フィエロ (競走馬)
フィエロ | |
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第64回安田記念パドック(2014年6月8日) | |
欧字表記 | Fiero[1] |
香港表記 | 引以為榮[2] |
品種 | サラブレッド |
性別 | 牡 |
毛色 | 青鹿毛 |
生誕 | 2009年3月14日(15歳) |
抹消日 | 2017年8月2日[3] |
父 | ディープインパクト |
母 | ルビー |
母の父 | デインヒル |
生国 | 日本(北海道千歳市) |
生産者 | 社台ファーム |
馬主 | 金子真人ホールディングス(株) |
調教師 | 藤原英昭(栗東) |
厩務員 | 大當孝浩(持ち乗り調教助手)[4] |
競走成績 | |
生涯成績 | 27戦5勝 |
獲得賞金 | 3億2073万1700円 |
フィエロは、日本の競走馬、インドの種牡馬。主な勝ち鞍は2014年の六甲ステークス(オープン)[1]。
父は日本の七冠馬ディープインパクト、母は欧州でマイル(1600m)以下のG1を7連勝したロックオブジブラルタルの全妹という良血馬[5]で、自身もマイル路線で長く活躍して2014年および2015年のマイルチャンピオンシップ2着をはじめ重賞2着4回、3着5回の成績を残したがついに重賞に勝利することができなかった[1]。8歳で引退後、種牡馬としてインドに輸出された[6]。
戦績
[編集]北海道千歳市の社台ファームで生産され、2009年のセレクトセールで金子真人ホールディングスに4,200万円で落札された[1]。イタリア語で「誇り高い」を意味する「フィエロ」と命名され[3]、栗東トレーニングセンターの藤原英昭厩舎に入厩。
若い頃は非力さ、体質の弱さからレースに使うことができず[7]、未勝利戦も終盤となる3歳夏になって2012年7月7日、中京競馬場芝1600mでようやく初出走。4番人気の評価ながら快勝して勝ち上がった[8]。2戦目は6か月間隔が開いた明け4歳となる2013年1月で、さらに6月後の7月にキャリア4戦目で2勝目を挙げた。12月14日の中京日経賞(1000万下)に勝利するとレース間隔を詰めて臨んだ昇級戦を連戦連勝し、翌2014年3月30日の六甲ステークス(オープン)に優勝した[9]。
5歳春ながらキャリア9戦目で重賞初出走となるGIIマイラーズカップでは1番人気に支持されるが2着[10]。GI初挑戦の安田記念8着の後、秋はスワンステークス3着からマイルチャンピオンシップに出走。重賞未勝利ながら3番人気に支持され、残り300mで先頭に立つが、内を突いたダノンシャークとの接戦の末にハナ差の2着に敗れた[11]。次走に香港マイルに初海外遠征し、1番人気の地元香港のエイブルフレンドの6着に敗れた[12]。
翌2015年はマイラーズカップ、安田記念、スワンステークス、マイルチャンピオンシップと前年出走した重賞を走り、マイルチャンピオンシップでは好位から馬群を割って伸びる理想的なレース運びで、外を回ってきたモーリスに完敗したものの2年連続の2着と健闘した[13]。次走に2年連続の香港マイルへの遠征を行ったが、直線で前が塞がる不利があり、脚を余して9着に大敗した[14]。
2016年も同じくマイラーズカップで始動してマイルチャンピオンシップまで国内で4戦するが、安田記念の3着が最高着順で秋2戦は掲示板に載ることもできなかった。この年は香港に遠征せず、12月24日の阪神カップから年明け2017年1月5日の京都金杯、3月26日の高松宮記念と息を入れずに3走するが掲示板どまりで、4年連続出走となった4月23日のマイラーズカップの6着を最後に出走しないまま8月2日付けで競走馬登録を抹消、引退した[3]。
競走成績
[編集]以下の内容はnetkeiba.com[15]および香港ジョッキークラブ[2][16]の情報に基づく。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上がり3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2012.7. 7 | 中京 | 3歳未勝利 | 芝1600m(重) | 16 | 8 | 16 | 8.7 (4人) | 1着 | 1:37.7(35.5) | 0.0 | 浜中俊 | 56 | (ロードガルーダ) | 498 | |
2013.1.20 | 中京 | 4歳上500万下 | 芝1600m(良) | 16 | 1 | 1 | 3.7 (2人) | 11着 | 1:35.7(36.2) | 1.4 | 浜中俊 | 56 | カロッサル | 502 | |
5.19 | 京都 | 4歳上500万下 | 芝1800m(良) | 18 | 8 | 18 | 3.2 (1人) | 2着 | 1:47.1(35.3) | 0.0 | 浜中俊 | 57 | セシリア | 502 | |
7.21 | 中京 | 3歳上500万下 | 芝1400m(良) | 18 | 4 | 8 | 2.8 (1人) | 1着 | 1:21.7(34.2) | -0.2 | 浜中俊 | 57 | (クローチェ) | 506 | |
11.16 | 東京 | 3歳上1000万下 | 芝1400m(良) | 15 | 3 | 5 | 2.9 (1人) | 3着 | 1.22.2(33.1) | 0.2 | 後藤浩輝 | 57 | マイネルアダマス | 510 | |
12.14 | 中京 | 中京日経賞 | 1000万下 | 芝1600m(良) | 13 | 8 | 12 | 1.5 (1人) | 1着 | 1.36.8(33.2) | -0.2 | 福永祐一 | 57 | (スズカアンペール) | 508 |
2014.1. 6 | 京都 | 新春S | 1600万下 | 芝1600m(良) | 15 | 5 | 8 | 2.8 (1人) | 1着 | 1.32.8(33.4) | 0.0 | 福永祐一 | 57 | (シェルビー) | 502 |
3.30 | 阪神 | 六甲S | OP | 芝1600m(重) | 18 | 1 | 1 | 4.2 (2人) | 1着 | 1.35.9(35.6) | -0.4 | 藤岡佑介 | 56 | (ラトルスネーク) | 512 |
4.27 | 京都 | マイラーズC | GII | 芝1600m(良) | 16 | 3 | 5 | 2.2 (1人) | 2着 | 1.31.6(33.2) | 0.2 | 武豊 | 56 | ワールドエース | 506 |
6. 8 | 東京 | 安田記念 | GI | 芝1600m(不) | 17 | 7 | 13 | 17.7 (6人) | 8着 | 1.37.6(37.7) | 0.8 | 岩田康誠 | 58 | ジャスタウェイ | 496 |
11. 1 | 京都 | スワンS | GII | 芝1400m(良) | 13 | 4 | 5 | 4.5 (2人) | 3着 | 1.20.4(33.2) | 0.1 | 福永祐一 | 56 | ミッキーアイル | 510 |
11.23 | 京都 | マイルCS | GI | 芝1600m(良) | 17 | 4 | 8 | 5.6 (3人) | 2着 | 1.31.5(34.4) | 0.0 | 福永祐一 | 57 | ダノンシャーク | 508 |
12.14 | 沙田 | 香港マイル | G1 | 芝1600m(良) | 11 | 7 | 9.7 (3人) | 6着 | 1.34.31 | 0.82 | 福永祐一 | 57 | Able Friend | 499 | |
2015.4.26 | 京都 | マイラーズC | GII | 芝1600m(良) | 18 | 4 | 7 | 2.7 (1人) | 3着 | 1.32.7(32.5) | 0.1 | 戸崎圭太 | 56 | レッドアリオン | 502 |
6. 7 | 東京 | 安田記念 | GI | 芝1600m(良) | 17 | 5 | 10 | 4.3 (2人) | 4着 | 1.32.4(34.6) | 0.4 | 戸崎圭太 | 58 | モーリス | 506 |
10.31 | 京都 | スワンS | GII | 芝1400m(良) | 15 | 8 | 14 | 2.7 (1人) | 2着 | 1.20.4(33.2) | 0.2 | M.デムーロ | 56 | アルビアーノ | 506 |
11.22 | 京都 | マイルCS | GI | 芝1600m(良) | 17 | 4 | 8 | 5.1 (2人) | 2着 | 1.33.0(33.3) | 0.2 | M.デムーロ | 57 | モーリス | 506 |
12.13 | 沙田 | 香港マイル | G1 | 芝1600m(良) | 14 | 6 | 41.0 (7人) | 9着 | 1.34.46 | 0.54 | M.デムーロ | 57 | Maurice | 511 | |
2016.4.24 | 京都 | マイラーズC | GII | 芝1600m(良) | 15 | 4 | 7 | 2.6 (1人) | 4着 | 1.33.0(33.5) | 0.4 | 鮫島良太 | 56 | クルーガー | 508 |
6. 5 | 東京 | 安田記念 | GI | 芝1600m(良) | 12 | 7 | 10 | 29.5 (6人) | 3着 | 1.33.2(33.5) | 0.2 | 内田博幸 | 58 | ロゴタイプ | 500 |
10.29 | 京都 | スワンS | GII | 芝1400m(良) | 18 | 4 | 8 | 3.5 (1人) | 9着 | 1.21.3(34.2) | 0.6 | 戸崎圭太 | 56 | サトノアラジン | 506 |
11.20 | 京都 | マイルCS | GI | 芝1600m(良) | 18 | 4 | 7 | 12.2 (5人) | 6着 | 1.33.4(35.1) | 0.3 | 戸崎圭太 | 57 | ミッキーアイル | 506 |
12.24 | 阪神 | 阪神C | GII | 芝1400m(稍) | 15 | 8 | 15 | 13.3 (5人) | 3着 | 1.21.9(34.8) | 0.0 | M.デムーロ | 57 | シュウジ | 504 |
2017.1. 5 | 京都 | 京都金杯 | GIII | 芝1600m(良) | 18 | 3 | 5 | 12.7 (5人) | 3着 | 1.32.9(34.6) | 0.1 | S.フォーリー | 57.5 | エアスピネル | 502 |
3.26 | 中京 | 高松宮記念 | GI | 芝1200m(稍) | 18 | 1 | 2 | 12.3 (7人) | 5着 | 1.09.3(34.1) | 0.6 | 内田博幸 | 57 | セイウンコウセイ | 504 |
4.23 | 京都 | マイラーズC | GII | 芝1600m(良) | 11 | 3 | 3 | 9.0 (5人) | 6着 | 1.32.7(33.7) | 0.5 | 福永祐一 | 56 | イスラボニータ | 500 |
引退後
[編集]引退後、血統の良さから種牡馬入りすることが決まり、自家生産用のプライベート種牡馬として社台ファームに繋養されたが[17]、最初の種付けシーズンを前にしてディープインパクト産駒の種牡馬を探していたインド・マハーラーシュトラ州プネーのマンジリホースブリーダーズファーム(Manjri Horse Breeders' Farm)からのオファーを受け、2018年1月にイギリス経由でインドに輸出された[18]。
2019年に初年度産駒23頭がインドで生まれ、2021/2022年シーズンにデビュー[19]。2022年5月26日、クイーンスピリット(Queen Spirit)がタミル・ナードゥ州ウーティの地方ダービーであるニルギリスダービーに優勝し、産駒の重賞およびインド国内G1初勝利を果たした[20]。
主な産駒
[編集]すべてインド国内G1勝ち馬[21]。
- 2019年産
- Queen Spirit / クイーンスピリット(ニルギリスダービー)
血統表
[編集]フィエロの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | ヘイロー系 |
[§ 2] | ||
父 ディープインパクト 2002 鹿毛 |
父の父 *サンデーサイレンス1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason | |
Cosmah | ||||
Wishing Well | Understanding | |||
Mountain Flower | ||||
父の母 *ウインドインハーヘア1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | ||
Lady Rebecca | ||||
Burghclere | Busted | |||
Highclere | ||||
母 *ルビー 2002 鹿毛 |
*デインヒル 1986 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer | |
Pas de Nom | ||||
Razyana | His Majesty | |||
Spring Adieu | ||||
母の母 Offshore Boom1985 栗毛 |
Be My Guest | Northern Dancer | ||
What a Treat | ||||
Push a Button | Bold Lad | |||
River Lady | ||||
母系(F-No.) | ルビー (IRE) 系(FN:10-a) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Northern Dancer 4×4x5=15.63%、Natalma 5・5・5(母内)=9.38% | [§ 4] | ||
出典 |
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- 伯父(母の全兄)に英2000ギニーなどG1を7連勝した*ロックオブジブラルタル。
出典
[編集]- ^ a b c d “フィエロ”. JBIS Search. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2023年10月11日閲覧。
- ^ a b “引以為榮 - 馬匹資料 - 賽馬資訊”. The Hong Kong Jockey Club. 2023年10月11日閲覧。
- ^ a b c “競走馬情報 フィエロ”. JRA. 2023年10月11日閲覧。
- ^ “英国GⅠ挑戦のシャフリヤールをめぐるホースマン達の、今は亡き父との物語”. Yahoo!. 2023年10月14日閲覧。
- ^ “フィエロ (Fiero) の血統表”. netkeiba.com. 2023年10月11日閲覧。
- ^ “昨年引退したフィエロがインドで種牡馬入り”. netkeiba.com (2018年1月27日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “【安田記念】栗東レポート~フィエロ”. netkeiba.com (2014年6月4日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “フィエロ(2012/07/07中京7R・3歳未勝利・1着)”. デイリー馬三郎 (2012年7月10日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “フィエロが差し切り、藤岡佑「ポジションは全く関係なかった」/六甲S”. netkeiba.com (2014年3月31日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “【マイラーズC(GII)】(京都)~ワールドエースがレコードで復活V”. ラジオNIKKEI (2014年4月27日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “【マイルCS】フィエロ鼻差…福永悔しすぎる2着”. スポーツニッポン (2014年11月24日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “グランプリボス3着・ワールドエース4着 断然人気のエイブルフレンドが圧勝/香港マイル”. netkeiba.com (2014年12月14日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “【マイルCS】フィエロ 好展開も2着…M・デムーロ勝者称える”. スポーツニッポン (2015年11月23日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “豊マジック炸裂、モーリスは世界の主役へ 奥野庸介の香港国際レース回顧”. Sportsnavi. Yahoo! Japan (2015年12月16日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “フィエロの競走成績”. netkeiba.com. 2023年10月11日閲覧。
- ^ “Fiero - Horses - Horse Racing”. The Hong Kong Jockey Club. 2023年10月11日閲覧。
- ^ “フィエロが種牡馬入り 藤原英師「社台Fでプライベートの…」”. スポーツニッポン (2017年8月10日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “ディープインパクト産駒フィエロがインドで種牡馬入り”. 馬トク (2018年1月27日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “New Stallions”. indiarace.com (2021年8月11日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ “Pattern Race Results 2021-2022”. Indian Stud Book. 2023年10月11日閲覧。
- ^ “Pattern Race Results”. Indian Stud Book. 2023年10月11日閲覧。
外部リンク
[編集]- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビ、JBISサーチ、Racing Post