パリカ自然保護区
パリカ自然保護区 | |
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Parika looduskaitseala | |
ヴァイケヤルヴ(Väikejärv)と遊歩道 | |
地域 | エストニア ヴィリャンディ県 |
最寄り | ヴィリャンディ |
座標 | 北緯58度30分15秒 東経25度46分24秒 / 北緯58.5043度 東経25.7733度座標: 北緯58度30分15秒 東経25度46分24秒 / 北緯58.5043度 東経25.7733度[1] |
面積 | 2,182 ha[2] |
創立日 | 1981年[2] |
パリカ自然保護区(パリカしぜんほごく、エストニア語: Parika looduskaitseala)は、エストニア南部ヴィリャンディ県にある、1981年に設立された自然保護区である。区内にはマツ林が点在し、3つの湖とそれを囲む湿原が広がっており、いくつか珍しい種の植物が自生している[2]。パリカ自然保護区は、2004年に欧州連合域内の生物保護地区ネットワーク「Natura 2000」の保護地域にも指定されている[1]。
地理・地形・地質
[編集]パリカ自然保護区は、エストニア中央部に位置するパリカ・ボグの中心に設定されており、その面積は2,182ヘクタールである[3][2]。パリカ・ボグは、西のサカラ台地、東のコルガ=ヤーニ・ドラムリンに挟まれた、ヴルツヤルヴ(ヴルツ湖)低地の北西部に広がるボグ(泥炭地・沼沢地)である[3]。かつて、パリカ・ボグの一帯は浅い湖(古パリカ湖)に覆われていたが、泥炭が堆積して湖が縮小してゆき、現在のような地形になった[4][3]。
パリカ・ボグは、全くの平坦地ではなく、5メートル程度の高低差がある[3]。かつて湖の底だった時代の堆積物を地盤とし、その上に厚さ4メートルから8メートルくらいの泥炭層が載っている[5]。泥炭の質は年代によって異なり、分解された木質が主だった時代から、沼沢地化してくるとアシやスゲが中心となり、泥炭地化した後はワタスゲやミズゴケが中心で、全体の半分以上はミズゴケが泥炭化したものとみられる[3]。
縮小して残った湖の中で、最大のものはパリカ湖(Parika järv)で、面積は114.2ヘクタール。その他に、ハート形の輪郭が印象的な、面積4.8ヘクタールのヴァイケヤルヴ(Väikejärv、小さい湖)や、ボグにある沼に似ているプハヤルヴ(Pühajärv、聖なる湖)がある[2]。
陸化した部分では、湖に接する湿地と隆起湿原、両者の間の過渡的なボグ、といった3つの段階を目にすることができる。隆起湿原の縁では、土壌の乾燥が進んで森林化したところもある[3][5]。
動植物
[編集]自然保護区は、パリカ・ボグに生息する動植物の保護も目的としている[2]。
区内の植生で中心的な種は、高木層・亜高木層ではマツ、ヨーロッパダケカンバ、ヒメカンバ、ヤナギなど、低木層ではクランベリー、セイヨウガンコウラン、ヒメシャクナゲなど、草本層・林床はワタスゲ、スゲ、ミズゴケなどである[3][5]。
区内では、いくつか貴重な動植物種が確認されている。植物では、チョウセンラン(Corallorhiza trifida)、ハクサンチドリの仲間(Dactylorhiza fuchsii)、サカネランの仲間(Neottia ovata)、スイレンの仲間(Nymphaea candida)が確認されている。動物では鳥類が豊富で、アシナガワシ、ヨーロッパオオライチョウ、クロライチョウ、ナベコウ、クロヅル、アオサギなどが生息していることが特色である[2]。
遊歩道
[編集]自然保護区について学べる遊歩道として、パリカ湖・ハイキングコース(距離200メートル)、ヴァイケヤルヴを囲むマツ林を抜けるパリカ・ヴァイケヤルヴ自然研究路(距離3.6キロメートル)が整備されている[2]。
出典
[編集]- ^ a b “N2K EE0080573 dataforms”. Natura 2000 Network Viewer. European Environment Agency. 2021年5月20日閲覧。
- ^ a b c d e f g h Vaiksalu, Reet, ed. (2012) (PDF), Protected Natural Objects in Viljandi County, Estonian Environmental Board
- ^ a b c d e f g Niinemets, Eve; Saarse, Leili; Poska, Anneli (2002-12), “Vegetation history and human impact in the Parika area, Central Estonia”, Proceedings of the Estonian Academy of Sciences, Geology 51 (4): 241-258
- ^ Moora, Tanel; Raukas, Anto; Tavast, Elvi (2002-09), “Geological history of Lake Võrtsjärv”, Proceedings of the Estonian Academy of Sciences, Geology 51 (3): 157-178
- ^ a b c Kännaste, Astrid; et al. (2013-03-18), “Highly variable chemical signatures over short spatial distances among Scots pine (Pinus sylvestris) populations”, Tree Physiology 33: 374-387, doi:10.1093/treephys/tpt013
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- “Parika looduskaitseala kaitse-eeskiri” (エストニア語). Riigi Teataja. Riigikantselei. 2021年5月20日閲覧。
- “Parika Väikejärve study trail (out and back 3 km)”. Loodusega Koos. State Forest Management Centre. 2021年5月20日閲覧。
- “Parika (SiteCode: EE0080573)”. Natura 2000 Viewer. European Environment Agency. 2021年5月20日閲覧。