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バルンガン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラドラン形式のバルンガン楽器。GONGはゴング・アグンを示す[1]コロトミー構造無しのLadrang cycle balungan.mid バルンガンの再現MIDI音源[ヘルプ/ファイル]

バルンガンジャワ語: balungan)は、英語で「骨格(skeleton)[2]」という意味であり、ジャワガムランにおける「基本となるメロディ」や「骨格たる旋律的輪郭」のこと[3]。バルンガンは、ガムラン音楽がヘテロフォニックであるという考えに基づき、その中で変奏されていくメロディとなる。また、「演奏者がその内側で感じるメロディの要旨[注 1][4]となり、「ジャワ音楽で最もよく演奏されることが多い部分でありながら、単に演奏で使われやすいというだけの部分でもある[注 2][5]というものである。

バルンガンに近いものをよく演奏するサロンスレンテムを総称して、バルンガンまたはバルンガン楽器と呼ぶこともある。これらの楽器は、通常バルンガンを演奏するが、様々な技法でバルンガンを変奏することも可能である。ほとんどの演奏家はバルンガンはガムラン音楽に必須とするが、どの楽器もバルンガンを演奏しない状態で音楽を奏でることも可能ではある。

バルンガンについては、様々な定義が提唱されていることもあり、長らく論争の種となっている。1オクターブしかないサロンで演奏されるメロディとされることもある一方、他の楽器での演奏形から導かれるより広いテッシトゥーラによって定義されることもある。こういった複数オクターブに渡るメロディは、ガムラン音楽で用いられる数字譜であるKepatihan記法により表記される。

関連して、Sumarsamが使用するラグという言葉もある。これはしばしば「内側のメロディ[要出典]」と解釈され、複数オクターブのバルンガンやより暗喩的なメロディのことを指し示すことができるが、どちらの用法についても決まった合意はなく、話者や文脈により異なる使われ方をされている。

定義

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Sumarsamによれば、バルンガンという用語は、記譜法が導入されてすぐ、記法や理論、音楽の伝授による用例で使われ出したとされる[6]

  • "The center of gravity of a gamelan composition, and the improviser's guideline, is a melody known as the 'skeleton' or 'framework' (balungan), played in a slow, even rhythm on [the]...saron."[7]
  • "If the balungan is the same, then the elaborating parts should be the same."
  • "The instrumental melody called balungan (literally, 'skeleton', 'outline')."[5]
  • "The balungan gendhing is important-if not, indeed, the most important-factor in the practice of karawitan, because as the framework of the gendhing it gives a composition its basic shape, and is used as a frame of reference and point of departure for the playing of the gamelan instruments."

出典

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  1. ^ Lindsay, Jennifer (1992). Javanese Gamelan. pp. 48-49 
  2. ^ Lindsay (1992), p.48. "balung = bone".
  3. ^ Lindsay (1992), p.70.
  4. ^ Sumarsam, cited in Perlman (2004), p.137.
  5. ^ a b Anderson Sutton, Richard (1991). Traditions of Gamelan Music in Java: Musical Pluralism and Regional Identity. Cambridge University. p. xix. ISBN 9780521361538 
  6. ^ Sumarsam (1995). Gamelan: Cultural Interaction and Musical Development in Central Java. University of Chicago. p. 151. ISBN 9780226780115 
  7. ^ Perlman, Marc (2004). Unplayed Melodies: Javanese Gamelan and the Genesis of Music Theory. University of California. p. 1. ISBN 9780520930490  [注 3]

脚注

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  1. ^ “An abstraction of the inner melody felt by musicians”
  2. ^ “the part most frequently notated by Javanese musicians, and the only one likely to be used in performance”
  3. ^ Perlmanはこの定義には反対している。

参考文献

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  • Hood, Mantle (1954). The Nuclear Theme as a Determinant of Patet in Javanese Music. Groningen, Jakarta: JB Walters 
  • Kunst, Jaap (1973). Music in Java: Its History, its Theory and its Technique. 2 (3d ed enlarged ed.). The Hague: Martinus Nijhoff 
  • Supanggah, Rahayu (1988年10月). “Balungan”. Balungan. 訳: Marc Perlman