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フォン・シュタウト=クラウゼンの定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

フォン・シュタウト=クラウゼンの定理(フォン・シュタウト-クラウゼンのていり[1]、Von Staudt–Clausen theorem)は、数論におけるベルヌーイ数小数部分に関する定理である。 カール フォン・シュタウト (1840)と、 トーマス クラウゼン (1840)が独立して発見した。

n正整数p2np − 1で割り切れるような素数として、ベルヌーイ数B2nにすべての1/pを加えた数は整数になる[2][3]。つまり、

この定理により即座に、0でないベルヌーイ数B2nの(規約な)分母が、2np − 1で割り切れるような素数p総積であることが分かる。更に、無平方で、6で割り切れる事も導ける。

ベルヌーイ数B2nについて、n番目の分母の成す数列は次の通り。

6, 30, 42, 30, 66, 2730, 6, 510, 798, 330, 138, 2730, 6, 870, 14322, 510, 6, 1919190, 6, 13530, ... オンライン整数列大辞典の数列 A002445.

整数列 は次のようになる。

1, 1, 1, 1, 1, 1, 2, -6, 56, -528, 6193, -86579, 1425518, -27298230, ... オンライン整数列大辞典の数列 A000146.

証明

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4つの補題を用いる。

pを素数とする。

1. 2np – 1で割り切れるならば、

2. 2np – 1で割り切れないならば、

補題1,2の証明にはフェルマーの小定理を使う。m = 1, 2, ..., p – 1について、

である。

2np – 1で割り切れる(2np – 1の倍数)ならば、m = 1, 2, ..., p – 1について、

であるから、

より補題1が証明された。ただし、二番目の式では二項定理を用いている。

2np – 1で割り切れないならば、フェルマーの小定理より、

℘ = ⌊ 2n / (p – 1) ⌋とする。床関数の性質℘ < 2n / (p – 1) < ℘ + 1より0 < 2n – ℘(p – 1) < p – 1

m = 1, 2, ..., p – 10 < 2n – ℘(p – 1) < p – 1について、フェルマーの小定理より、

したがって、

j > nのときS(n,j) = 0であるから、補題2が証明された。

3. a,b > 2のとき、(ab – 1)!abで割り切れる。

4. 第二種スターリング数は整数である。

フォン・シュタウト=クラウゼンの定理の証明には、ベルヌーイ数の一般項の公式を用いる。

これは第二種スターリング数S(n,j)を用いて次のように書ける。

j + 1を4より大きい合成数とすると、補題3よりj!j + 1で割り切れる。

j = 3ならば、

Inを整数とする。j + 1が素数ならば補題1,2を使って、j + 1が合成数ならば補題3,4を使って、次の式の成立が分かる[4][5]

これは示されるべきことであった。

関連項目

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出典

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  1. ^ 『新訂版 数学用語 英和辞典: 和英索引付き』近代科学社、2020年12月2日。ISBN 978-4-7649-0624-2 
  2. ^ ハーディ, G. H.、ライト, E. M.『数論入門』PHP研究所、2001年7月1日。ISBN 978-4-431-70848-3 
  3. ^ 藤原松三郎『代数学 第1巻』内田老鶴圃、1929年、126頁。doi:10.11501/1133288 
  4. ^ H. Rademacher, Analytic Number Theory, Springer-Verlag, New York, 1973.
  5. ^ T. M. Apostol, Introduction to Analytic Number Theory, Springer-Verlag, 1976.

外部リンク

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