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ヒウチダイ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒウチダイ科
Hoplostethus gigas
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: キンメダイ目 Beryciformes
亜目 : ヒウチダイ亜目 Trachichthyoidei
上科 : ヒウチダイ上科 Trachichthyoidea
: ヒウチダイ科 Trachichthyidae
英名
Roughies
Slimeheads
下位分類
本文参照

ヒウチダイ科学名Trachichthyidae)は、キンメダイ目に所属する魚類の分類群の一つ。ヒウチダイハシキンメなど、底生性深海魚を中心に8属49種が記載される[1]

分布・生態

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ヒウチダイ科の魚類はすべて海水魚で、太平洋インド洋大西洋など世界中の海に幅広く分布する[1]。水深100mから1,500mにかけての海底付近を遊泳する底生魚のグループであり、ほとんどの種類は深海で生活している[1]。日本の近海からは少なくとも3属(ヒウチダイ属・ハリダシエビス属・ハシキンメ属)が知られ、ハシキンメGephyroberyx japonicus)など一部は食用魚として利用される[2]

三大洋に広く産するオレンジラフィーOrange roughyDeep sea perchHoplostethus atlanticus)をはじめ、ラフィーと総称される一部の種類は重要な食用魚として、世界各地で漁獲対象になっている[1]。低水温の深海で暮らす本科魚類は一般に成長および繁殖のサイクルが遅いため、乱獲による資源の枯渇が懸念されている[1]。オレンジラフィーの漁獲は1980年代初頭にニュージーランド近海で始まり、わずか6年で資源量の70%減少、ならびに遺伝的多様性の著しい低下を招いた[3]

形態

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シソヒウチ(Hoplostethus mediterraneus)。いかつい頭部と腹部の稜鱗、深く二叉した尾鰭は本科魚類の特徴である

ヒウチダイ科の仲間は左右に平たく側扁した体型をもち、最大種では55cmほどにまで成長する[1]。体高は非常に高い Trachichthys 属から、中程度のハシキンメ属・ヒウチダイ属まで幅がある[1]。頭部の皮膚は多孔性であるとともに、深く広い感覚溝が走行し[2]、独特のいかつい外観を呈する。ハリダシエビス属の一部の種類は生物発光を行うことが知られている[4]

本科魚類はの形態に特徴があり、側線鱗は他の鱗の数倍の大きさをもつ[2]。体側鱗の大きさや配列は不規則で、形状は種によって異なり、厚くトゲ状で剥がれにくいものから薄く脆弱な円鱗までさまざま[1][2]。腹部正中に甲板状の大きな稜鱗を備える種類もある[2]

背鰭は3-8本の棘条と10-19本の軟条で構成される。臀鰭は2-3棘8-12軟条で、腹鰭は1棘6-7軟条。尾鰭には上葉と下葉に4-7本ずつの微小なトゲを備える[1]

前鰓蓋骨に明瞭なトゲをもつ。キンメダマシ属(キンメダイ科)と共通する特徴として、後擬鎖骨に後向きのトゲが存在する[1]

分類

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ヒウチダイ科にはNelson(2016)の体系において8属49種が認められている[1]。本稿では、FishBaseに記載される8属52種についてリストする[4]

白亜紀後期に絶滅した化石群として、南極大陸から Antarctiberyx 属、イタリアから Lissoberyx 属がそれぞれ出土している[1]

ハシキンメ Gephyroberyx japonicus (ハシキンメ属)。頭部は発達した感覚溝によるごつごつした形状をとり、本科魚類の外観を特徴づけている。本種を G. darwiniiシノニムとみなす見解もある[5]
オレンジラフィー Orange roughyHoplostethus atlanticus (ヒウチダイ属)。大西洋・インド太平洋に幅広く分布する水産重要種。寿命は非常に長く、100歳を超える例も報告されている[4]
ニシヒウチダイ Hoplostethus occidentalis (ヒウチダイ属)。大西洋の深海に生息する[4]
スレンダーラフィー(Optivus elongatus)。ニュージーランド近海に固有で、本科魚類としては比較的浅い水深15-35mの範囲に多い[4]
Hoplopteryx 属(絶滅)の一種。本科には複数の絶滅属が知られ、主に白亜紀後期の地層から化石が出土している

出典・脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l Fishes of the World Fifth Edition』 p.308
  2. ^ a b c d e 『日本の海水魚』 pp.156-157
  3. ^ 『The Diversity of Fishes Second Edition』 p.610
  4. ^ a b c d e Trachichthyidae”. FishBase. 2024年6月26日閲覧。
  5. ^ シノニム・学名の変更”. 日本魚類学会. 2012年5月6日閲覧。
  6. ^ a b c Matsunuma, Mizuki; Ujihara, Atsushi; Endo, Hiromitsu (2023-05-23). “Two new species of Aulotrachichthys (Beryciformes: Trachichthyidae) from the northwestern Pacific” (英語). Ichthyological Research. doi:10.1007/s10228-023-00912-6. ISSN 1616-3915. https://doi.org/10.1007/s10228-023-00912-6. 
  7. ^ 海洋水産資源開発センター(1990)『ニュージーランド海域の水族 深海丸により採集された魚類・頭足類・甲殻類』206頁
  8. ^ 仲谷ら編 (2009)『ペルー海域の深海魚類図鑑』日本トロール底魚協会, 236頁
  9. ^ 海洋水産資源開発センター(1990)『ニュージーランド海域の水族 深海丸により採集された魚類・頭足類・甲殻類』208頁

参考文献

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外部リンク

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