フォー・ザ・ビューティ・オブ・ウィノナ
『フォー・ザ・ビューティ・オブ・ウィノナ』 | ||||
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ダニエル・ラノワ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
バース リアル・ワールド・スタジオ パリ Taklab ダブリン ドッグ・タウン・スタジオ カナダ グラント・アヴェニュー・スタジオ ニューオーリンズ キングスウェイ・スタジオ | |||
ジャンル | ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | ワーナー・ブラザース・レコード | |||
プロデュース | ダニエル・ラノワ | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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ダニエル・ラノワ アルバム 年表 | ||||
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『フォー・ザ・ビューティ・オブ・ウィノナ』(For the Beauty of Wynona)は、カナダ出身の音楽プロデューサー、ダニエル・ラノワが1993年に発表した、ソロ名義では2作目のスタジオ・アルバム[5]。
背景
[編集]U2のアルバム『アクトン・ベイビー』(1991年)やピーター・ガブリエルのアルバム『Us』(1992年)のプロデュースと並行して制作され[6]、本作に参加したプレイヤーのうちダリル・ジョンソン、マルコム・バーン、ビル・ディロンは『Us』のレコーディングにも参加した[7]。「スリーピング・イン・ザ・デヴィルズ・ベッド」は、本作に先駆けて1991年の映画『夢の涯てまでも』のサウンドトラック・アルバムに収録された[8]。レコーディングでベースやパーカッション等を演奏したダリル・ジョンソンは、ラノワのボーカル・コーチも務めた[9]。本作制作時のドキュメンタリー映像は、1993年にビデオ・ソフト『Rocky World』として発売された[10]。
歌詞は主に英語だが、「コレクション・オブ・マリー・クレール」は英語とフランス語の両方で歌われている[11]。「インディアン・レッド」はジョージ・ランドリーの曲のカヴァーで、The Wild Tchoupitoulas(ランドリーの所属グループ)のヴァージョンは1976年のアルバム『The Wild Tchoupitoulas』に収録されている[12]。
ラノワ自身は『サウンド・オン・サウンド』誌のインタビューにおいて、本作の作風を「『アカディ』の曲は大体、一つの楽器、特に私のアコースティック・ギターで静かに始まっていたけど、『ウィノナ』ではどの曲も生々しく相互作用的なバンド演奏で始まっている。私はレコードで細部まで洗練させることに少々飽きてきた。むしろ、よりロック的な演奏を押し出すことに時間を割いたんだよ」と説明している[6]。
ジャケット
[編集]ジャケットには、ヤン・ソーデックの作品集『Life, Love, Death & Other Such Trifles』に掲載されていた写真の一つ「The Knife」が使用された[9]。アメリカ盤のジャケットでは、「AMERICAN EDITION」という文字でモデルの乳首が隠された[13]。
2012年、本作のジャケットがステレオガムにおいて「最もクールな職場閲覧注意のアルバム・カヴァー40」の一つに選ばれた[14]。
反響・評価
[編集]母国カナダの『RPM』では、1993年4月10日付のアルバム・チャートで初登場48位となり[15]、同年5月8日には26位を記録した[16]。ジュノー賞では最優秀男性ボーカリスト賞にノミネートされ、更に「メッセンジャー」と本作には未収録のシングル曲「Mon Beau Petit Chou」によって最優秀プロデューサー賞にノミネートされた[17]。
スイスのアルバム・チャートでは4週トップ40入りして、最高36位を記録した[2]。スウェーデンでは1993年4月7日付のアルバム・チャートで47位となった[3]。アメリカでは総合アルバム・チャートのBillboard 200入りを果たせなかったが、『ビルボード』のトップ・ヒートシーカーズでは26位に達した[18]。
トム・デマロンはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「何人かのスーパースターが登場した『アカディ』とは違い、より抑制的で繊細な響きを持つ」「即効性のあるアルバムではなく、むしろ聴き手にとってゆっくり成長していく作品」と評している[5]。また、Stephanie Zacharekは『エンターテインメント・ウィークリー』のレビューでBを付け「ラノワは多層的なギターによるフォークやレイド・バックしたブルージーなロックに、インド、中近東、アフリカの風味を混ぜ合わせている」と評している[19]。
収録曲
[編集]特記なき楽曲はダニエル・ラノワ作。5.はインストゥルメンタル[11]。
- メッセンジャー "The Messenger" – 5:27
- ブラザーL.A. "Brother L.A." – 4:17
- スティル・ラーニング・ハウ・トゥ・クロール "Still Learning How to Crawl" (Daniel Lanois, Daryl Johnson) – 5:19
- ベアトリス "Beatrice" – 4:21
- ウェイティング "Waiting" – 1:59
- コレクション・オブ・マリー・クレール "The Collection of Marie Claire" – 4:17
- デス・オブ・ア・トレイン "Death of a Train" – 5:47
- アンブレイカブル・チェイン "The Unbreakable Chain" – 4:19
- ロッタ・ラヴ・トゥ・ギヴ "Lotta Love to Give" – 3:38
- インディアン・レッド "Indian Red" (George Landry) – 3:46
- スリーピング・イン・ザ・デヴィルズ・ベッド "Sleeping in the Devil's Bed" – 3:03
- フォー・ザ・ビューティ・オブ・ウィノナ "For the Beauty of Wynona" – 5:52
- ロッキー・ワールド "Rocky World" – 2:55
参加ミュージシャン
[編集]- ダニエル・ラノワ - ギター、ボーカル、プロデュース
- ダリル・ジョンソン - ベース、パーカッション、ボーカル、ドラムス
- マルコム・バーン - キーボード、ギター
- ビル・ディロン - ギター、ギタルガン、マンドリン
- ロナルド・ジョーンズ - ドラムス
- ニコラス・ペイトン - トランペット
- エマニュエル・デル・カザル - ベース(on #2)
- ショーン・デヴィット - ドラム・ループ(on #12)
脚注・出典
[編集]- ^ Results: RPM Weekly – Library and Archives Canada - 1993年4月10日以降のアルバム/CDチャートで検証可能
- ^ a b Daniel Lanois - For The Beauty Of Wynona - hitparade.ch
- ^ a b swedishcharts.com - Daniel Lanois - For The Beauty Of Wynona
- ^ Daniel Lanois - For The Beauty Of Wynona - dutchcharts.nl
- ^ a b Demalon, Tom. “For the Beauty of Wynona - Daniel Lanois”. AllMusic. 2016年2月19日閲覧。
- ^ a b “Daniel Lanois: For The Beauty Of Wynona, Vintage Gear”. Sound On Sound. SOS Publications Group (1994年9月). 2016年2月19日閲覧。
- ^ Peter Gabriel - Us (CD, Album) at Discogs
- ^ “Until the End of the World - Original Soundtrack”. AllMusic. 2016年2月19日閲覧。
- ^ a b CD英文ブックレット内クレジット
- ^ McDonald, Steven. “Rocky World (Video) - Daniel Lanois”. AllMusic. 2016年2月19日閲覧。
- ^ a b 日本盤CD (WPCP-5243)歌詞カード
- ^ The Wild Tchoupitoulas - The Wild Tchoupitoulas (Vinyl, LP, Album) at Discogs
- ^ Daniel Lanois - For The Beauty Of Wynona (American Edition) (CD, Album) at Discogs
- ^ Lariviere, Aaron (2012年7月26日). “The 40 Coolest NSFW Album Covers - Daniel Lanois - 18”. Stereogum. SpinMedia. 2016年2月19日閲覧。
- ^ “Image: RPM Weekly - Library and Archives Canada”. 2016年2月19日閲覧。 - 1993年4月10日付のアルバム・チャートの画像を掲載。
- ^ “Image: RPM Weekly - Library and Archives Canada”. 2016年2月19日閲覧。 - 1993年5月8日付のRPMアルバム/CDチャートの画像はアップロードされていなかったため、代替の出典として15日付のアルバム・チャートの画像を掲載。
- ^ “Daniel Lanois”. The JUNO Awards. The Canadian Academy of Recording Arts and Science. 2016年2月19日閲覧。
- ^ For the Beauty of Wynona - Daniel Lanois | Awards | AllMusic
- ^ Zacharek, Stephanie (1993年4月2日). “For the Beauty of Wynona”. Entertainment Weekly. 2016年2月19日閲覧。