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フエフキダイ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フエフキダイ属
キツネフエフキ Lethrinus olivaceus
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: タイ目 Spariformes
: フエフキダイ科 Lethrinidae
: フエフキダイ属 Lethrinus
学名
Lethrinus
G. Cuvier, 1829
タイプ種
Sparus choerorynchus
Bloch & J. G. Schneider, 1801
シノニム[1]

フエフキダイ属 (学名:Lethrinus) は、フエフキダイ科の下位分類群の1つ。インド洋西太平洋に広く分布し、東大西洋からは1種が知られる。

分類と名称

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1829年にフランス動物学者であるジョルジュ・キュヴィエによって初めて属として提唱された。1918年、デイビッド・スター・ジョーダンとウィリアム・フランシス・トンプソンは Sparus choerorynchus を本属のタイプ種とした[1]S. choerorynchus は1801年にマルクス・エリエゼル・ブロッホヨハン・ゴットロープ・テアエヌス・シュナイダーによって日本から得られたタイプ標本をもとに記載され、現在はハマフエフキのシノニムとなっている[2]。本属のみから成るフエフキダイ亜科に分類されることもあるが、『Fishes of the World』第5版ではフエフキダイ科に亜科を認めていない。従来スズキ目に分類されていたが、『Fishes of the World』第5版では、タイ目に分類されている[3]。属名はヨーロッパダイ属ギリシア語名に由来する[4]

下位分類

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30種が分類される[2][5]

分布と生息地

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インド洋西太平洋に分布し、東大西洋には L. atlanticus 1種のみが分布する[5]。水深22 mまでの岩礁サンゴ礁砂地藻場マングローブに生息する[9]

形態

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体は長く、側扁している。頭部背側の輪郭は多様で、吻は短いものから長いものまで様々。口は適度な大きさで、顎の側面には臼歯状または円錐形の歯がある。背鰭は10棘と9軟条から、臀鰭は3棘と8軟条から成る。胸鰭は13条から成り、尾鰭は中程度または深く二叉する。頬には鱗が無く、胸鰭基部は鱗が密に覆われているものから、全く無いものまで様々。体色は銀色、灰色、オリーブ色、緑がかった色、青みがかった色、黄褐色、茶色、または赤みがかった色で、濃い色の斑点または縞模様が入る種もいる。胸鰭基部またはその近く、腹鰭、または基部近くの臀鰭と背鰭の膜に、明るい赤い斑点がある種もいる。頭部だけでなく、鰓蓋および前鰓蓋の縁にも赤い斑点が見られる場合もある。これらの赤い模様は、種内変異が大きい。鰭は透明、淡色、青みがかったもの、黄色がかったもの、または赤みを帯びたもので、しばしば斑点があり、縁が赤みを帯びていることがよくある[9]。最大種はキツネフエフキで、全長は最大100 cm。最小種は Lethrinus mitchelli とホソフエフキで、最大全長はどちらも20 cm[5]

生態

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単独または群れで観察され、底魚や底生無脊椎動物を捕食する[9]

人との関わり

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漁業にとっては重要な種であり、一部の国ではフエフキダイ科の漁獲量の大半を占める。延縄トロール網地引き網で漁獲される[9]

脚注

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  1. ^ a b Lethrinidae CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Lethrinidae”. researcharchive.calacademy.org. 2024年5月8日閲覧。
  2. ^ a b CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Lethrinus”. researcharchive.calacademy.org. 2024年5月8日閲覧。
  3. ^ Nelson, J.S.; Grande, T.C.; Wilson, M.V.H. (2016). Fishes of the World (5th ed.). Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. pp. 502-506. doi:10.1002/9781119174844. ISBN 978-1-118-34233-6. LCCN 2015-37522. OCLC 951899884. OL 25909650M 
  4. ^ Order ACANTHURIFORMES (part 6): Families GERREIDAE, LETHRINIDAE, NEMIPTERIDAE and SPARIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf (24 March 2024). 8 May 2024閲覧。
  5. ^ a b c Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2024). Species of Lethrinus in FishBase. May 2024 version.
  6. ^ 渋谷駿太; 前川隆則; 桜井雄; 本村浩之 (2022). “フエフキダイ科Lethrinus olivaceus Valenciennes, 1830キツネフエフキの新参異名とされていたLethrinus longirostris Playfair, 1867タチガミフエフキ(新称)の有効性と再記載”. Ichthy, Natural History of Fishes of Japan 17: 50-66. doi:10.34583/ichthy.17.0_50. 
  7. ^ Allen, Gerald R.; Victor, Benjamin C.; Erdmann, Mark. V. (2021). “Lethrinus mitchelli, a new species of emperor fish (Teleostei: Lethrinidae) from Milne Bay Province, Papua New Guinea”. Journal of the Ocean Science Foundation 38: 66–77. doi:10.5281/zenodo.5172763. 
  8. ^ Holleman, W.; G. Gouws; J. R. Glass; B. Q. Mann (2022). “Resurrection of Lethrinus scoparius Gilchrist & Thompson, 1908 (Perciformes: Lethrinidae), from South African waters”. Zootaxa 5174: 551-567. doi:10.11646/ZOOTAXA.5174.5.4. 
  9. ^ a b c d Kent E. Carpenter; Gerald R. Allen (1989). Emperor fishes and large-eye breams of the world (Family Lethrinidae). An annotated and illustrated catalogue of lethrinid species known to date. FAO Species Catalogue. 9. FAO, Rome. https://www.fao.org/3/t0242e/T0242E06.pdf 

関連項目

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