ホテイラン
ホテイラン | ||||||||||||||||||||||||
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Calypso bulbosa (L.) Oakes var. speciosa (Schltr.) Makino (1926)[1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
ホテイラン(布袋蘭)[4] |
ホテイラン(布袋蘭、学名:Calypso bulbosa var. speciosa)は、ラン科ホテイラン属の地生の多年草。別名、ツリフネラン(釣舟蘭)[4][5]。
ヒメホテイラン(姫布袋蘭、学名:Calypso bulbosa)を分類上の基本種とする変種である[6]。
特徴
[編集]偽球茎は楕円状に肥厚し、2-3節からなり、少数の根を出す。偽球茎の先端から1葉と花茎を出す。葉に長さ1.5-3cmの葉柄があり、葉身は卵状楕円形で、長さ2.5-5cm、幅1.5-3cm、縦に5脈が隆起してしわが顕著で、先端は鋭頭、基部は浅い心形、縁は波状に縮れる。葉の表面は緑色で紫色の斑紋があって光沢があり、裏面は紫色になる。花茎は直立し、高さ6-15cmになり、膜質で淡茶色の長い鞘状葉が2個つく[4][5][6][7]。
花期は5-6月。花茎の先端に1個の淡紅色の花をつける。苞は広線形で長さ1-2.5cm、先は鋭尖頭で淡紅色。3萼片および2側花弁は線状披針形で、長さ2-3cm、幅3-4mm、先は鋭尖頭で上向きに反り返り、淡紅色。唇弁は下垂し、太く袋状にふくらんで長さ2.5-3.5cmになり、淡紅白色で内面に淡褐色または濃紫色の斑紋があり、中部は盛り上がって橙色の房毛が生える。背面は袋状にふくらんで、先端が2又に分かれた距になって、唇弁下部の舷部より長く突出する。蕊柱は卵状楕円形で長さ1.5cmになり、左右が翼状に広がり、紅紫色になる[4][5][6][7]。
分布と生育環境
[編集]本州の中部地方に分布し、亜高山の針葉樹林下に生育する[6]。
名前の由来
[編集]和名のホテイランは、「布袋蘭」の意で、唇弁のふくらみが布袋の腹を連想させることによる。別名のツリフネランは、「釣舟蘭」の意で、これも唇弁の形状に基づく[5]。
属名 Calypso は、ギリシャ神話のアトラスの娘 Kalypso の名前から。kalypso は、「隠す」を意味し、生育地が秘されていたという。また、種小名(種形容語)bulbosa は、「鱗茎状の」の、変種名 speciosaは、「美しい」「華やかな」の意味[5]。
種の保全状況評価
[編集]- 絶滅危惧IB類 (EN)(環境省レッドリスト)
都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[8]。
- 埼玉県-絶滅危惧I類(CE)
- 東京都-絶滅危惧IA類(CR)
- 山梨県-絶滅危惧IA類(CR)
- 長野県-絶滅危惧IA類(CR)
- 静岡県-絶滅危惧IA類(CR)
ギャラリー
[編集]-
唇弁の距は先端が2又に分かれ、唇弁下部の舷部より長く突出する。
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3萼片および2側花弁は線状披針形で、先は鋭尖頭で上向きに反り返り、淡紅色。唇弁は下垂し、太く袋状にふくらむ。
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偽球茎と葉。葉身は卵状楕円形で、縦に5脈が隆起してしわが顕著で、先端は鋭頭、基部は浅い心形、縁は波状に縮れる。
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葉の裏面は紫色になる。
基本種
[編集]ヒメホテイラン
[編集]ヒメホテイラン(姫布袋蘭、学名:Calypso bulbosa (L.) Oakes (1842) var. bulbosa[9]) - ホテイランの基本種で、唇弁の2又の距が、唇弁下部の舷部とほぼ同じ長さのもので、ホテイランのように舷部から2又の距が極端に突き出ない。日本では、青森県、北海道に分布し、青森県のものはヒノキアスナロ林下に生育する。世界ではヨーロッパからシベリア、北アメリカまで広く分布する[5][6]。
種の保全状況評価
[編集]- 絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)
都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[10]。
- 北海道-絶滅危惧IB(En)
- 青森県-最重要希少野生生物(Aランク)
- 長野県-絶滅危惧IA類(CR)
ギャラリー
[編集]-
青森県青森市 2018年5月中旬
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3萼片、2側花弁は同形同長。唇弁の内面に斑紋があり、開口部に房毛が生え、下部は舷部が広がる。2又に分かれた距は舷部とほぼ同長。
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花茎に2つの鞘状葉がつき、苞は広線形で淡紅色。
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花の背面。
ホテイラン属
[編集]ホテイラン属(ホテイランぞく、学名:Calypso Salisb.、和名漢字表記:布袋蘭属)は、ラン科に属する属。地生の多年草。偽球茎は肥厚し、球形から狭卵状になる。葉は偽球茎の上に1個のみつけ、卵形で明瞭な3脈があり、多肉で縦じわが多い。葉柄がある。花茎は頂生し、花を1個つける。3萼片、2側花弁は細長く、ほぼ同じ形で同じ長さ。唇弁は萼片、側花弁より長く、袋状にふくらんで、開口部の下部は舷部が広がり、開口部に房毛が生える。唇弁の背面は2裂のとがった距になる。蕊柱は萼片より短く、両端は翼状に広がり幅が広い。花粉塊は4個あり卵状。属に1種のみあり、ヨーロッパ、シベリア、日本、アリューシャン列島、アラスカ、北アメリカに広く分布する[6]。
脚注
[編集]- ^ ホテイラン「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ ホテイラン(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ ホテイラン(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.104
- ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.1082, p.1286, p.1320, p.1348
- ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物1』p.188
- ^ a b 『日本ラン科植物図譜』p.265, p.374
- ^ ホテイラン、日本のレッドデータ検索システム、2023年10月14日閲覧
- ^ ヒメホテイラン「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ ヒメホテイラン、日本のレッドデータ検索システム、2023年10月14日閲覧
参考文献
[編集]- 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
- 中島睦子著『日本ラン科植物図譜』、2012年、文一総合出版
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 1』、2015年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- 日本のレッドデータ検索システム