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バレーメトロレール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バレーメトロレール
主力車両の近畿車輛製電車(2008年撮影)
主力車両の近畿車輛製電車(2008年撮影)
基本情報
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
アリゾナ州マリコパ郡
所在地 フェニックステンピメサ
種類 ライトレール
路線網 1系統(2023年現在)[1][2]
駅数 38箇所(2023年現在)[2][1][3]
開業 2008年[2]
運営者 バレーメトロ英語版[2]
路線諸元
路線距離 約45.38 km(28.2 miles)(2023年現在)[2]
軌間 1,435 mm[4]
電化方式 直流750 V
架空電車線方式[4]
路線図(2021年時点)
テンプレートを表示

バレーメトロレール英語: Valley Metro Rail)は、アメリカ合衆国アリゾナ州マリコパ郡にあるライトレール。州都フェニックステンピメサを結んでいる。運営はバレーメトロ英語版[1]。2008年に開業した。

バレーメトロはフェニックス都市圏の路線バスとテンピの路面電車テンピ・ストリートカーの運営も行っている。

歴史

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アメリカの都市・フェニックスにはかつて1887年に開通した路面電車英語版が存在したが、モータリーゼーションの進展により路線バスへ置き換えられ1948年までに廃止された。その後、フェニックスや周辺都市では高速道路を中心とした自動車中心の交通網の整備が試みられていたが住民からの反対もあり大半は実現せず、1990年代に入ると公共交通機関路線バス)の整備が各地で行われるようになった。そして、2000年に市民団体とフェニックス市によって作成された、増税される消費税を財源とした公共交通網の拡張計画「提案2000(Proposition 2000)」の中に、フェニックス市内を走行するライトレールを建設する計画が含まれた。この提案は住民投票の結果賛成65 %で可決され、同年に近隣のテンピ市議会もライトレールの建設を決議した。そして、最初の路線となるフェニックスとテンピ市内を結ぶ全長32.2 km(20 miles)の建設は2006年まで実施され、試運転を経て2008年12月27日に最初の路線が営業運転を開始した[2][5][6][7]

その後、2015年メサのダウンタウン地区の延伸(Central Mesa Extension)が行われ、2019年には更にギルバート・ロード(Gilbert Road)への延伸が実施されている[注釈 1]。また、フェニックス北西部についても2013年に延伸工事が開始され、2016年にダンラップ・アベニュー(Dunlap Avenue)までの区間が開通している他、既存の区間にも新たな電停が増設されている(50番通り/ワシントン駅英語版、50th Street/Washington)。それ以降も後述のようにバレーメトロレールには複数の延伸計画が存在しており、2034年までにライトレールと接続する路面電車路線(ストリートカー)を含め合計106.22 km(66 miles)の路線網が構築される事になっている[2][8][9][10]

路線

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2023年現在、バレーメトロは以下の区間でライトレールの運行を行っている。大半の路線は複線だが、フェニックス市内の一部区間は19番街/ダンラップ駅英語版(19th Ave/Dunlap)方面とギルバートロード/メインストリート駅英語版(Gilbert Rd/ Main St)方面の線路が独立して敷設されており、駅も双方の方面で離れた位置に設置され、名称も異なっている。ただしこれらの近接した2つの駅をそれぞれ1つとして数えているため、バレーメトロのライトレールの駅数は公式では38箇所となっている[2][1][3]

画像 電停名 停車系統(進行方向) 接続交通機関 備考・参考
19th Ave/Dunlap 路線バス パークアンドライド設備を設置
Northern/19th Ave 路線バス
Glendale/19th Ave 路線バス
19th Ave/Montebello 路線バス パークアンドライド設備を設置
19th Ave/Camelback 路線バス パークアンドライド設備を設置
7th Ave/Camelback 路線バス パークアンドライド設備を設置
Central Ave/Camelback 路線バス パークアンドライド設備を設置
Campbell/Central Ave 路線バス
Indian School/Central Ave 路線バス
Osborn/Central Ave 路線バス
Thomas/Central Ave 路線バス
Encanto/Central Ave 路線バス
McDowell/Central Ave 路線バス
Roosevelt/Central Ave 路線バス
Van Buren/1st Ave 路線バス
Van Buren/Central Ave 路線バス
Jefferson/1st Ave 路線バス
Washington/Central Ave 路線バス
3rd St/Jefferson
3rd St/Washington
12th St/Jefferson 路線バス
12th St/Washington 路線バス
24th St/Jefferson 路線バス
24th St/Washington 路線バス
38th St/Washington 路線バス パークアンドライド設備を設置
44th St/Washington PHXスカイトレイン英語版[注釈 2]
路線バス
50th St/Washington 路線バス
Priest Dr/Washington 路線バス
Center Pkwy/Washington
Mill Ave/3rd St テンピ・ストリートカー
路線バス
Veterans Way/College Ave 路線バス
University Dr/Rural Rd 路線バス
Dorsey/Apache Blvd テンピ・ストリートカー パークアンドライド設備を設置
McClintock Dr/Apache Blvd 路線バス パークアンドライド設備を設置
Smith-Martin/Apache Blvd
Price-101 Fwy/Apache Blvd 路線バス パークアンドライド設備を設置
Sycamore/Main St 路線バス パークアンドライド設備を設置
Alma School/Main St 路線バス
Country Club/Main St 路線バス
Center/Main St 路線バス
Mesa Dr/Main St 路線バス パークアンドライド設備を設置
Stapley/Main St 路線バス
Gilbert Rd/ Main St 路線バス パークアンドライド設備を設置

車両

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2023年現在、バレーメトロレールでは以下の2種類の電車が営業運転に用いられている。双方とも連結運転に対応した3車体連接車で、バリアフリーに適した部分超低床電車となっている[2][11]

  • 近畿車輛製電車 - 開通時に導入された、日本近畿車輛が開発した車両。合計50両(101 - 150)が在籍する[12]
  • S700 - シーメンスがアメリカ合衆国向けに展開する部分超低床電車。バレーライトレールの需要増加や今後の延伸に伴う輸送力増強を目的に2022年から営業運転に用いられており、2023年時点で25両(201 - 225)が在籍している他、契約には53両分のオプションが含まれている[13][14][15]

今後の予定

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2007年時点のライトレールおよびストリートカーの建設計画

前述の通りバレーメトロレールでは2023年現在複数の延伸計画が進められており、うち以下のものについては同年時点で建設が進行している[2][4][16]

  • 北西部延伸計画(第2期)(North West Extention Phase II) - 2016年に延伸されたフェニックス側の終点である19番街/ダンラップ駅英語版(19th Ave / Dunlap)から更に北西部へと路線を延長し、かつてショッピングモールが存在した地点に設置されるセルダ・ウィリアムス・トランジットセンター英語版(Thelda Williams Transit Center)まで向かう全長2.57 km(1.6 mile)の区間を建設する計画。終点を含めて3つの駅が設置される予定で、2024年1月27日に開通する事になっている[注釈 3][17][18][19]
  • 南中央延伸計画(South Central Extension/Downtown Hub) - フェニックス市内中心部を経由する路線から分岐し、中央街(Central Avenue)を南へ進む、全長5.5 km(3.4 miles)・合計8駅の区間を建設する計画。加えて、ジェファーソン/1番街駅とワシントン/中央街駅英語版(Jefferson/1st Avenue station、Washington/Central Avenue station)に分かれているダウンタウン中央部の駅にホームが増設され、拠点駅(ハブ、Downtown hub)の役割を担う事になっている。また、この延伸計画は西部への延伸区間(Capitol Extension Project)との接続が検討されている。営業運転開始は2024年を予定している[20]

脚注

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注釈

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  1. ^ 計画当初は2018年の開通を予定していた。
  2. ^ フェニックス・スカイハーバー国際空港へ接続。
  3. ^ 計画当初は2026年の開通が検討されていた。

出典

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  1. ^ a b c d Maps & Schedules”. Valley Metro. 2023年7月14日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j Rail System Fact Sheet”. Valley Metro. 2023年7月14日閲覧。
  3. ^ a b Valley Metro Rail”. Valley Metro. 2020年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月14日閲覧。
  4. ^ a b c Coming of the Tempe Streetcar”. LRTA (2022年4月29日). 2023年7月14日閲覧。
  5. ^ Jane Eppinga (2015年1月30日). “Phoenix’s First Light Rail System”. Arizona Capitol Times. 2023年7月14日閲覧。
  6. ^ A Brief History Of Transportation Elections in the Valley of the Sun (1960-2000)”. Arizona Rail Passenger Association. 2007年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月14日閲覧。
  7. ^ Patrick Thomas McDaniel; Denise Keele (2019). “Light Rail in Phoenix, Arizona: Increasing Economic, Environmental, and Social Sustainability”. Journak of Environmental Sustainability 7 (1). https://scholarworks.rit.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1074&context=jes 2023年7月14日閲覧。. 
  8. ^ Garrett Mitchell (2015年8月22日). “Mesa light rail expansion debuts to thousands of riders”. azcentral.com. 2023年7月14日閲覧。
  9. ^ Brenna Goth (2015年12月10日). “Northwest Phoenix light-rail extension to open in March”. azcentral.com. 2023年7月14日閲覧。
  10. ^ Northwest Extension Marks Arrival of Trains”. Valley Metro (2015年12月7日). 2016年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月14日閲覧。
  11. ^ Keith Barrow (2016年1月13日). “Phoenix Valley Metro launches LRV tender”. International Railway Journal. 2023年7月14日閲覧。
  12. ^ Phoenix, AZ - Valley Metro Rail Technical Data”. Kinki Sharyo. 2023年7月14日閲覧。
  13. ^ PHOENIX, ARIZONA S700 Low-Floor Light Rail Vehicle”. Siemens. 2023年7月14日閲覧。
  14. ^ Jörg Martini (2020年10月13日). “Another 14 Light Rail Vehicles for Phoenix”. Urban Transport Magazine. 2023年7月14日閲覧。
  15. ^ Valley Metro contracts with Siemens, Brookville for new rail fleet”. Progresive Railroading (2017年5月19日). 2023年7月14日閲覧。
  16. ^ Projects & Planning”. Valley Metro. 2023年7月14日閲覧。
  17. ^ Northwest Extension Phase II”. Valley Metro. 2023年7月14日閲覧。
  18. ^ Northwest Phoenix light rail extension opens Jan. 27, 2024”. Valley Metro (2023年12月21日). 2024年1月16日閲覧。
  19. ^ Phoenix Names Transit Center for Former Councilmember Thelda Williams”. City of Phoenix (2023年5月3日). 2024年1月16日閲覧。
  20. ^ South Central Extension/Downtown Hub”. Valley Metro. 2023年7月14日閲覧。

外部リンク

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