コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

オーギュスト・フランショーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フランショームから転送)
オーギュスト・フランコム
Auguste Franchomme
基本情報
生誕 (1808-04-10) 1808年4月10日
出身地 フランスの旗 フランス帝国 リール
死没 (1884-01-21) 1884年1月21日(75歳没)
フランスの旗 フランス共和国 パリ
学歴
ジャンル クラシック音楽
職業

オーギュスト=ジョゼフ・フランコムまたは(誤った発音による)フランショーム[注釈 1]Auguste-Joseph Franchomme, 1808年4月10日 リール - 1884年1月21日 パリ[4])はフランスチェリスト作曲家・音楽教師。

略歴

[編集]

12歳からリール音楽院英語版でマ[注釈 2]に学んで1821年に一等賞を取得したのち、ピエール・ボーマン[注釈 3]に学んだ。1825年12月にはパリ音楽院で一等賞を取得したが、これはジャン=アンリ・ルヴァスール英語版のクラスで学び始めてわずか5ヶ月後のことだった。1826年からルヴァスールの後任のルイ=ピエール・ノルブラン英語版に師事した[4][5]

さまざまなオーケストラと共演するようになり、1828年にはサント・シャペルのチェリストに就任した。ジャン=デルファン・アラールや、ハレ管弦楽団の創始者となったチャールズ・ハレらとともにアラール四重奏団を結成。この四重奏団は、団員がみな職業音楽家によって構成されているという点で、当時の室内楽アンサンブルとしては稀有の団体であった。また、パリ音楽院演奏協会の創立にも名を連ねた。

フェリックス・メンデルスゾーン1831年パリを訪れると親交を結び、フレデリック・ショパンとも親しくなった。ショパンは、チェロピアノのための《ジャコモ・マイアベーアの歌劇『悪魔のロベール』の主題による協奏的大二重奏曲》をフランコムと合作し、フランコムはショパンの《華麗なるポロネーズ》作品3のチェロ・パートを手直ししている。ショパンは《チェロ・ソナタ ト短調》作品65をフランコムに献呈した。

1856年イングランドを訪問したのを除けば、フランコムは滅多にパリから離れず、パリ楽壇の中心人物になった。1843年には、ジャン=ルイ・デュポールの息子から、総額2万2千フランストラディヴァリウス「デュポール」を買い取り、また1730年製のストラディヴァリウス「デ・ムンク」も入手している。1846年には、恩師ノルブランの後任として、パリ音楽院チェロ科の主任教授に就任し、ジュール・デルサールエルネスト・ジレ英語版らを輩出した。

フランコムは当時の最も著名なチェリストであり、弓奏法の技術を洗練させるのに寄与した。フランコムの左手は、器用で正確な演奏と、表現力の豊かさで名高かった。(ジャン=ピエールジャン=ルイの)デュポール兄弟によって発展を遂げたフランスのチェロ楽派に、フランコムは、優雅さ、甘美さ、軽やかさという特色をもたらしたのである。

作曲家としては55曲のチェロ作品を遺しており、《12の奇想曲》作品7(独奏チェロ、ただし任意で付加する伴奏の第2チェロあり)や、《12の練習曲》作品35(独奏チェロ、ただし任意で付加する伴奏の第2チェロあり)、《チェロ協奏曲》作品33など、ピアノを伴奏にするもの、室内楽やオーケストラを伴奏にするものと、多種多様な作品が含まれる。

1884年に音楽界への貢献が認められ、レジオン・ドヌール勲章を授与された。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 姓の Franchomme は日本語文献でフランショームフランショムと表記されることがあるが、フランス語の意味を考えると Franc (IPA: /fʁɑ̃/) / homme (IPA: /ɔm/) と分けるのが自然であること、フレデリック・ショパンが書いた手紙における彼への言及で Frank (1845年7月、ショパンの家族宛[1])あるいは Frankom (1845年12月初め、ヴォイチェフ・グジマワ英語版宛)と記した例があること、PWM音楽百科事典ポーランド語版の Franchomme の項目に [frank'om] と発音が記されていることから[2]フランコムの表記が適切と考えられる[3]
  2. ^ Mas. または、Louis Maes
  3. ^ Pierre Baumann (1796-1872).

出典

[編集]
  1. ^ List Fryderyka Chopina do rodziny (M/506, NIFC, D/266)” (ポーランド語). Warszawa: Muzeum Chopina. 2021年3月8日閲覧。
  2. ^ Kobylańska, Krystyna (1988). “Franchomme” (ポーランド語). Encyklopedia Muzyczna PWM. 3. Kraków: Polskie Wydawnictwo Muzyczne. p. 138. ISBN 83-224-0344-5 
  3. ^ Ruhlmann 2020, pp. 635–637, 関口時正「訳者後記」.
  4. ^ a b Walden 2001.
  5. ^ Ruhlmann 2020, p. 571.

参考文献

[編集]
  • Ruhlmann, Sophie「小伝集 フランコム、オーギュスト(Żurowska, Joanna ポーランド語訳、西田諭子 日本語訳)」『ショパン全書簡 1836~1839年 パリ時代(下)』Helman, Zofia; Skowron, Zbigniew; Wróblewska-Straus, Hanna (編)、関口時正、重川真紀、平岩理恵、西田諭子、木原槙子(訳)、岩波書店、2020年、571-583頁。ISBN 9784000613651 
  • Walden, Valerie (2001年). “Franchomme, Auguste (Joseph)”. Grove Music Online. doi:10.1093/gmo/9781561592630.article.10107. 2021年3月8日閲覧。

外部リンク

[編集]