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MRTパープルライン (バンコク)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
MRT パープルライン
สายฉลองรัชธรรม
シンボルマーク
パープルライン用車両
パープルライン用車両
基本情報
タイ王国の旗 タイ
所在地 バンコク
起点  PP01  クローンバーンパイ駅
終点  PP16  タオプーン駅
駅数 16駅
路線記号 PP
開業 2016年 8月6日
所有者 MRTA
運営者 BEM
使用車両

車両節を参照

J-TREC Sustina S24
路線諸元
路線距離 23 km
軌間 1,435 mm
線路数 複線
電化方式 直流750 V
第三軌条方式
最高速度 80 km/h
路線図
地図
路線地図
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MRTパープルライン((英)Metropolitan Rapid Transit Purple Line)は、バンコク・メトロに属する高架鉄道路線である。正式名はチャローン・ラチャタム線(タイ語: สายฉลองรัชธรรม[注釈 1]

概要

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当線はタイの首都バンコクにおける、地下鉄および高架鉄道から構成される鉄道網の一部である。バンコク・エクスプレスウェイ・アンド・メトロ (BEM) が運営している。

2022年現在、 2004年に開業したブルーライン(チャルーム・ラチャモンコン線)、2016年に開業したパープルラインの2路線がある。

当記事は後者について扱う。 軌間標準軌(1,435 mm)で、直流750 Vによる第三軌条集電方式である。最高時速は80 km/h。

パープルラインは、バンコク北西部のバンヤイ地区と中心部に近いバンスー地区を結ぶ全長約23 kmの路線で、全区間が地上を走り、全駅が高架駅かつ島式ホームである。タイ運輸交通局が日本の円借款を活用して建設した。ブルーラインと同じく第三軌条方式を採用しているが、車両は新たに東日本旅客鉄道(JR東日本)グループの総合車両製作所(J-TREC)が新造したステンレス製車両3両編成21本(63両)が納入された[2]。また、併せてJR東日本は丸紅東芝と共同で合弁の現地法人をバンコクに設立し、パープルラインの鉄道車両や地上設備についてのメンテナンス業務を実施することになった。

2015年9月21日に、第一便としてタイに到着した3編成9両[3] のうち2編成の引き渡し式典が行われた。第二便の3編成、続けて5編成ずつ3回、延べ5回の輸送を経て[3] 2016年1月までに全編成の輸送を完了した[4]

2015年12月14日より試験走行を開始[5]。本格的な試運転は2016年5月10日より開始となった[6]。翌6月から7月にかけて無料運行し[7]、当初はシリキット王妃誕生日である8月12日に正式開業する予定と報じられた[8] が、繰り上げて8月6日に正式開業した[9]

ブルーラインのバーンスー駅タオプーン駅間の延伸がパープルラインの開業に間に合わず、乗客は一時的に無料シャトルバスでの不便な乗り換えを強いられることとなった[10]。加えて運賃も比較的高いことから同路線は敬遠され、開業当初の1日あたりの利用客は想定(1日あたりの利用客は6 - 7万人)を大幅に下回る2万人程度に留まった[10]。2017年8月11日、ブルーラインがタオプーン駅まで延伸開業[11] し両線が繋がったことで乗客数は飛躍的に増加し、2018年11月末時点での1日当たりの利用客数は6万人程度、平日に限れば6万8千人程度までになっている[12]

2017年よりタオプーン駅以南の延伸計画が進められているが、2021年現在も着工に至っていない。詳細は後述。

車両基地はクローンバーンパイ駅の東側に設けられている。

車両

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総合車両製作所製の鉄道車両「sustina S24」21編成63両が導入されている[9]。車内は、防犯カメラの設置や、雨季に濡れた客が座った後に拭きやすいようプラスチック製の固い座席(バケットシートタイプのロングシート)が備え付けられている[13] [注釈 2]

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駅一覧は後述。各駅に共通する事項はバンコク・メトロ#駅を、駅ごとの特徴は当該記事を参照のこと。

運賃

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ブルーラインとパープルラインがタオプーン駅でつながったので、現在は両線を乗り通す場合は通し運賃となっている。全線を乗り通したラックソーン - クローンバーンパイ間の運賃は70バーツである(割引制度あり、以下参照)。なお、バンコク・メトロの ホームページ で運賃検索が可能。

パープルラインの運賃は乗車距離に応じて17 - 42バーツである(2019年9月時点)[注釈 3]。なお、ブルーライン同様に割引制度があり、子供及び高齢者は50%引き、学生は学生用ICカード利用で10%引きとなる。

BTSとは異なり、1日乗車券はない[注釈 4]

歴史

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  • 2009年 11月 - 建設工事着工[17]
  • 2016年
    • 5月10日 - 試運転(無料開放)開始[7]
    • 8月6日 - 開業[9]
  • 2017年 8月11日 - ブルーライン、タオプーン - バーンスー開業(パープルラインと接続開始)[11]
  • 2020年 10月17日 - バンコク市内の学生デモが拡大した影響で1日中運行が停止される[18]
  • 2022年
    • 2月 - タオプーン - クルナイ間 (23.6 km、17駅)の延伸事業における工事業者が決定[19]
    • 2月24日 - 延伸事業の工事業者と調印[20]
    • 3月17日 - 運行用ソフトウェアに障害発生、直通運転が一時的に不可能になる[21]

駅一覧

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路線名 路線色 営業開始 区間 営業キロ 駅数
MRTパープルライン 2016年8月6日[9] PP01クローンバーンパイ駅 - PP16タオプーン駅 20.94 16
パープルライン(チャローン・ラチャタム線[注釈 5]

駅は全て高架駅。

駅番号 駅名 タイ語駅名 駅間キロ 累計キロ 所在地 備考
PP01 クローンバーンパイ駅
(バンパイ運河駅)
คลองบางไผ่ - 0 km ノンタブリー県 バーンブアトーン郡英語版
PP02 タラートバーンヤイ駅
(バーンヤイ市場駅)
ตลาดบางใหญ่ 1.27 km 1.27 km
PP03 サームイェークバーンヤイ駅
(バーンヤイ三叉路駅)
สามแยกบางใหญ่ 1.56 km 2.83 km
PP04 バーンプルー駅 บางพลู 1.57 km 4.40 km
PP05 バーンラックヤイ駅 บางรักใหญ่ 1.20 km 5.60 km
PP06 バーンラックノーイ・ターイット駅 บางรักน้อย-ท่าอิฐ 1.25 km 6.85 km ムアンノンタブリー郡
PP07 サイマー駅 ไทรม้า 1.25 km 8.10 km
PP08 サパーン・プラナンクラオ駅
(ラマ三世橋駅)
สะพานพระนั่งเกล้า 1.47 km 9.57 km
PP09 イェーク・ノンタブリー1駅
(ノンタブリー1交差点駅)
แยกนนทบุรี 1 1.63 km 11.20 km
PP10 バーンクラソー駅 บางกระสอ 1.26 km 12.46 km
PP11 スーンラチャカーン・ノンタブリー駅英語版
(ノンタブリー公共施設センター駅)
ศูนย์ราชการจังหวัดนนทบุรี 0.90 km 13.36 km ピンクラインと接続
PP12 クラスアン・サータラナスック駅
(保健省駅)
กระทรวงสาธารณสุข 1.79 km 15.15 km
PP13 イェーク・ティワノン駅
(ティワノン交差点駅)
แยกติวานนท์ 1.20 km 16.35 km
PP14 ウォンサワン駅 วงศ์สว่าง 1.72 km 18.07 km バンコク都 バーンスー区
PP15 バーンソーン駅 บางซ่อน 1.29 km 19.36 km ライトレッドラインと接続
PP16 タオプーン駅 เตาปูน 1.58 km 20.94 km ブルーラインと接続

延伸計画

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タオプーン駅より先、南進してブルーラインのサムヨード駅[注釈 6]BTSウォンウィアン・ヤイ駅プラプラデーン郡ラープラナへと延伸する計画がある[6][22]。2017年7月25日、タイ王国軍事政権は閣議で、パープルラインの南側延伸区間の建設を承認した。タオプーン駅を出て線路は地下となり、タハーン通り、サムセーン通り、プラスメン通り、マハーチャイ通りを経て、チャオプラヤ川の下を潜り、対岸のソムデートプラジャオタクシン通り、マハイサワン交差点を経て再び高架になり、スクサワット通り上を進み、終点のクルナイ駅へと至るルートを予定。全長は23.6 kmで17駅を設置予定、また最高速度は80 km/hとし、当初は2023年から2024年にかけての開業目標としていた[23] が未だ着工には至っておらず、2020年9月時点では、2021年に建設会社・運営会社の業者選定のための入札を行い、2027年開業目標としている[24]。 2022年に入り、工事業者決定が公表された[19]

延伸計画区間を以下に示す。ラッタサパー駅 - サムレ駅 計10駅は地下駅の予定。(駅名は仮称である)

駅番号 駅名 タイ語駅名 駅間キロ 累計キロ 所在地 備考
PP16 タオプーン駅 เตาปูน - 23.6 km バンコク都 バーンスー区
PP17 ラッタサパー駅
国会議事堂駅)
รัฐสภา ドゥシット区
PP18 スリヤン駅 ศรีย่าน
PP19 ワチラーパヤバーン駅 วชิรพยาบาล
PP20 ホーサムット・ヘンチャート駅
(国立図書館駅)
หอสมุดแห่งชาติ
PP21 バーンクンプロム駅 บางขุนพรหม プラナコーン区
PP22 アヌサワリー・プラチャーティパタイ駅
(民主記念塔駅)
อนุสาวรีย์ประชาธิปไตย オレンジライン(OR4)(計画中)
PP23 サムヨード駅 สามยอด ブルーライン(BL30)
PP24 サパーンプット駅
(ラーマ1世橋駅)
สะพานพุทธ トンブリー区 /
クローンサーン区
ゴールドラインプラジャヒポック駅(G4)(計画中)
PP25 ウォンウィアン・ヤイ駅 วงเวียนใหญ่ シーロム線(S8)
マハーチャイ線の同名駅はやや遠い
PP26 サムレ駅 สำเหร่ トンブリー区
PP27 ダオカノン駅 ดาวคะนอง
PP28 バーンパケーオ駅 บางปะแก้ว ラートブーラナ区 /
チョームトーン区
PP29 バーンパコーク駅 บางปะกอก ラートブーラナ区
PP30 イエーク・プラチャウティット駅 แยกประชาอุทิศ
PP31 ラートブーラナ駅 ราษฎร์บูรณะ
PP32 プラプラデーン駅 พระประแดง サムットプラーカーン県 プラプラデーン郡
PP33 クルナイ駅 ครุใน

注釈

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  1. ^ プミポン前国王の命名であり、『祝福された仏法による王家の統治』線を意味する)[1]
  2. ^ ブルーライン、BTS、エアポート・レール・リンクともに座席は同じく固いプラスチック製。
  3. ^ 当初、14 - 42バーツで開業した[10] が、利用者数が想定を大幅に下回っているため、開業早々半額に値下げが検討され[14] ることとなった。翌9月より実際に値下げされた(初乗りは変わらず14バーツだが最大が29バーツに値下げ[15])ものの却って赤字幅が拡大してしまった[16]
  4. ^ かつてはあったが、パープルライン開業時には廃止されている。
  5. ^ プミポン前国王の命名による正式な名称(タイ語:สายฉลองรัชธรรม、『祝福された仏法による王家の統治』線を意味する)。[1]
  6. ^ サムヨード駅はパープルラインの延伸を見越した駅構造となっており、パープルライン用ホームも準備工事ながら完成している。

脚注

[編集]
  1. ^ a b バンコク首都鉄道パープルライン正式名称決定。8月6日開業へ” (2016年7月6日). 2019年8月7日閲覧。
  2. ^ タイ・バンコク パープルラインへの事業参画について』(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2013年11月6日https://www.jreast.co.jp/press/2013/20131105.pdf#search='%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%82%AF+JR' 
  3. ^ a b 総合車両製作所技報第5号 バンコクパープルラインー開業までの現地作業ー”. J-TREC (2016年). 2019年7月20日閲覧。
  4. ^ “日本製車両がタイに到着、バンコク都市鉄道向け”. newsclip.be. (2015年9月22日). http://www.newsclip.be/article/2015/09/22/26950.html 2015年9月27日閲覧。 
  5. ^ “バンコクの都市鉄道パープルライン、試験走行開始”. newsclip.be. (2015年12月14日). http://www.newsclip.be/article/2015/12/14/27763.html 2015年12月15日閲覧。 
  6. ^ a b “MRTパープルラインの開業が半年遅延へ”. GLOBAL NEWS ASIA. (2015年7月8日). https://globalnewsasia.com/article.php?id=2182&&country=2&&p=2 2016年8月10日閲覧。 
  7. ^ a b “バンコク首都圏の新高架鉄道、8月に正式開業 問題は最後の1キロ”. newsclip.be. (2016年5月11日). http://www.newsclip.be/article/2016/05/11/29183.html 2016年5月31日閲覧。 
  8. ^ “バンコク都市鉄道のパープルライン、車両基地が完成…来年5月から無料運行”. response.jp. (2015年11月5日). http://response.jp/article/2015/11/05/263673.html 2015年11月5日閲覧。 
  9. ^ a b c d “JR東日本・総合車両製作所が参画、タイ都市鉄道「パープルライン」運行開始”. マイナビニュース. (2016年8月9日). https://news.mynavi.jp/article/20160809-a413/ 2016年8月10日閲覧。 
  10. ^ a b c “日本製車両のバンコク都市鉄道新路線、ガラガラで運賃値下げ検討”. newsclip.be. (2016年8月21日). http://www.newsclip.be/article/2016/08/21/30202.html 2016年8月24日閲覧。 
  11. ^ a b “バンコク都市鉄道ブルーライン、延伸区間の運行開始 都心と北西郊外接続”. newsclip.be. (2017年8月11日). http://www.newsclip.be/article/2017/08/11/33826.html 2016年8月14日閲覧。 
  12. ^ “Blue Line extension to be ready ahead of schedue”. The Nation. (2018年11月30日). http://www.nationmultimedia.com/detail/Corporate/30359540 2018年12月20日閲覧。 
  13. ^ タイを「運ぶ!」運輸編 バンコクは今、鉄道建設ラッシュ!山手線の技術がタイの鉄道を変える。”. 日経ビジネスオンライン. 2016年10月20日閲覧。
  14. ^ タイで2016年8月にパープルライン開業、早速値下げを決定”. Asean Japan (2016年8月22日). 2016年10月20日閲覧。
  15. ^ 新路線パープルライン、利用者少なく運賃引き下げ”. タイ通 (2016年8月26日). 2016年10月24日閲覧。
  16. ^ 鉄道新路線パープルライン、値下げし赤字拡大”. タイ通 (2016年9月9日). 2016年10月20日閲覧。
  17. ^ “日本製車両パープルライン 本格試運転始まる”. GLOBAL NEWS ASIA. (2016年5月11日). https://globalnewsasia.com/article.php?id=3385&&country=2&&p=2 2016年5月31日閲覧。 
  18. ^ タイ各地で反体制デモ 当局規制で首都は交通マヒ”. AFP (2020年10月17日). 2020年10月17日閲覧。
  19. ^ a b ลงตัว! เปิดซองราคา "สีม่วงใต้" วงเงิน 8.22 หมื่นล้าน บิ๊กรับเหมาแบ่งเค้ก 6 สัญญา “ITD-ช.การช่าง-ซิโนฯ-ยูนิค”” (タイ語). MGRonline (2022年2月1日). 2022年4月29日閲覧。
  20. ^ บอร์ด รฟม.เคาะปิดดีล "สีม่วงใต้" กว่า 8.2 หมื่นล้าน เซ็นรับเหมา มี.ค. 65 ลุยอุโมงค์ "เตาปูน-ราษฎร์บูรณะ"” (タイ語). MGRonline (2022年2月24日). 2022年4月29日閲覧。
  21. ^ กรมรางเผยเหตุ "บีทีเอส-สีม่วง" ขัดข้อง พบปัญหาจากซอฟต์แวร์อุปกรณ์ "อัลสตอม" รุ่นเดียวกัน” (タイ語). MGRonline (2022年3月17日). 2022年4月29日閲覧。
  22. ^ 将来的にさらに5路線!?”. タイ自由ランド (2020年8月20日). 2020年12月3日閲覧。
  23. ^ “バンコク北郊と南郊接続 都市鉄道23キロ延伸、2023 - 2024年開業目指す”. newsclip.be. (2017年7月31日). http://www.newsclip.be/article/2017/07/31/33706.html 2016年8月14日閲覧。 
  24. ^ “MRTパープルラインの南延伸、来年入札へ”. アジア経済ニュース (NNA). (2020年9月9日). https://www.nna.jp/news/show/2091600 2020年11月25日閲覧。 ※有料記事のため、全文閲覧には会員登録が必要

関連項目

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外部リンク

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