フランボイダル組織
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フランボイダル組織(フランボイダルそしき、英語: framboidal texture)は鉱物が形成するキイチゴ状の構造のことである。
概要
[編集]フランボイダル組織は「マイクロクリスタル」から成り立つ組織である。形成過程は明確ではないが、バクテリアによる形成[1]:45や自己組織化による形成[2]:16-18が報告されている。
代表的な例
[編集]ここではフランボイダル組織を示すことのある鉱物のうち、代表的なものを示す。
黄鉄鉱
[編集]黄鉄鉱(英: pyrite)はフランボイダル組織を示すことのある鉱物であり、フランボイダル組織が見られる黄鉄鉱を特に「フランボイダルパイライト」もしくは「フランボイダル黄鉄鉱」と呼ぶ。これらのフランボイダルパイライトは直径250 µmから1 µmの大きさの球形を示す。それらの中には1000個から1億個程度のマイクロクリスタルが存在し、それらの大きさは10 µmから0.1 µmである[3]:46[1]:45[2]:12-13。
大藤 (2011)及び大藤 (2012)ではどのようにマイクロクリスタルが充填されているのかを調査した。その結果、面心立方充填と20面体充填が確認された[2]:13-14[3]:47-48。
深澤 & 掛川 (2008)はバクテリアによる生成を想定し、フランボイダルパイライトの存在をもとに古環境の復元を試みた[4]:168。
磁鉄鉱
[編集]磁鉄鉱はフランボイダル組織を形成することがある[5]:148。
脚注
[編集]- ^ a b 赤井純治、阪根嘉浩、大串知音「フランボイダルパイライトのバクテリアによる生成:組織、構造、形態多様性の培養実験的研究」『日本鉱物科学会年会講演要旨集』日本鉱物科学会 2010年年会セッションID: S2-P02、日本鉱物科学会、2010年、45-45頁、doi:10.14824/jakoka.2010.0.45.0、NAID 130004601690。
- ^ a b c 大藤弘明「微細組織から探るフランボイダルパイライトの自己組織化プロセス」『岩石鉱物科学』第41巻第1号、日本鉱物科学会、2012年1月、12-18頁、doi:10.2465/gkk.111207、ISSN 1345630X、NAID 10030121962、国立国会図書館書誌ID:023574864。
- ^ a b 大藤弘明「フランボイダルパイライト : 天然における鉱物の不思議な自己組織化作用」『日本結晶学会誌』第53巻第1号、日本結晶学会、2011年2月、46-51頁、doi:10.5940/jcrsj.53.46、ISSN 03694585、NAID 10027840559、国立国会図書館書誌ID:11029191。
- ^ 深澤翠、掛川武「秋田県北鹿地域黒鉱胚胎層上部泥岩中に見られるフランボイダル黄鉄鉱と古環境推定」『日本鉱物科学会年会講演要旨集』日本鉱物科学会2008年年会セッションID: R7-P04、日本鉱物科学会、2008年、168頁、doi:10.14824/jakoka.2008.0.168.0、NAID 130005008187。
- ^ 赤井純治; 大藤弘明; 松本嘉文 (2005). “炭素質コンドライト中の磁鉄鉱の電顕鉱物学 --- その集合組織、規則配列について ---”. 日本鉱物学会年会講演要旨集 (日本鉱物科学会) 日本鉱物学会2005年度年会: 148. doi:10.14824/kobutsu.2005.0.148.0. NAID 130005053238 2020年11月15日閲覧。.