ハイサワー
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ハイサワーとは、博水社(本社:東京都目黒区)が1980年に、日本で初めてサワータイプのびん入り焼酎割り飲料として発売した割り用飲料[1]であり、同社の登録商標。正式商標登録名はわが輩(ハイ)が作ったサワー」という意味からネーミングした輩サワー。
発売当時、居酒屋において酒と言えば日本酒・ウイスキー・ビールしかない時代に、日本ならではの焼酎をベースにしたカクテル用の割り用飲料として開発。イタリア産のレモン果汁に、炭酸とガムシロップを配合している。
日本のサワー文化のパイオニア
[編集]- 居酒屋などで「サワー」といえば、焼酎をベースにしたメニューの一般名称だが、もともとの語意は広辞苑よれば「ウイスキーやジンなどの蒸留酒にレモンなどを加えたカクテル」のこと。日本で焼酎割りのことを「サワー」や、時には「○○ハイ」などと呼ぶのが一般的だが、これは「ハイサワー」の貢献が大きいとされている。
- 1980年に「ハイサワー」が居酒屋に登場し、博水社の本社がある目黒からその人気が広がり、東京、そして関東一円に広がっていった。同社の営業マンがお客様に「はい(ハイ)!サワーです」と勧めたことで、焼酎を割ったもののことをサワーと認識され、これが広まったことが大きな影響を与えている。
ハイサワーガール
[編集]- 初代 野村瑠里 (2006年~2010年)
- 2代目 三井ゆうこ (2010年8月3日(ハイサワーの日)~ 2012年)
- 3代目 上条彩香 (2012年~2014年4月)
- 4代目 逢沢きよ(2014年5月~)
博水社の軌跡
[編集]開発の背景
[編集]- 昭和30年代ぐらいまで、大手飲料メーカーや、コカ・コーラなど外資系が本格参入する前の日本の清涼飲料業界の創成期は、ラムネやサイダーなどの炭酸飲料や低果汁の飲料がほとんどで、需要は夏季シーズンに偏っていた。博水社は年間を通じた商品展開を考え、約40年前に焼酎で割るビールテイストの飲料の開発に着手。しかし開発に6年間を費やしたために原料メーカーが倒産。実際には製造することができず[要出典]、大きな衝撃を受けたという。
- そんな時、海外のカクテルにヒントを得て「日本のカクテルを作ろう!」と発想を大きく転換、開発されたのがレモンと炭酸、ガムシロップを加えた「ハイサワー」であった。
居酒屋を一軒ずつ開拓
[編集]- 博水社の当時の営業マンは、わずか数名しか在籍していなかった。サンプル用に1ケースとポスターを持参して居酒屋を一軒ずつ回り「ハイ!サワーです」と勧めて歩いていた。
- はじめは「焼酎を炭酸とレモンで割るなんて!」と驚かれたものの、レモンと炭酸の爽快感と、おいしさから口コミで広がっていった。
「わるならハイサワー」
[編集]- 瞬く間にハイサワーの人気に火がつき、居酒屋の定番メニューとして定着。この人気を支えるためにテレビなどで積極的な広告展開を開始。「わるならハイサワー」のインパクトのある広告を展開していった。過去には「サワー祭り」なども開催していた。
居酒屋から家庭まで進出
[編集]- 200mlリターナブルびんをメインにし居酒屋の定番メニューから、家庭に進出したのは1985年に生産解禁となったPETボトルでの商品化が大きく貢献している。家庭の主婦が、居酒屋などで飲用経験のある人の勧めから、スーパーで購入する姿が一般的に広まった。
- PET樹脂によるキャップを導入したのは、業界で博水社が初。「金属製のキャップでは危険性があり、安全性を考えて先鞭をつけた」(同社談[要出典])。
- このPETボトルは、軽い、透明、そして何度も栓を開け、締められる再封性などが利点。同社の商品は、通常は2~3日ほどで利用されており、これら特徴を最大限に活用した展開であった。
時代のニーズを受けて「ダイエット ハイサワー」
[編集]- 2008年4月に博水社の新社長に就任したのは、三代目で女性の田中秀子である。博子が2003年に社内の「アルコールを飲む人はダイエットを気にしない」などの反発の声を振り払い、陣頭指揮を執って発売したのが、「ハイサワー」の姉妹品である「ダイエット ハイサワー」。
- 近年、話題のメタボ対策や、高まるダイエット志向を受けて、着実に売り上げを伸ばしている。
- 「ハイサワー」は業務用の200mlリターナブルびん、家庭用の1ℓPETボトル、360mlびんなどアイテムが拡充され、またメニューバリエーションも、メインのレモン、グレープフルーツ、青りんごなど、大きく広がっている。
エピソード
[編集]- 2009年9月5日放映のタモリ倶楽部が博水社の社内宴会をネタにし、タモリ倶楽部の酒呑み企画の常連である眞鍋かをり、井筒和幸とともに製品を呑み比べた。社長のジャズ熱唱や社員の詩の朗読など、宴会芸も披露された。
注釈
[編集]- ^ 「焼酎割り用飲料」は中小企業分野製品として、いわゆる「分野調整法」(中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律)の理念と趣旨に則り、大手は製品化ができないことになっている。長い歴史の中で中小企業が開発・育成してきたもので、他に「ラムネ」「シャンメリー」「びん詰コーヒー飲料」「びん詰クリームソーダ」「ポリエチレン詰清涼飲料」と、合計6品種が対象商品(全国清涼飲料協同組合連合会HPより)。