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バルパライソ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バルパライソ
Valparaíso
チリの旗
バルパライソの市旗 バルパライソの市章
市旗 市章
愛称 : 太平洋の宝石、バルポ
位置
バルパライソ の位置図
座標 : 南緯33度03分 西経71度37分 / 南緯33.050度 西経71.617度 / -33.050; -71.617
行政
 チリ
  バルパライソ州の旗 バルパライソ州
 市 バルパライソ
地理
面積  
  市域 401.6 km2
人口
人口 (2017年現在)
  市域 251,177人
    人口密度   5,235.04人/km2
  都市圏 952,000人
その他
等時帯 CLT (UTC-4)
夏時間 CLST (UTC-3)
公式ウェブサイト : Municipality of Valparaíso
世界遺産 バルパライソ海港都市の歴史的な町並み
チリ
バルパライソの港
バルパライソの港
英名 Historic Quarter of the Seaport City of Valparaíso
仏名 Quartier historique de la ville portuaire de Valparaiso
登録区分 文化遺産
登録基準 (3)
登録年 2003年
備考 南緯33度2分46秒 西経71度37分20秒 / 南緯33.04611度 西経71.62222度 / -33.04611; -71.62222
公式サイト 世界遺産センター(英語)
使用方法表示

バルパライソ(Valparaíso)はチリ中部のバルパライソ州にあり、首都サンティアゴ・デ・チレの西方約120kmの太平洋に面した都市バルパライーソとも表記される。

地名は日本語に訳すと「天国の谷」を意味する[1]。国会が置かれており、同国の立法府となっている。太平洋に面した港湾都市であり、古くよりサンティアゴの外港として発達した。迷路のように入り組んだ歴史のある美しい街並が2003年に、UNESCO世界遺産に「バルパライソ海港都市の歴史的な町並み」として登録された。

近郊に保養・観光リゾート都市であるビニャ・デル・マールがある。

歴史

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最初にバルパライソ湾周辺に住みついた民族はインディオピクンチェ族スペイン語版と思われる。彼らは農業で生活を営んでいた。他の説では漁業で生活をしていた遊牧民のチャンゴ族とも言われている。

1536年、最初にチリを発見し探検をしたヨーロッパ人であると考えられているディエゴ・デ・アルマグロによって送り出された補給船「サンティアギージョ号(Santiaguillo)」に乗ったスペイン人探検家がこの地にたどり着いた。この補給船は、フアン・デ・サアベドラ(Juan de Saavedra)の命で、アルマグロの遠征のための人員と物資を運んでいた。サアベドラは彼の生まれ故郷であるスペイン、クエンカ県にあったバルパライソ・デ・アリバ村にちなんで、この場所をバルパライソと名づけた。

スペイン植民地時代、バルパライソはわずか2、3の家や教会があるだけの小さな村に過ぎなかった。1818年にチリがスペインから独立すると、街は設立間もないチリ海軍の主要港となり、それまではスペインとその植民地のみに制限されていた国際貿易の制限も解除され、他国にも開かれた。

1834年7月23日ダーウィンを乗せたイギリス海軍ビーグル号が本地に到着した[2]

ほどなくして、バルパライソはマゼラン海峡ホーン岬を経由して南米大陸を廻る船にとって望ましい経由地となった。1848年から1858年に起きたカリフォルニアのゴールドラッシュでは、物資を供給し、これを支援するために重要な場所となった。主要港としての役割に加え、バルパライソは多くのヨーロッパ諸国、特にイギリス、ドイツ、フランス、スイス、イタリアからの移民も受け入れた。

多くの国々からの移民が、スペインやアメリカ・インディアンを起源としていた地域文化を大きく変え、チリに最初の非カトリック教徒や反逆者の墓が建てられたりもした。移民の各言語による新聞も発刊された。チリで最初のカトリック系の私学校、ル・コレージュ・デ・サクレ・クール(Le Collège des Sacrés Cœurs)が、フランス系移民により創設され、その後170年間存続した。スコットランドとドイツからの移民により最初の非宗教系の学校がそれぞれ創設された。スポーツの面でも、イングランド移民によりサッカーがもたらされた。移民によって、最初の志願制の消防団も結成された。建築物には、欧州の様々な国の様式が組み込まれ、バルパライソは他のチリの都市よりも多様な建築物を有するようになった。

チンチャ諸島戦争スペイン語版英語版中には、スペイン海軍によるバルパライソ砲撃スペイン語版英語版が行なわれた。

1906年8月18日、大地震がバルパライソを襲い、様々な物的な損害が出て、数千人の犠牲者を出した。アメリカ系の子孫である医者カルロス・ヴァン・ブレン(Carlos Van Buren)は、地震の被災者に対する医療活動に従事した。彼は1912年に近代的なカルロス・ヴァン・ブレン病院を設立した。

バルパライソの商業的な繁栄期は、1914年のパナマ運河の開通後に終わりを迎えた。マゼラン海峡通過のリスクを避けるために、船舶はパナマ運河を通過するようになった。港の使用や船の交通量が激減し、街の経済は衰退した。パナマ運河完成後は重要度が低下し、人口減少が続いた。

1990年には首都サンティアゴより国会が移転した。

2010年2月27日に起きた地震で、街は被害を受けた。2014年4月12日に大規模な山火事が発生、2500戸以上の家屋が焼失した(バルパライソ大火スペイン語版英語版[3]

2018年10月20日サンティアゴで発生したチリ暴動に伴い、バルパライソにも月末にかけて夜間外出禁止令が出された[4]

2024年2月、近隣で大規模な山火事が発生(2024年チリ山火事の一部)。火災は住宅地に達して住民が焼け出された[5]

気候

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バルパライソの気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C°F 20.8
(69.4)
20.7
(69.3)
19.4
(66.9)
17.9
(64.2)
16.5
(61.7)
15.2
(59.4)
14.3
(57.7)
14.8
(58.6)
15.4
(59.7)
16.5
(61.7)
18.2
(64.8)
19.9
(67.8)
17.5
(63.5)
日平均気温 °C°F 17.1
(62.8)
17.1
(62.8)
16.0
(60.8)
14.6
(58.3)
13.6
(56.5)
12.4
(54.3)
11.7
(53.1)
12.0
(53.6)
12.4
(54.3)
13.4
(56.1)
14.8
(58.6)
16.3
(61.3)
14.4
(57.9)
平均最低気温 °C°F 13.5
(56.3)
13.5
(56.3)
12.7
(54.9)
11.4
(52.5)
10.8
(51.4)
9.6
(49.3)
9.2
(48.6)
9.3
(48.7)
9.5
(49.1)
10.4
(50.7)
11.5
(52.7)
12.8
(55)
11.2
(52.2)
最低気温記録 °C°F 7
(45)
6
(43)
6
(43)
3
(37)
3
(37)
−1
(30)
0
(32)
1
(34)
2
(36)
2
(36)
6
(43)
7
(45)
−1
(30)
降水量 mm (inch) 0.4
(0.016)
0.0
(0)
3.7
(0.146)
13.3
(0.524)
54.5
(2.146)
83.1
(3.272)
111.2
(4.378)
60.0
(2.362)
26.7
(1.051)
10.4
(0.409)
7.9
(0.311)
1.3
(0.051)
372.5
(14.665)
平均降水日数 (≥0.1 mm) 3 2 3 5 9 9 8 8 6 5 3 2 63
湿度 72 74 76 78 80 80 80 79 78 75 71 70 76.1
平均月間日照時間 279.0 245.7 217.0 174.0 114.7 81.0 93.0 117.8 147.0 170.5 216.0 263.5 2,119.2
出典1:Meteorología Interactiva[6]
出典2:Climate & Temperature[7]

交通

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ビニャ・デル・マールとバルパライソを結ぶ近郊電車"Merval"が運行されている。また、アセンソールと言われる有名なケーブルカーがある。 また南米では本市のみのトロリーバスが運行されており、最古の車両は1956年製のものも存在する。

港湾

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バルパライソ港はチリの主要港で、年間1千万トンの貨物と15万人の乗客が利用する。

文化

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セヴェリンの公共図書館
エルメルクリオのデ·バルパライソ
アルコ・ブリタニコ
ヒルビスタ。
イキケ、プラザソトの英雄記念碑
湾の眺め、港、バルパライソの丘。

バルパライソは急な斜面に多数の建築物、家屋が立ち並ぶ町並みに特徴がある。市内には、斜面を重力のみによって登り降りするアセンソール(Ascensore)と呼ばれる乗物がある(スペイン語でエレベータの意)。アセンソールは19世紀から市民の足として利用されてきた。最も急なアセンソールでは50度を越える傾斜を昇降する。

スポーツ

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バルパライソは、チリ最古のサッカークラブであるサンティアゴ・ワンダラーズの本拠地である。

姉妹都市

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姉妹港

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ギャラリー

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エピソード

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スティングのナンバーに『バルパライソ』という曲がある。

著名な出身者

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パルパライソの気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C°F 23
(73)
23
(73)
21
(70)
19
(66)
17
(63)
16
(61)
16
(61)
16
(61)
18
(64)
18
(64)
20
(68)
22
(72)
19.1
(66.3)
平均最低気温 °C°F 13
(55)
13
(55)
12
(54)
11
(52)
10
(50)
9
(48)
8
(46)
8
(46)
10
(50)
10
(50)
11
(52)
12
(54)
10.6
(51)
雨量 mm (inch) 2
(0.08)
2
(0.08)
4
(0.16)
18
(0.71)
97
(3.82)
128
(5.04)
88
(3.46)
67
(2.64)
30
(1.18)
16
(0.63)
7
(0.28)
3
(0.12)
462
(18.2)
平均降雨日数 (≥0.1 mm) 2 2 4 5 9 9 8 8 5 5 3 2 62
湿度 72 74 76 78 80 80 80 79 78 75 71 70 76.1
平均月間日照時間 279.0 245.7 217.0 174.0 114.7 81.0 93.0 117.8 147.0 170.5 216.0 263.5 2,119.2
出典:Climate & Temperature[8]
セロコンセプシオンバルパライソチリ

バルパライソを題材とした作品

[編集]

脚注

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  1. ^ 「天国の谷」という愛称を持つ チリの迷宮都市のカラフルな街並み”. 文藝春秋 (2016年2月4日). 2018年9月18日閲覧。
  2. ^ パトリック・トール著、平山廉監修、南條郁子、藤丘樹実訳 『ダーウィン』 《「知の再発見」双書99》 創元社 2001年 52ページ
  3. ^ 世界遺産都市バルパライソの大火災、3日目も消火作業続く AFPBB 2014-4-15
  4. ^ チリ暴動、工場放火で5人死亡 地下鉄運賃値上げめぐり”. BBC (2019年10月21日). 2019年11月5日閲覧。
  5. ^ チリで森林火災、56人死亡 気温上昇で消火困難に”. 日本経済新聞 (2024年2月4日). 2024年5月27日閲覧。
  6. ^ Información climatológica de estaciones chilenas-Chile Centro” (Spanish). Univerisdad de Chile. 2013年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年9月3日閲覧。
  7. ^ Valparaíso Climate Guide to the Average Weather & Temperatures with Graphs Elucidating Sunshine and Rainfall Data & Information about Wind Speeds & Humidity:”. Climate & Temperature. 2010年3月6日閲覧。
  8. ^ Valparaiso Climate Guide to the Average Weather & Temperatures with Graphs Elucidating Sunshine and Rainfall Data & Information about Wind Speeds & Humidity:”. Climate & Temperature. 2010年3月6日閲覧。

関連項目

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風景

[編集]
バルパライソのパノラマ
バルパライソの夜景
アーティラリー・ヒルからの港の眺め

外部リンク

[編集]


座標: 南緯33度03分 西経71度37分 / 南緯33.050度 西経71.617度 / -33.050; -71.617 (バルパライソ)