になるなど、
- 身体や心に重大な悪影響が出る。
- <二重雇用>
- 武蔵が立案・実行した、一人の<姫>が二人の<従者>を雇うという、今までの参加者が誰も想像しなかった<七姫騎闘儀>のルールの抜け穴。
- パラケルススが期待する未曾有の波乱の幕開けとなる――
- <神聖受胎(アヌムケージョン)>
- パラケルススが知る、<七姫騎闘儀>の最後の最後に起こること。
- <コキンメフクロウ>
- 小さくてかわいい。でも食べる餌がビジュアル的に割とえぐい。
七幸家 | <姫>の額冠 | <騎士>の聖剣 | <従者>の罪人の戎衣 |
---|---|---|---|
幸浦家 | 月(アルテミス) | 忍耐(パーセヴュランス)のアルマス | 淫蕩(ラスト)のアスモデウス |
幸楽家 | 金星(アフロディテ) | 節制(テンペランス)のミュルグレス | 強欲(グリード)のマモン |
幸陽家 | 太陽(アポロン) | 勤勉(インダストリィ)のコルタナ | 憤怒(ラース)のサタン |
邦幸家 | 木星(ゼウス) | 愛(チャリティ)のジュワイユーズ | 怠惰(スロース)のベルフェゴール |
岳幸家 | |||
幸村家 | |||
鷹幸家 |
<姫>の選定儀装・特殊能力
[編集]- 月(アルテミス)
- 月光弓(クレセントアーチ)を持つ。
- <処女兵装(ヴァージンガード)>
- 無傷の状態であれば攻撃力を倍化させる常在型の攻撃強化。
- <狩猟夜宴(ハンティングパーティ)>
- 半径500m内の敵の<騎士>と力が劣る<姫>を、動物に変身させる範囲事象変容型の秘技。
- 通常でも<騎士>一人を無力化できるが、複数の<騎士>がいれば一気に大量の戦力を削ぐことができる。
- 強大な霊力を必要とするため、実力の低い雲英では満足に使いこなすことができない。
- 金星(アフロディテ)
- 鞭の様に敵を打ち、<騎士>相手であれば攻撃を自動的に防ぐ攻防一体の武器、西風の羽衣(ゼフュロスヴェイル)を持つ。
- 太陽(アポロン)
- 七星神相で『沖天の王』といわれる強豪。赤金の短槍、焔凱槍(プロミネントジャベリン)を持つ。
- <月(アルテミス)>の神相に極めて相性が良い為、武蔵は警戒している。
- <切断光輪(シャインチャクラム)>
- 光を束ねたリングで敵を切り裂く。
- <焼尽(フレアインシネレィト)>
- 地上のいかなる金属の融点よりも高い、太陽の表面温度の光球を打ち破裂させ、周囲数十メートルを焼き尽くす。
- 木星(ゼウス)
- 七星神相で『最強』といわれる強豪。壮麗な王笏(レガリアスケプター)を持つ。
- <雷霆王権(パニッシュサンダー)>
- 火星(アレス)
- 七星神相で『不敗』といわれる強豪。
- 水星
- 土星
<騎士>の選定儀装・特殊能力
[編集]- 忍耐(パーセヴュランス)の聖剣アルマス
- 聖騎士にして大司祭テュルパンの帯剣。強い守りの特性を持ち、<騎士>で『最硬の聖剣』と謳われる。
- 両手で掴んでも余りある長さの柄から伸びる刀身の長さは伊織の身長ほどもある大剣。4枚の<加護盾>を持ち前面180°をカバーする。
- <刀槍軟化(フオンドル・ラ・ラム)>
- その身を攻撃する武器を軟化させ打撃を軽減する防御技。
- 鋼の刀でアルマスの持ち手を打ち続ければ五合と打たないうちに刀身が鉛のごとく曲がり、柔らかく歪む。
- アルマスの強大な防御力をさらに裏打ちする打撃弱体化の技だが、<西風の羽衣>の様な柔らかくしなやかな武器には相性が悪い。
- <立往生(モウリール・ドウブ)>
- アルマスの持ち主は地に膝を突くまで決して負けることはない。
- 因果律レベルにまで介入し、<騎士>の敗北を保留する。
- 節制(テンペランス)の聖剣ミュルグレス
- フランク王国の大臣にしてローランの継父でありながら、彼を裏切ったガヌロンの佩剣。
- 白銀の長剣に2枚の半透明の<加護盾>が浮かび、守りの特性を持つ。
- <受難者の報い(レコンバス・デ・ラ・バッジオン)>
- その身で受けた打撃を刃に宿して打ち返す、肉を切らせて骨を断つ激烈な反撃技。
- <修練試合(ジュ・ド・トレイメン)>
- 自分と相手の<騎士>同士、互いの<聖剣>を人を切ることができない練習用の木製の剣に変え、その場を剣技を競う練磨場にする。
- 敗者の剣は刃を落とされて鈍り、特殊技能を剥奪される。
- 集団戦では使いにくいが、<騎士>同士の決闘では能力の相性を無視した単純な実力勝負となるため有効な特殊技能。
- 勤勉(インダストリィ)の聖剣コルタナ
- 王子にして聖騎士であるオジェ・ド・ル・ダノワの帯びる『欠けた剣』
- 欠けた切っ先と残った刀身を2本に仕立てた様な、長短二本の双剣に半透明の<加護盾>が浮かぶ。
- <たゆまぬ歩み(アンファティガブ・エタップ)>
- 攻めの手を絶やさぬ限り、剣速が増大し続ける。
- 一度でも手を止め受けに回れば積み上げた剣速はキャンセルされるため、雪乃のような優れた剣士でなければ使いこなせない。
- 勇猛(ブレーブリィ)の聖剣デュランダル
- 不世出の大英雄ローランの聖剣。<騎士>の中でも最強の<聖剣>と謳われる。<姫>に勝利する可能性もありうるといわれる。
- 愛(チャリティ)の聖剣ジュワイユーズ
- フランク王国の王、シャルルマーニュが所持していたという国王の王権を象徴する剣。
<従者>の選定儀装・特殊能力
[編集]- 淫蕩(ラスト)のアスモデウス
- 美しい装束に魔法印と数多くの護法印をまとった、猛々しくも峻厳な貴族君主のような人頭羊角の悪魔。
- <無窮輪鋳(ウーネンドリッヒヴエルフェン)>
- 四色の宝石を顎に咥えた黒い髑髏の指輪を自らの指にはめる。
- その拳と共に殴れば指輪が砕け、宝石の色に対応した地水火風の四元素の力が振るわれる。
- 指輪は使えば砕けるが、速やかかつ無限に鋳られ、敵が息絶えるまで攻撃し続けることができる。
- <賢王の驚愕(ベスツァーズングソロモン)>
- 大地より胸壁と尖塔を持つ城砦と奇怪な宮殿を生み出して広範囲の攻撃を防ぎ、無数の石の兵士を呼び出して戦わせる。
- 伝説の賢人王ソロモンの壮大な宮殿を一晩で作った逸話に則り、宮殿・兵士・武器防具・魔獣妖獣を意のままに作り上げる。
- 強欲(グリード)のマモン
- 鴉の頭と黒い羽を持つ身の丈5メートル近くの巨大な男、裸の胴体に節くれだった手足を持つ貪欲の化身。
- <万権剥奪(マハトラウベン)>
- <姫>と<従者>の必殺技を奪い封じる。
- <凍土獄蔵(アインフリーエンラガー)>
- 世界を変容させ、無限の深さを持つ青く凍るクレヴァスを出現させて、敵を永久凍塊に落とし飲み込む。
- 憤怒(ラース)のサタン
- 有角竜頭の奇怪な頭部に鱗をびっしりとまとった、燃えさかる炎の赤い悪鬼。
- <従者>の中でも最強と言われる。<騎士>と引き分けぐらいは可能かもしれないといわれる強豪。
- <憤怒竜撃(アウフファーレンドラッヘン)>
- 両手より黒く激烈な極高温の炎の竜を二体呼び出す。
既刊一覧
[編集]スーパーダッシュ文庫(集英社発行)
- フールズフィスト 2012年9月30日初版発行 ISBN 978-4-08-630702-4
- フールズフィスト2 2013年 1月30日初版発行 ISBN 978-4-08-630723-9
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 阿羅本景(インタビュー)「作家・イラストレーターインタビュー:第107回」『スーパーダッシュ文庫』、集英社。オリジナルの2013年11月10日時点におけるアーカイブ 。2024年9月9日閲覧。
- ^ タイトルロゴに組み込まれている『Regia Septmachia』というのは「七つの戦いの姫」という、この作品の中核の一つ、〈姫(プリンセス)〉の存在を象徴した用語。
- ^ セプトマキア、というのはギリシア語で「七つの戦い」という意味で作られた造語(注釈:決闘=モノマキア、神話の「巨人戦争」=ギガントマキア)
- ^ ただし、「騎士」と「従者」の性別は逆でなくてはならない。
- ^ 月(アルテミス)・金星(アフロディテ)・太陽(アポロン)・木星(ゼウス)・火星(アレス)・水星・土星。
- ^ 忍耐(パーセヴュランス)の聖剣アルマス・節制(テンペランス)の聖剣ミュルグレス・勤勉(インダストリィ)の聖剣コルタナ・愛(チャリティ)の聖剣ジュワイユーズ・勇猛(ブレーブリィ)の聖剣デュランダル……。
- ^ 淫蕩(ラスト)のアスモデウス・強欲(グリード)のマモン・憤怒(ラース)のサタン・傲慢(プライド)のルシファー・怠惰(スロース)のベルフェゴール・嫉妬(エンヴィー)のレヴィアタン・暴食(グラトニー)のベルゼバブ。
- ^ 例として、淫蕩のアスモデウスを持つ誠の場合はエロいこと。
- ^ もちろん、死んだ<姫>とは別人。
- ^ もちろん、死んだ<騎士><従者>とは別人。
外部リンク
[編集]- スーパーダッシュ文庫・作品紹介
- 「阿羅本景」インフォメーションブログ
- MoonGazer~睨月舎~ - 阿羅本景公式サイト
- なぜなにフールズフィスト(1)七姫騎闘儀(セプトマキア)とは?
- なぜなにフールズフィスト(2)七幸家と「ファウストの遺産」
- なぜなにフールズフィスト(3)姫・騎士・従者と選定儀装
- なぜなにフールズフィスト(4)CharacterFiles No.1 藤堂誠
- なぜなにフールズフィスト(5)CharacterFiles No.2 幸浦雲英
- なぜなにフールズフィスト(6)CharacterFiles No.3 山南伊織
- なぜなにフールズフィスト(7)CharacterFiles No.4 山南武蔵
- なぜなにフールズフィスト(8)裁定執行人と闘儀協議会、Q&A
- 『フールズフィスト』第2巻発売記念 ペーパー特別ダウンロード 各種設定用語集と「七幸家」それぞれのショートストーリー