パイミオ・チェア
設計 | 1930年 - 1931年 |
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設計者 |
アルヴァ・アールト アイノ・アールト |
国 | フィンランド |
名の由来 | パイミオ |
材料 | 合板(バーチ材) |
高さ | 64 cm |
幅 | 60 cm |
奥行き | 80 cm |
パイミオ・チェア(フィンランド語: Paimio-tuoli, 英語: Paimio chair)またはアームチェア 41 パイミオ(英語: Armchair 41 Paimio)[1]は、フィンランドの建築家アルヴァ・アールトとその妻アイノによって設計された椅子である[2][3]。単にパイミオともいう[4]。
概要
[編集]パイミオのサナトリウムのために、1930年から1931年にかけて設計されたアームチェアであり、椅子の名前は、そのサナトリウムのある町、パイミオに由来する[5][6]。1932年に製品化されている[7]。
椅子の高さは64センチメートルであり、幅は60センチメートルであり、奥行きは80センチメートルである[8]。この椅子が初めて一般に公開されたのは、1932年にヘルシンキで開催された北欧建築フォーラム (sv:Nordisk byggdag) に関連して開催された展示会においてである[9]。
この椅子は、アールトが家具を生産・販売するために、アイノとともに設立した会社、アルテック社において主要な商品となった[10]。アールトは、この椅子によってインテリアデザイナーとしての地位を確固たるものとした[11]。
製作
[編集]アールトは、1927年から1928年にかけてマルセル・ブロイヤー (en:Marcel Breuer) が設計した鋼管製の椅子、ワシリーチェア (en:Wassily Chair) に想を得て製作した[5]。
この椅子は、「ラメラ曲げ木」と呼ばれる技術を用いて製作された[12]。これは、数ミリメートルの厚さにスライスされたラメラ (lamella) と呼ばれる、フィンランド産のバーチ (birch, 白樺) の長い板を、木目が同じ方向を向くようにして何枚も重ね合わせた積層合板を曲げることによって、所要の曲面をつくり出す技術である[1][13]。椅子の座面および背もたれは、1枚の積層合板から構成されている[1][12]。
脚注
[編集]- ^ a b c 中村暁子 (2018年12月23日). “「アルヴァ・アアルト―もうひとつの自然」展(中)”. 読売新聞 2019年7月7日閲覧。
- ^ 『もうひとつの自然』 2018, p. 134.
- ^ 山田泰巨 (2018年10月12日). “ヨーロッパの辺境から新しい建築の姿を模索した、北欧の巨匠アルヴァ・アアルトを追って。”. CCCメディアハウス. 2019年7月7日閲覧。
- ^ “たまもの 埼玉県立近代美術館大コレクション展 2”. 埼玉県立近代美術館. 2019年7月7日閲覧。
- ^ a b “Alvar Aalto - Paimio Chair”. ニューヨーク近代美術館. 2019年7月7日閲覧。
- ^ “サステナブルなフィンランドデザイン”. VisitFinland.com. 2019年7月7日閲覧。
- ^ “埼玉県立近代美術館年報 平成27年度”. 埼玉県立近代美術館 (2017年3月30日). 2019年7月7日閲覧。
- ^ “41 アームチェア パイミオ”. アルテック. 2019年7月7日閲覧。
- ^ “PAIMIO CHAIR”. アールト財団. 2019年7月7日閲覧。
- ^ “フィンランドでギルトフリー(罪悪感なし)のショッピング”. VisitFinland.com. 2019年7月7日閲覧。
- ^ “世界の国を知る 世界の国から学ぶ わたしたちの地球と未来 フィンランド共和国”. 財団法人 愛知県国際交流協会 (2010年3月). 2019年7月7日閲覧。
- ^ a b 『もうひとつの自然』 2018, p. 143.
- ^ 『もうひとつの自然』 2018, pp. 134, 143.
参考文献
[編集]- 和田菜穂子(編)『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』国書刊行会、2018年10月。ISBN 978-4-336-06289-5。
関連文献
[編集]- 吉村祐樹, 小泉隆「アルヴァ・アアルトの曲げ木によるキャンチレバーチェア及びパイミオチェアの造形特徴」『デザイン研究』第67巻第4号、一般社団法人 日本デザイン学会、2021年3月、17-24頁、2022年7月3日閲覧。