コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ピアノ調律技能士

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ピアノ調律技能検定から転送)
ピアノ調律技能士
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 ピアノ調律
試験形式 学科及び実技
認定団体 厚生労働省
等級・称号 1級-3級・ピアノ調律技能士
根拠法令 職業能力開発促進法
公式サイト http://www.jpta.org
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
テンプレートを表示

ピアノ調律技能士(ピアノちょうりつぎのうし)は、ピアノ調律を専門とする日本の国家資格である技能検定制度の一種で[1]職業能力開発促進法第47条第1項による指定試験機関、一般社団法人日本ピアノ調律師協会が実施する学科及び実技試験(ピアノ調律技能検定)に合格した者をいう。

概要

[編集]

「職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令」において技能検定制度の充実を図るためにピアノ調律職種として追加される [2]。 試験の実施は、指定試験機関である一般社団法人日本ピアノ調律師協会において行われる [3]。 試験はピアノ全般に関する知識及びピアノ調律整調・修理に関する技能、実務能力等が問われ、等級は技能の内容に応じて1級から3級に区分される。 ピアノ調律業界で唯一の国家資格であるピアノ調律技能士は、名称独占資格(有資格者以外はその名称を名乗れない資格)であり、 資格を保有せずにピアノ調律技能士と称することは職業能力開発促進法により禁じられている。

職業としての名称はピアノ調律師ピアノ技術者などが一般的であり[4]、名称独占資格であるピアノ調律技能士の資格を保有しなくてもピアノの調律や修理の仕事をすることに法的な制限はないため、 ピアノメーカーの調律師養成機関やピアノ調律科のある専門学校などを修了し、実務経験を経てピアノ調律師と呼ばれることもある。

職業についての詳細はピアノ調律師を参照

受験資格

[編集]
  • 1級学科試験:7年以上の実務経験、又はピアノ調律に関する各種養成機関・学校を卒業・修了後5年以上の実務経験を有する者。
  • 2級学科試験:2年以上の実務経験、又はピアノ調律に関する各種養成機関・学校を卒業・修了後1年以上の実務経験を有する者。
  • 3級学科試験:1年以上の実務経験を有する、又はピアノ調律に関する各種養成機関・学校を卒業・修了した者。

※実技試験は各級とも学科試験に合格した者(合格日から2年を経過する日の属する年度の末日以内である場合に限る)。

試験内容

[編集]

ピアノ調律技能検定試験は実技および学科試験で実施され、各級ともに学科試験の合格者が実技試験を受験できる。

学科試験

[編集]
出題形式
  • 筆記試験(マーク方式):「真偽問題」「択一問題」
合格基準
  • 各級70点以上(100 点満点)
試験時間
  • 各級60分
試験範囲
  • 1.音楽一般
  • 2.ピアノ概論
  • 3.ピアノ調律
  • 4.ピアノ整調
  • 5.ピアノ整音 (※1級のみ)
  • 6.ピアノ修理
  • 7.ハイブリッドピアノのメンテナンス

実技試験

[編集]
合格基準
  • 各級各科目70点以上(100 点満点)
試験科目
  • 1.ピアノ調律作業
  • 2.ピアノ整調作業
    • アップライトピアノ
    • グランドピアノ(1級・2級のみ)
  • 3.ピアノ修理作業
    • 張弦
    • センターピン交換(1級・2級のみ)
    • ダンパーワイヤー交換(1級のみ)
    • コード類交換(2級・3級のみ)

過去の実施状況

[編集]

受検者数・合格者数

[編集]
年度(回) 1級ピアノ調律技能検定 2級ピアノ調律技能検定 3級ピアノ調律技能検定
学科 実技 学科 実技 学科 実技
受検者 合格者 受検者 合格者 受検者 合格者 受検者 合格者 受検者 合格者 受検者 合格者
2021年(第11回) 99人 76人 161人 58人 43人 42人 64人 24人 173人 145人 165人 78人
2020年(第10回) 新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止[5]
2019年(第9回) 120人 93人 186人 53人 79人 69人 105人 57人 119人 106人 144人 63人
2018年(第8回) 131人 94人 183人 52人 79人 73人 114人 56人 103人 87人 140人 67人
2017年(第7回) 169人 131人 232人 103人 83人 80人 122人 52人 136人 117人 165人 71人
2016年(第6回) 212人 117人 231人 90人 69人 60人 113人 42人 163人 151人 185人 76人
2015年(第5回) 213人 153人 280人 94人 99人 86人 133人 54人 126人 113人 151人 55人
2014年(第4回) 221人 104人 303人 109人 100人 74人 133人 52人 135人 127人 160人 73人
2013年(第3回) 224人 174人 362人 90人 99人 86人 146人 39人 135人 123人 159人 69人
2012年(第2回) 290人 157人 255人 43人 104人 75人 110人 38人 129人 123人 148人 60人
2011年(第1回) 252人 164人 156人 32人 152人 100人 87人 28人 150人 137人 118人 51人

合格率

[編集]
年度(回) 1級ピアノ調律技能検定 2級ピアノ調律技能検定 3級ピアノ調律技能検定
学科 実技 総合 学科 実技 総合 学科 実技 総合
2021年(第11回) 76.8% 36.0% 27.6% 97.7% 37.5% 36.6% 89.1% 47.3% 42.1%
2020年(第10回) 新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止。
2019年(第9回) 77.5% 28.5% 22.1% 87.3% 54.3% 47.4% 89.1% 43.8% 39.0%
2018年(第8回) 71.8% 28.4% 20.4% 92.4% 49.1% 45.4% 84.5% 47.9% 40.8%
2017年(第7回) 77.5% 44.4% 34.4% 96.4% 42.6% 41.4% 86.0% 43.0% 37.0%
2016年(第6回) 55.1% 39.0% 21.5% 87.0% 37.2% 32.4% 92.6% 41.1% 38.1%
2015年(第5回) 71.8% 33.6% 24.1% 86.9% 40.6% 35.5% 90.0% 36.4% 32.8%
2014年(第4回) 47.1% 36.0% 16.9% 74.0% 39.1% 28.9% 94.1% 45.6% 42.9%
2013年(第3回) 77.6% 24.9% 19.3% 86.9% 26.7% 23.2% 91.1% 43.4% 39.5%
2012年(第2回) 54.1% 16.9% 9.1% 72.1% 34.5% 24.9% 95.3% 40.5% 38.6%
2011年(第1回) 65.1% 20.5% 13.3% 65.8% 32.2% 21.2% 91.3% 43.2% 39.4%

特例講習

[編集]

2011年から2013年にかけて実施された特例講習で、2010年以前に日本ピアノ調律師協会が実施していた技術審査に合格した者が受講できる。 この講習を受講し、修了試験に合格すると2級ピアノ調律技能士の資格を取得できる。[6]

年度 受検者 合格者 合格率
2013年 426人 328人 77.0%
2012年 779人 557人 71.5%
2011年 1377人 1194人 86.7%

取得後の称号

[編集]

技能検定合格者には1級は厚生労働大臣名の、2級及び3級は一般社団法人日本ピアノ調律師協会会長名での合格証書が授与され、技能士を称することが出来、名刺ホームページ等への記載が可能となる。資格を表示する場合は、「等級」「正式職種名」「技能士」の順で表記することとされており、「1級ピアノ調律技能士」、「2級ピアノ調律技能士」、「3級ピアノ調律技能士」のように等級を明示する必要がある。等級の非表示、等級表示位置の誤り、正式職種名の省略や別名表記などは不可である。

脚注

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]